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TJAR(トランスジャパンアルプスレース)に関する論文

最近、トランスジャパンアルプスレース(TJAR)に関する報道や記事を見かけました。


TJARとは、「日本海側の富山湾から日本アルプスの北アルプス・中央アルプス・南アルプスを縦断して太平洋側の駿河湾までの約415キロメートルを、8日間以内に、交通機関を一切使わずに自分の足で走るか歩いて走破する競技」です。
また、「トレイルランニングの大会と捉えられがちだが、実際はランニングよりも登山の要素を重視しており、参加選手には可能な限りサポート・エイドを受けない自己完結した登山が求められている」競技でもあります。
※詳しくはWikipediaをご参照


とても貴重な経験として、今から10年前の2014年大会に、私は研究チームの一員としてTJARに携わらせていただきました。
2014年大会は、台風の影響を著しく受けた過酷な大会でした。実際、他の年に開催された大会に比べると、完走率が非常に低いレースになっています(15人/30人)。


研究者として、論文としてアウトプットすることが最大の社会への還元だと考えておりますが、そんな過酷な2014年大会に出場したランナーを対象に、『415 km ウルトラマウンテンランニングレース参加者の形態、身体組成の特性およびレース前後における皮下脂肪厚の変化』という論文も発表しています。


この論文はフリーアクセスで全文が読めるため、興味がある方はぜひ本文を読んでいただきたいのですが、主な結果は
1)完走者とリタイア者でレース前の形態・身体組成に有意差がない
2)完走者の皮下脂肪厚(上半身、体幹)は大幅に減少したものの、体重はレース前後で有意差がない
というものです。

筆頭著者は私ですが、当時の私は研究者としては初学者(修士課程の大学院生)で、共著者の方々から多くの指導や助言をいただき、論文が完成しました。

この研究を遂行するにあたって、研究グループの他のメンバーと一緒に、日本を縦断移動しながら(車移動がメイン)、さまざまな場所に寝泊まりしたことを今でも思い出します。
最近はこうした非日常的な体験が少なくなっているので、当時の自分がちょっと羨ましくも感じます。

また、ただでさえ過酷なレースであるにもかかわらず、大会に出場した皆さんが紳士淑女的に測定に協力してくださったことも記憶に残っています。


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髙山 史徳/Fuminori Takayama
執筆家としての活動費に使わせていただきます。