睡眠をハックする(課題認識編)
1.2021年は睡眠を支配したい
前回の投稿からほぼ1年あき、気づけば2021年に入っておりました。
習慣化することは本当に難しいですね。反省しております。
本記事から全3回、今年の私のホットイシューである「睡眠」について、学び得た知見をみなさまに共有したいと思います(自身の覚書兼)。
そもそも、なぜ改めて睡眠について学ぼうと思ったのか。
COVID-19による健康への注目はもちろんのこと、テレワークにより仕事に割く時間(特に会議)が逆に多くなり、日々の生産性を見直さなければならなくなったのが、大きな理由でした。
私が2021年にマスターしたい「理想の睡眠」の定義は、
「日中を活発に過ごすことができる睡眠時間を、過不足なくとる」です。
人生の30%を費やすことになる睡眠、何とかものにしたいです。
2.日本人の健康課題
まずは日本人をとりまく睡眠事情から抑えたいと思います。
下図はその上位レイヤーとも言える「健康」についての課題です。
日本は長寿大国として知られており、平均寿命は今も延びております。
しかし、自立した生活を送れる期間を意味する健康寿命との乖離は、なかなか埋まらない状態が続いております。
この乖離が、国としては社会保障費(コスト)の投資対象となり、本人や家族にとっては幸福度を下げる要因となると考えられます。
また、ご存じの通り、少子高齢化はますます加速していきます。
財源と人手(もしくは革新的なテクノロジー)が無限にあれば、コスト面においては気にしなくて良い問題になるかもしれませんが、現実はそんなことはございません。
下図の通り、医療・福祉分野への予算は20年間で膨大に増加して、未来への投資とも言える教育・科学分野への投資が低水準にあります。
この予算配分では、未来の日本に可能性を見出すことはできないでしょう。
さらに、医療分野へ投資される40.6兆円のうち、そのほとんどが応急的な対策に使われており、予防医療には割かれません。
健康寿命を延ばす意味でも、予防医療への投資を増やす必要があります。
我々は未来のために、健康に長生きしなければならないのです。
認知症などの分野において、重篤化してコストが大きくかかる前段階から、対策を講じる「フレイル対策」が注目されております。
一例では、歩行速度がある閾値を下回ると認知症リスクが上がることから、歩行速度はわずかに下がり始めた段階で、すぐ手を打つことがあります。
これと同じように、人生の30%を投じる睡眠を改善することで、圧倒的に低コストでリターン(健康)を手に入れられると私は信じます。
3.日本人の睡眠課題
脳は体重の2~3%の重量ですが、エネルギー消費は総量の18%を占めます。
そんな高性能CPUともいえる脳を、日本人は全然休ませられていません。
下図の通り、OECD加盟国のなかでは睡眠時間は最下位にあります。
睡眠時間の低さは、エビデンスがあるわけではないですが、労働生産性の低さにも結び付く一つの要因となっているように思えます。
ちなみに白熱電球が開発される1800年後半までの米国の睡眠時間は、9~10時間とも言われております。
いつの時代も、テクノロジーが我々のライフスタイルを支配するのですね。
労働生産性とは少し話はズレますが、人には生体リズムがあり、眠気が強まる時間帯があります(日中では16時頃、そして明け方)。
歴史的に大きな事故も、明け方に発生することが多かったようです。
こういった生体リズムを受け入れて、スケジュールをデザインすることが、睡眠と上手く付き合っていくための重要な要素になるでしょう。
4.睡眠科学を学校教育に
学問としての睡眠は、下図のように大きく3つに分類されます。
本記事から全3回では、そのなかでも睡眠の役割やメカニズムを扱う、睡眠科学について着目します。
ちなみにDeNAでは、新入社員研修に睡眠科学を取り入れるなど、睡眠をパフォーマンスを発揮するスキルとして捉えております。
また、2022年度から高校の家庭科に、資産形成が組み込まれます。
これと同じように、脳の発育や各種記憶の定着において重要である睡眠についても、学校教育に組み込むべきではないかと思います。
なお、睡眠についてはミーム要素が強く、家族全員のリテラシーを高める必要があります。大人も子供も、みんなで学ぶことが大事です。
これで課題認識編の本記事は終わりとなります。
2本目の記事は、メカニズム編です。具体的にどんな生体リズムが人間に備わっているか理解を深めたいと思います。
P.S
写真は実家で飼っているねこちゃん(名前はふくたろう)。1日16時間くらいは寝ているらしい。今は人間も猫になれるチャンスかも。
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