日記 打ち上げられた魚が喜んでいる
・バイクで25分くらいの場所に、割と大きな図書館がある。
積読もあるし、ガソリンをばらまくだけと思って今まで行かなかったけど、今日こそと思い、午後から行くことにした。
日記にしろ何にしろ、文章を書く人で図書館が好きじゃない人って割と少ないと思う。
図書館では、インターネットの海から半強制的に顔を上げ、自分がしようと心に決めていたことをすることが出来る。
図書館は、きっと多くの人の自尊心を高めてきたはずだ。
一番読みたかった木嶋佳苗さん著の「礼賛」は貸し出し中で借りられなかったけど、2番目に読みたかった魚住陽子さん著の「公園」を借りられた。
魚住さんは初めて読む。肯定も否定もしない文章。ただそこにある文章。感情を揺さぶらない文章。静かでしっとりしているようにも乾いているようにも感じる文章。
私は思わず草をむしる手を止めた。 マニキュアをしていない爪に昨日の雨で湿った泥が詰まっている。どの指の腹も和紙のようにごわごわしていて、草の汁のいやな匂いがする。
最近、朝夕のむくみがひどいので指輪などもしていたことがない。誰からも大事にされていないと一目でわかる不格好な手を眺めた時、味わい慣れた憎しみが身体の中に溜ってくるのを感じた。
帰り道に安い服屋に寄った。
私は普段、アロハシャツとワイドパンツを着て生活しているし、髪も短いから男みたいだと自分で思っている。
自分でそう思っていると、目がどんどん自分を男だと認識するから、化粧をしたりスカートを履くと、脳が「一体何をやっているんだ?」と言ってくるから結構厄介だ。
服屋に行ったのは、安くなったワンピースを買いたかったから。
それでいろいろ試着してみたけど、自分が世界で一番不細工なのではないかと思うくらい似合わない気がして、なんだか泣きそうになった。
2年前に外で仕事をしていた時に比べ、自分の容姿への愛着がどんどん薄くなるように感じる。
好きな革靴を履いて、柄シャツとスラックスを着て先生をしていた時を少し羨んでしまった。
似合う似合わないではなく、気に入ったかどうかだけで選んだシャツワンピースを購入した。
明日は一日これを着て出かけようと思う。