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睡眠をハックする(メカニズム編)
睡眠にまつわる課題を理解して、改善へのモチベーションアップできたところで、本記事では睡眠のメカニズムについて理解を深めましょう。
睡眠のメカニズムを理解できれば、自分のしている行動が睡眠にとって良いことなのか、悪いことなのか、だいたい判断できるようになり、自分の1日の過ごし方のデザインを設計する一助になると思います。
ちなみに前回記事、課題認識編は下記をご参照ください。
1.ノンレム睡眠とレム睡眠
睡眠は下図のように、深い段階と、浅い段階を、7時間ほどで4~6周期ほど繰り返します。
深い段階のことを「ノンレム睡眠」、浅い段階のことを「レム睡眠」と呼びます。
ちなみに「レム(REM)」は「Rapid Eye Movement」の略で、そのままの意味で急速眼球運動が起こっている段階を指します。
ノンレム睡眠、レム睡眠ともに重要な役割があります。
ノンレム睡眠では、大脳を休ませられる時間であるだけでなく、成長ホルモン(アンチエイジングホルモン)と呼ばれる、身体の修復などが行われます。睡眠前半に集中しており、ノンレム睡眠全体の80%が第二周期までに含まれます。
レム睡眠では、子供の頃には脳を発達させる役割があり、大人になるにつれてその役割は失われます。大人になってからは、もう一つの役割である、目覚めを促進させる機能が残ります。
2.記憶と睡眠
長期記憶は宣言的記憶と手続き記憶(認知技能記憶・運動技能記憶)に分類され、それぞれ記憶として定着するタイミングが異なります。
単語やエピソードにまつわる宣言的記憶は、睡眠前半のノンレム睡眠で定着します。よくテスト前日の徹夜は良くないと言いますが、詰め込んだ内容は深い睡眠を取らないと定着しないことがその理由です。
手続き記憶のうち、運動技能記憶については、明け方の浅い睡眠で定着するのはあまり知られていないことですね。このことからスポーツをした後は、しっかり睡眠をとって、睡眠前半では成長ホルモンによる身体修復を、睡眠後半では練習成果を脳に刻み込む必要があります。
3.超重要ホルモン「メラトニン」
深い睡眠を取るのに必要となるホルモンとして、メラトニンがあげられます。現在、大人気で売り切れているNightRestというサプリメントには、1粒あたり2.5mgのメラトニンが含まれており、効果抜群という口コミがございます(試してみたい…)。
メラトニンは定時入眠時刻の1~2時間前から分泌が活発になり、深部体温を低下させます。最低体温の1~2時間前に分泌が最大となりますので、次項の深部体温周期と見比べてみてください。
逆に朝目覚めるための、コルチゾールというホルモンもございます。睡眠開始時には血中濃度が最低で、起床時には最大となります。そうなることで、血糖値を上昇させて、朝にすみやかに活動を開始する準備ができます。
4.深部体温と睡眠
内臓の温度を意味する深部体温の降下は、眠気を誘発する重要な要素となります。夜間に起こる体温降下を大きくするような工夫(入眠数時間前に入浴するなど)があれば、より眠気を増強することができます。
深部体温が高いほどレム睡眠は短くなることから、深部体温比較的まだ高い入眠直後はレム睡眠が短く、明け方に近づくにつれて体温が低くなりレム睡眠が長くなる。
ちなみに睡眠とらないと、下図の青色グラフのように深部体温の落差が小さくなってしまうため、深い眠気につくことが難しくなるという悪循環に陥ります。
5.1日の過ごし方のデザイン
人間には体内時計と同義の概日リズムというものが備わっております。概日リズムは通常24.2時間周期で、放置すると毎日12分ずつ狂っていくことになります。この周期は、夜間でも照度を下げない場合、24.2~25時間までズレが拡大すると言われております。
そのため、概日リズムのズレを日々修正する必要があるのですが、その役割を担うのが視交叉上核です。中枢時計とも言われ、各細胞がもつ子時計の時間を合わせる、親時計の役割を持ちます。
朝日を浴びて、その刺激が視交叉上核に送られることで、概日リズムの調整が行われます(14~16時間後にメラトニンを分泌)。厳密には、朝日に比較的多く含まれる青色波長(460~500nm)の刺激がカギとなります。スマートフォンやPCから照射されるブルーライトを夜間に浴びると、入眠が阻害されるのも同じ理由となります。
朝日を浴びなければ概日リズムが調整されないのであれば、良い睡眠をとるには、入眠直前だけ努力をしても大きな効果は得られないと考えることもできます。
重要なのは、1日をかけて、良い睡眠をとるために必要なイベントを散りばめて、生活をデザインすることです。
深い眠りに必要であるメラトニンは、もともとセロトニンという神経伝達物質で、朝日を浴びることで14~16時間後に変化していきます。ということは、良い睡眠をとるには、朝食にそのセロトニンのもととなる栄養を摂取して、朝日を浴びるところから始まることになります。
眠気を誘発するメラトニンを分泌させる条件さえ満たせば、あとはそれを補助する、または阻害しないような行動をとればOKです。具体的には、先ほども述べた通り、入眠前に深部体温を上げることや、スマートフォンやPCの操作をできるだけ控えることなどがあげられます。
これを守っても、睡眠時間が自体が短すぎると成長ホルモンの効果を最大限享受できなかったり、コルチゾールの濃度が上がりきらず起きるときに辛い思いをしたりします。そのため、理想ではやはり、6時間ほど睡眠時間を確保したいです(そういう私は5時間未満の日が多いですが…)。
睡眠時間を確保できないというかたも、このメカニズムさえ理解していれば、私の原体験として、これまでより睡眠の質を上げたり、入眠を容易になります。まずは知ること、そして理解することが大切です。
本記事では睡眠のメカニズムについて説明をしました。全3回の最終記事となる次回は、具体的な行動として、どういうことに注意をすればいいか、どんなことが原体験として効果があったか、Tipsをご紹介できればと思います。