映画「KIDS」から学ぶ現代を生きる術
こんにちは
欲望に忠実に生きる。
それは誰しも夢見る生き方ではないだろうか。
写真家として有名なラリークラーク氏の映画「KIDS」をみた。
一言で表すなら「ストリートカルチャーに生きる10代のリアル(90年代)」だろう。
そこに描かれていたのは、欲望のままに生きる10代の少年少女たちだった。
暴力、ドラッグ、セックス…今やりたいこと、今最高に楽しいことをやる。明日どうなるかとか、将来どうするかとかそんな小さなことは気にしない。
危険は自分たちとは遠い世界の話だと生きる。自分が正義なのだ。
当時、ストリートで生きていた若者たちは、人間として最も欲望に対し忠実に生きた人種だと思う。
肌の色とか、生まれとかそんな小さな話じゃない。仲間かそうじゃない奴か。
仲間と共に過ごし、ありとあらゆる欲望に埋もれていく。
その一方で、自分たちとは遠い世界の話だと思っていたことは、気づいていないだけ知らないだけで常に隣にいる存在だったわけだ。
安全だと思っていたことが実は全くもってそうではなかった。
そして、ある時気づくのだと思う。あぁこれは遠い世界の話ではなく、自分たちの話しなんだと。
90年代のストリートカルチャーとは
きっとこれは、90年代という時代も深くかかわっているのだと思う。
SNSも普及していなければ、携帯電も高価な時代。若者たちの情報源は人づてがほとんどだった。
そんな状態で正しい知識は得られるはずもなく。自分たちとは違う世界の話なんだろうとなる気持ちもすごく分かる。
だからこそ、自分で経験したことがすべてで、それが世界の理だったのだろう。
情報がない世界でどう楽しむか。
それは自分たちで試行錯誤しながら模索していく。
正しいかとかではなく、きっとこうすればより楽しいし、それが正しいものとなる。
だから、とりあえずやりまくる。いいことだろうが、悪いことだろうが…
この生き方がいいか悪いかは正直分からない。
ただひとつ言えることは、新しいカルチャーはこうした中からしか生まれてこないだろう。
アンダーグラウンドで生まれたモノは、少しずつ浄化されていき、ある時オーバーグラウンドにやってくる。
いつの時代も流行は下からやってくるのだ。
流行の最先端を走るには、流行を追い求めることではない。立ち止まって、潜ること。
現代におけるカルチャーの変容
では、2020年の現在はどうなのだろうか。
今生きる人たちのほとんどは、ただただ欲望に従って生きるてる人間は多くないだろう。
ところかまわず暴力を振るい、ドラッグをキメて、セックスをしまくる。こんな奴はそうそう居ない。
理性的であり、他人にも思いやりがあると思う。少なくとも僕はそうだと思っている。
今と昔では何が変わったのか。
それは「情報」だと思う。
インターネットの普及により、誰もが手軽に多くの情報を入手することができる世の中になった。正しい情報も間違った情報も含め。
そして、SNSの普及により、世界中の人間が身近になった。
これは素晴らしいことだと思う。
望めば同じ情報をどこにいても入手することができる。
部屋に居ながらにして世界中のことが分かるし、何でも手に入れることができる。
情報が溢れる世界になっていいことばかりなのかというと、僕はそんなことは無いと思う。
確かに急速な技術の進歩や地域/人種間の問題が、世界中の人が認知することができたことは素晴らしいことだ。
しかし、情報が手軽になったことにより、カルチャーの進化はどうだろうか。
情報が限られていた時代に比べると無くなってしまったのではないだろうか。
インターネットやSNSがあることで、人々はすぐに情報を手に入れることができる。
分からないことがあれば、Googleに聞けば一発解決だ。僕もそうしてるし。
それに、今世界で何が流行っているかも調べれば出てくる。ハイブランドのコレクションだったり、スナップだったり。
するとどうだろう、すぐに答えがある世界で、彼らのように模索するだろうか?
また、SNSにより人々のつながりが平面的に広い世界になった。この結果、自分の情報も世界中に広がりやすい。
そうなったら人はどうだろう。より理性的にならざる負えないのではないだろうか?彼らのように欲望のまま生きることをするだろうか?
一般社会的な道徳観から外れた行為はすぐにSNSを通じ拡散され、そして当事者は社会的に抹殺されてしまう。
彼らから学ぶ現代を生きる術とは
図らずしも世界と繋がっている私たち。
得たモノも多いが、失ったモノも大きいのではないかと感じさせれれた作品だった。
自分がこれからの時代をどう生きていきたいか、それは自分の選択によって決められる。当たり前なんだけど忘れがちだなと。
正解が何かではなく、自分は何を正解とするかが重要なんだなと気づかされた。
情報に溢れたこの時代、情報を自分で選んで取り込むことで、彼らのように日々を謳歌することができる気がする。
本作品は、良くも悪くも賛否両論だと思う。だからこそ、観る価値があると思う。
ただただ不快に思う人もいれば、懐かしむ人もいると思う。
僕は彼らから人生を楽しむとは何かをみせられた気がした。
Let's enjoy life‼
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