「つらかったら休んでいいよ」休むこと、はなすこと|和田彩花さんインタビュー2/2
前編では、自身の生理時の不調や対処法についてオープンに語ってくれた和田さん。今回は、和田さんがフランス生活で気付いた生理やピル事情、さらにはアイドル時代の体調管理について話が及びました。
文/アケミン 写真/服部恭平
ピル、ナプキン……国によってこんなにも違いがある
ーー和田さんは現在、フランスに長期滞在をされていますが、日々の暮らしの中で女性のからだや生理について、なにか新しい発見や気付いたことはありますか?
和田 フランスに来て「すごいな」と思ったのが、普通のスーパーの生理用品売り場には、ナプキンのすぐそばに月経カップと吸水ショーツが置いてあることですね。日本ではまだ売っている場所も限られているのに、フランスでの選択肢の多さに驚きました。
ーー日本の生理用品は世界的にも機能性が高いと言われていますが、和田さんは生理用品は日本から持ってきていますか?
和田 私、適応力が高いので(笑)特に日本からはなにも持って来ないまま、フランスでの生活をスタートしちゃいました。ナプキンもこっちで調達しています。
これまで試したものの中には、箱の中にナプキンが包装なしで直に入った状態で売られているものもありました。日本だとナプキンはすべて個包装されているじゃないですか。あれがないんですよね。
ビニールの個装は持ち運びには便利だけど、これならゴミも減るし、包装を剥がす手間もいらないですよね。最初はちょっと驚いたけど、家で使うときにはすっかり重宝しています。
ーーピルはどうですか?
和田 ピルもこちらで処方してもらっているのですが、すごく安いんですよ。保険適用で1ユーロ(約132円、2023年2月15日現在)ですね。
ーーそれは安い!!
和田 「ピルへのアクセスのしやすさってこういうことか!」と実感しました。しかもフランスでは、25歳まではピルや避妊リング、避妊パッチなどが無料で手に入るようになったんです。
日本だと1か月で3000円ぐらいかかるし、1回で3か月分まとめて出してもらうと1万円ぐらいかかりますよね。これって若い世代にとっては、ハードルが高い金額です。たとえ自分が使ってみてよかったからといって、「ピルという選択肢もあるよ」と年下の人に伝えるにも、躊躇してしまう額のように感じます。ピルひとつとっても、国によってこんなに差があるとは驚きでした。
「生理ごとき」では休めなかったグループ時代
ーー和田さんが10代の頃、アイドルグループで活動をされていた頃は、生理前の不調を「不調」と捉えることが難しかったと前回のインタビューでお話されていましたね。
また常に笑顔でステージに立つことを求められるアイドルにとっては、たとえ生理時でからだに不調を覚えても休むことは難しいのでしょうか?
和田 グループにいたときは、多少体調が悪くても急には休めなかったですね。もちろんインフルエンザや大きな病気でお医者さんに止められたりした場合は休めますが、「生理でおなかが痛いので休みます」とは言えなかった。
あえて強い言葉で言うなら「生理ごとき」では休めない、それも現実でした。メンバー全員揃ってのお仕事だと、ステージならひとり抜けたら誰が代わりに歌うのか、ダンスのフォーメーションはどうするか……1人欠けるだけでも色々と調整しなくてはならないことが多いんです。もちろん今はコロナで多少は事情も変わってきたかもしれませんが。
「気合い」や根性論は、もうおしまい
ーーグループでの活動となるとなかなか難しいところもあるんですね。
和田 今振り返ると、そういう状況では今以上に自分で症状を改善していくことが求められていたよなあと思います。当時のように忙しいときこそ、ピルをうまく使えていれば……とも。
また「体調が悪い」と言ったとしても、ときに「自己管理ができていないから」という言葉が飛んでくることもありますよね。「アイドルはこうあるべき」と求められるなかでは、体調に関しても「気合い」や根性論で語られる部分も多かったように思います。個人的にはそういうものはなくなってほしいと願っていますね。
体調が悪いことを謝る必要はない
和田 そもそも体調が悪いときに「自己管理がなっていない」と言われると、自分で自分を責めてしまいますよね。最近では、芸能人がコロナウイルスに感染して謝罪する様子がニュースで取り上げられますが、体調が悪いのはなにも自分を責めることじゃないし、謝る必要はないと私は思います。
もちろんそれってアイドルに限らない話だと思うんです。
会社でお仕事されている人でも、「この日はどうしても抜けられない!」ということはあるはずだし、そんな日に体調が悪いことがたまたま重なってしまう……というのも仕方ないですよね。
「つらかったら休んでいいよ」と言える空気感をつくりたい
和田 今はみんなそれぞれ忙しいし、抜けられない仕事を抱えていますよね。そんななかで大切なのは、それぞれがどう折り合いをつけて、うまくやっていくかということだと思うんです。
からだや生理についてもっとみんなで気軽に話し合えるようになれば、「今、体調があまりよくなくてちょっとしんどいんだ」って周りの人に伝えられたり、「つらかったら休んでいてもいいよ」とフォローし合える……そんな空気感をみんなで作れるような気がします。
こうやってこれまで話しづらかったテーマも、少しずつ話していくことでひとりひとりが過ごしやすくなることを願っています。
前編へ
生理の時期、どう過ごす? わたしが見つけた心地よさ
|和田彩花さんインタビュー1/2