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日本語って、うつしくて、むずかしいね、という話。

日本語ってむずかしい

⚠ Attention
このnoteはデザインに関係あるようでいて、ぜんぜん関係がない話です。デザインの記事だけ読みたい方はご注意くださいね。

フェンリルという会社の外国人比率は、たぶん普通の日本企業に比べたら、ものすごく高いと思う。しかも、けっこう多国籍だ。パッと思いつくだけでも、中国、韓国、メキシコ、バングラデシュ、ロシア、カナダ…。過去には台湾やスウェーデン人(7ヶ国語のマルチリンガル!)も所属していた。もしかしたら私が知らないだけで他にもたくさんの国の出身の人が所属している可能性もある。もちろん、英語がしゃべれる日本人スタッフも多いし、週1回お昼に集まって英会話や英語のゲームを楽しんでいるEnglish Workshopは社内一活動が活発な自主活動なのではないかと思う。(一応筆者も過去の会社の公用語が英語だったので最低限の英会話はできるレベルではある。)

そんな我社だが、公用語は日本語なので、スタッフ全員日本語で会話している。お客様への説明も日本語。もちろん制作物のドキュメント類も日本語、当たり前だが総務あたりに出す書類だって全部日本語だ。

なので、はっきり言ってどの外国人スタッフも、めちゃくちゃ日本語が達者なのだ。

いつも一緒に案件をやっている日本に来て5年という中国人のアプリ開発プロジェクトリーダーは奥さんが日本で働くことになったから付いてきたので日本に来たときは日本語が全くしゃべれなかったし、なんならエンジニアですらなかったらしい。そんな彼は私のチャット投稿に秒で日本語のツッコミを入れてくる。すごい。もちろんギャグだってお手のものだ。本当にすごい。

そろそろ「日本語」と書きすぎてゲシュタルト崩壊してきそうなので、ここらへんで本題に入りたい。実は前段の話は本題にあまり関係がない。

デザイン部には外国人のデザイナーが2人所属している。ふたりとも大阪本社勤務、私は東京勤務なので、仕事の相談や割り振りは基本チャットベースである。

ある日、2人のうち1人とチャットでスケジュール調整をしていて、

承知しました!金曜日の午後中にカレンダー招待いたします。

というメッセージが来た。

このとき初めて気づいたけれど、日本語では午前中は使うが午後中という言葉がない。

なので、

「午後に」とか「午後の間に」という言い回しが適当です

と返信した。

彼女は「午後中」とは言わないのを知らなかったらしく、「知らなかったです!ありがとうございます!!」という話で大団円だった。

なんて、そうは問屋がおろさない。なぜ「午後中」がないのかがどうしても気になってしまい、調べてみることにした。

そしたら、さすが全国こども電話相談室!気象予報士の大野先生が回答されていた。

大野先生:これねえ、「中」って言葉を調べてみるとなんとなくわかってくるんですよね。「中」って「その最中」って言う意味もあるんですけれども、「その時いっぱい」って言う意味もあるんですよ。だから午前中っていうと、午前の間とお昼までという意味があるんです。
そうすると、仮に「午後中」って言葉があると、お昼から真夜中の12時までと言う意味になってしまうんですね。でも、真夜中の12時までっていうと違う言葉があるじゃない。「今日一杯」って。そういう言葉が代わりになっているから、段々「午後中」って言葉を使う機会がなくなって、使わなくなったんじゃないかなって思いますよ。

なるほど…!(目からウロコがぼろぼろ)

とはいえ、会社の暗黙の了解で「午後に〜」となると、アサインで拘束できるのは就業時間だけになるはずなので、「午後中」は成立してしまうのではないか。「午後に」とか「午後の間に」という言い回しが適当なのかもよくわからなくなってきた。40年くらい使っているはずなのだが、ほんとうに日本語はむずかしい。

日本語ってうつくしい

そんなわけで「午後中」に触発されて、時間の流れや区切りなんかを表す言葉を調べよう!と思ったら、もうすでにまとめてらっしゃる方がいた。インターネットは素晴らしい。

黎明(れいめい)、暁(あかつき)、東雲(しののめ)、あけぼの、たそがれ時、薄暮(はくぼ)、払暁(ふつぎょう)、宵(よい)、逢魔が時(おうまがどき)

なんと情緒がある言葉たちだろう。

日本語の表現は本当に独特でいい感じに時間の差がはっきりしない曖昧さがあり、それこそが味なのではないか。日本語はうつくしくて、とてもむずかしい。

そんなことを考え、刻々と移り変わる情景を思いつつ、かたわれどきにこの記事を書いている。

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