低周波鍼通電について知っておきたい3つのこと 【スポーツ選手のための低周波鍼通電療法】
みなさんこんにちは。
【考えながら臨床をすれば鍼灸治療は上手くなる】
スポーツ医科学と鍼灸を考えるF Lab です。
低周波鍼通電療法はスポーツ選手によく用いられる治療法です。
知っておきたいことの2つ目は、スポーツ選手のための低周波鍼通電についてです。
具体的にどのように用いるのが良いのでしょう。
目安となるのは、以下の通りです。
筋緊張の緩和を目的→1〜3Hz
腱付着部炎や関節部の疼痛→50〜100Hz
特に筋緊張の緩和を目的として鍼を行う場合には痛みを伴わずにリズミカルに筋が収縮する程度、腱付着部炎や関節部の疼痛に対して鍼を行う場合は電気の刺激を感じる程度が理想だと思います。電気の強さに慣れてきたら、適宜、電流量を上げていきます。筋の収縮がしっかりと得られていることがポイントです。
筋を対象にした低周波鍼通電(1〜3Hz 10〜15分)
筋、筋膜性の要素が強い場合に対して行います。通称、筋パルスですね。まず、筋の中でも最も疼痛が強い部位に鍼を刺入(陰極)し、もう1本は筋腹に刺入(陽極)します。最近は、交流で流れる電気装置が一般的で、あまり陰極と陽極を気にしなくても良いかもしれません。それより目的の筋にしっかりと到達していることが重要です。感覚として鍼先に到達している部位に電気が流れるような感じがします。鍼先が十分に筋に刺入されている深さを意識した方が良いと思います。モーターポイントに当たった方が筋がしっかりと動きます。筋肉が電気刺激で収縮することが効果につながるように思います。
腱付着部、腱、靭帯を対象にした低周波鍼通電(50〜100Hz 10〜15分)
アキレス腱炎や膝蓋腱炎など筋以外の軟部組織の痛みに対して行います。筋収縮は見られないため、比較的、高周波の電気刺激の方が良いと思います。まず、疼痛のある腱もしくは付着部に2本刺入し(陰極が疼痛が強い側)、電気を流していきます。重要なのは、軟部組織の中で最も圧痛が強い部位を探す事、押して痛みが誘発される方向に鍼先が向いている事です。電気を流している時には筋収縮はみられません。電気を流す時は痛みがなく、電気の感覚が得られる程度から始め、徐々に慣れてきたら電気の強度を上げていきます。
神経を対象にした低周波鍼通電(1Hz 10〜15分)
痺れの症状に鍼治療を用いる時には神経を対象とした低周波鍼通電を行います。いわゆる神経パルスですね。上肢や下肢の痺れに対して神経の近くに鍼を進めて電気を流します。直接神経に鍼をさして損傷させるものではありません。神経の通り道に2本刺入して電気を流した時に支配領域の筋全体が収縮します。流している時に神経のピリッとした感覚もあります。筋力低下が起こっている時は治療後、一時的に筋力が回復することが良く見られます。これも神経の支配領域の筋が収縮していることが、治療効果につながるように思います。
関節部を対象にした低周波鍼通電(50〜100Hz 10〜15分)
関節部の痛みや腫脹が見られる時に行う低周波鍼通電です。もちろん、急性期のスポーツ外傷には使用せずにアイシングや圧迫で対応する必要があります。特に関節部の痛みに対して、鍼を2本刺入して50〜100Hzの周波数で電気を流します。関節の周囲を囲むように鍼を刺入しておくと良いです。筋の強縮が起こって鍼が曲がらないよう注意が必要です。刺激強度は電気刺激の感覚がある程度で行います。特に鍼通電中にズキズキとした痛みがあると症状を悪化させてしまう可能性があります。関節裂隙や靭帯、半月板由来の痛みで用いることが多いです。
この他にも、色々な分野や症状に対して低周波鍼通電が用いられています。今日はスポーツ分野での基本的な低周波鍼通電の使い方のお話しでした。
また、一緒に勉強しましょう!
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