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#9 ゼロから公民連携にチャレンジ
皆様こんにちは。
建設会社でコンサルタントをしている鈴木戒です。
現職の官庁工事がほぼゼロ状態から「公民連携事業にチャレンジ」の記事も第9回目となりました。
久しくの更新となります。光陰矢の如しとはよく言ったものです。
前回の投稿から2カ月ほど、大晦日の更新となり、自身も内容を忘れかけておりました。
滋賀県内の自治体が参考にしている飛騨五木さまが手掛けられている施設の見学に行ってまいりました。
前回のおさらいはこちらから(飛騨五木さまのスタッフさまとweb面談)
自己紹介はこちらから
思い起こせば8月のうだるような日に、飛騨五木さま運営の3つの施設と指定管理施設1カ所を見学することになりました。
① 森のわくわくの庭 養老店
② 森のわくわくの庭 輪之内店
③ ぎふ木遊館
④ KAKAMIGAHARA PARK BRIDGE
参加者は、営業公民連携チーム:部長、N谷君、資格マイスターのM杉さん
設計チーム:BIM王子、南さん
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会社から仲良く、あいのりで隣県の岐阜県に向かいます。車内の話題は「公民連携」から始まり、消滅可能都市、行政について移ります。
筆者の地元も消滅可能都市となり、地域や住民が政治への関心が薄れなどの地域課題への話題で車を走らせること1時間30分。
最初の目的地「森のわくわくの庭 養老店」に到着します。
駐車場で飛騨五木のスタッフお二人とご挨拶をして、ほぼ開店と同時の入館となりました。
①森のわくわくの庭 養老店
「森のわくわくの庭 養老店」はスーパーマーケットの賃貸契約終了後10年間空きテナントとなっていた居抜き物件に2019年から飛騨五木さまが運営されています。
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入館料は1000円。休日の施設利用者は1000人にもなることも。
リストバンドで入場管理を行っており、利用制限時間を設けないことで、時間を気にしてセカセカ利用することなく、ゆったりとママ友同士で話す時間も取れるような運用とされておられるとのことです。
施設のコンセプトは「森のなかにいるようなイメージ」でつくられており、飛騨五木さまの製材業や工務店としてのノウハウが空間設計や、あそびの仕掛けも生かされております。
お子さんがはだしで歩けるように人口芝が敷かれており、そのなかには高低差による変化をちりばめられており、走り回ってたり、丘から滑ったり、自由に遊べるエリアと木育として遊具や木材を利用した簡易的な仕掛けにより、お子さんが仕組みを考えるきっかけになるよう工夫もされておられました。
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また運営上としても、ラインのお友達登録で、イベント情報を配信して利用者促進に努めていられるようです。年間イベント数百回!
毎日、どこかの施設でなにかしらのイベントが開催される計算になります。
企画立案から運営まで考えると、何人で運営されているのかと疑問になり、恐る恐る伺うと、基本的には3名で起案などを行い、施設の現地スタッフと協力して開催されているとのこと。。。
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少数精鋭すぎます。。。
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②森のわくわくの庭 輪之内店
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つづいて向かうは森のわくわくの庭 輪之内店。こちらは休日の利用者はMAX1300人。
施設内には、飲食店のテナントとして入居しておりますが、地域との関わりといったところでナショナルチェーンではなく、地場の飲食店や地域で活動されている製造業が運営されています。
飛騨五木さまが、地域の飲食店と直接交渉され入居促進をされたとのこと。
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③ぎふ木遊館
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2022年オープンされた森林環境贈与税(国民が納めた税金から森林面積に合わせて各都道府県に配分される補助金によって整備された施設であり、管理は岐阜県、運営(売店、カフェ)の一部を飛騨五木様に委任されておられます。年間利用者数は5.2万人、1日当り160人が利用されている計算になるそうです。
こちらでも毎月10回ほどのイベントが開催されており、木育指導員が担当されているイベントもあるそうで、木に関心を持ってもらうことを目的としており、子供向けから大人向けまで幅広くイベントを開催されておられます。
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④KAKAMIGAHARA PARK BRIDGE
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最後に訪れたのはKAKAMIGAHARA PARK BRIDGE(KPB)
飛騨五木さまのHPより抜粋
「Park-PFI」(公募設置管理制度)とは、都市公園における民間の力を活用した整備・管理手法のことで、公園の利用者にとってより快適な空間となるよう、公園内の環境整備から日々の管理まで一体的に行う事業者を公募により選定する制度です。KPBはこの制度を活用して、各務原市と官民連携することで誕生しました。
さらに各務原学びの森株式会社は、岐阜県産・国産材による木造建築や木育施設運営を行う「飛騨五木株式会社」と、市民団体「一般社団法人かかみがはら暮らし委員会」
による共同運営です。
また、KPBは子どもから大人まで、訪れた人それぞれが好きな過ごし方を見つけて気ままに過ごすことができる“屋根のある公園”です。
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実際に見学したKPBは、先に見学した「森のわくわくの庭」と違い多層階での遊具が特徴的でロープでの遊具や丘で構成されており、空間を上下で子供たちが自由に遊べる工夫となっており、子供たちの動きを制限していないことを意識して設計されてます。
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また、施設の柱や梁、外壁などの構造材に木材が使用されており、木の温かみや触り心地などが五感で感じ取れます。
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1日の見学を終えて
チープな感想となってしまうが、「木育」施設のハード面の整備と、集客のソフト面での取り組みがLINE登録による情報発信によって集客を得られていることから、両軸で廻っているパークPFIと実感しました。
その、飛騨五木さまは全国の自治体や企業より、こどもの賑わい施設の企画や提案への参画や相談も対応しているとのことであり、公民連携のモデルケースとして注目度の高さが窺い知れます。
弊社の所在する滋賀県内においても、park-PFIを検討している自治体が多いことから、今後のSPC、指定管理などの提案において協業の可能性を感じた見学となりました。
見学往路に消滅可能都市の話題となりましたが、個人的には自治体や地域経済を担う地元企業が地域に関心を持ち、地域の将来に想いを馳せ、課題に向き合うことがスタートラインであるものの、スタートの合図を「誰が」行うのかというハードルの高さを感じております。だからこそ、自治体と地元企業は視座を一緒にするための機会の醸成により、「誰が」から「一緒に」スタートの合図を出せるパートナーシップが必要性を改めて感じた見学となりました。
次回は視察と滋賀県で弊社が協力した自治体向けの勉強会を記事に致します。
よろしかったらこちらもぜひ!