わたしのいいところ
みんなあたまがよかったり、絵が上手だったり、楽器演奏ができたり、、、
みんなみんないいところあっていいなっておもっている。
わたしもなんかいいところ、ないのかな〜ってからっぽの頭のなかで一生懸命かんがえてみることにした。ひとつだけあった。
楽譜が読めなくて、いじめられていた
、、、え??って思うでしょ
楽譜が読めないって別にいいところじゃないじゃんって
でもわたしはそれがいいところだったんだとおもう。
だって吹奏楽を9年間やっていたから
吹奏楽やってたのに楽譜読めないの、、、??
っておもうでしょ。
そう、わたしは楽譜が読めない中9年間音楽をしていたのだ。
曲を聴いて、頭の中でコピーして独学で音楽を続けていたんだ。
小学校3年生。
楽器もピアノ、タンバリン、カスタネット、木琴、ラッパくらいしかわからないおこちゃまだった。
吹奏楽部に入りたいと思ったのは学童で仲のよかったお友達が吹奏楽やるって言ったから。
セイウチの剥製が目の前にある教室で顧問のおじいちゃん先生が「なんの楽器をやってみたい?」と一人一人に聞いてきた。
わたしはやってみたいとかそんなのなかった。強いて言ったらピアノがひけたらかっこいいなってくらいだったけど、吹奏楽でピアノやることはほとんどないし、ままにピアノの教室か吹奏楽か1つに決めなさいと言われていたのでお友達がいる吹奏楽を選ぶしか選択肢がなかった。だから楽器の名前も全然わからない。
そんな中、お友達が「クラリネットやりたいです」と言った。
クラリネット?なんじゃそりゃ
どんな見た目かも想像できない、、、
あたまの中で自分の思うクラリネットを考えていたらおじいちゃん先生が「なにやりたい?」って聞いてきた。
わたしは咄嗟に「クラリネット、、、!!」と言ってしまった。
クラリネットは何故か人気だった。12人いるうちわたし含めて9人くらいクラリネットがやりたいと言っていた。
わたしは「え?!そんなに人気な楽器なんだ、、、」
それと同時に「お友達とちがう楽器になっちゃうかも、、、」という不安が押し寄せた。
先生は困ったような笑いをうかべて、ひとりひとりの手の大きさと歯の形をみた。わたしもいーー!!って歯を見せた。
わたしの手の大きさと歯の形はクラリネット向きだったみたいで、仲の良かった友達と、2人の子がクラリネットになった。
そうしてわたしはクラリネットを吹くことになった。
同い年の子は元からピアノが弾けて楽譜も読めて双子でかわいがられている中、わたしとお友達は未経験で先輩からもほとんど教えてもらえなくてほっとかれていた。
なんならわたしは部活に入ってからいじめにあうようになって楽譜がごみ箱の奥に捨てられていたり、
体育館で練習をしてみんな同じところに楽器を置いていて、お昼休憩が終わって自主練習しようと思ったら楽器の部品がなくなったり、それを先輩に言うと「自分の自己管理能力がたりないからだ」と言われ、
楽器交換も1番古いのをわたされて、譜面台も古くて重たいものしか与えられなかったり、
毎日靴がなくなったり、靴に画鋲が入れられたり。
他にもたぶんいじめられてることあったんだろうけど覚えていない。
担任の先生は親身に相談にのってくれた。
中学生になるまで何回か文通もした。
わたしのこと特別な子に思ってくれているんだなってうれしかったけど、ある日同級生から先生が結婚して子供が生まれたということを聞いて
「あぁ、わたしには知らないことをあの子は知っていて、わたしはやっぱり特別な子に思ってくれてなかったんだ」とちょっぴり悲しくなって文通をやめてしまったけれど。
でも、ポストにお手紙を入れる時とってもたのしかったんだよね。お手紙を書く楽しさを教えてくれてありがとう。
ままが泣いた日もあった。私は泣かなかった。
ままが泣いているのを見るのが申し訳なかった。
だからわたしはつらくないよ、とアピールするので精一杯だった。ストレスで髪の毛をぬいたりしていたけれど、髪の毛が多いおかげでハゲにはならなかった。
結局いじめていた子が誰かはわからなくてそのまま中学生になった。後輩がもっとできた。
ある日後輩が靴を隠された。
わたしは必死に探した。かわいい後輩があの頃の私みたいな思いをして欲しくないと思って学校中走ってさがして靴を見つけた。
後輩の子は、いっぱいありがとうを言ってくれた。
卒業する時、その子のお母さんからとってもかわいい花束とお手紙が私の手に渡された。
わたしのすきなピンク色のお花。
お手紙の内容は言えないけれど、「娘が1番悩んでいる時に1番そばで支えてくれて娘も私も感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました。」と書かれていた。
わたしの心のなかはぽかぽかな春を向かえて卒業することができた。
あの時いじめてくれてありがとうなんて気持ちは微塵もないけれど、あの時いじめられていなかったらわたしはその子の心に寄り添うこともできなかったかもしれないし、これから起こる全てのことに意味があるんだなと思えなかったかもしれない。
人のこころがわかるにんげんに育ってよかった!!
それがわたしのいいところ。