Kくん
現実の世界で昔の私と今の私を繋げてくれるキーマンのKくんという人がいる
Kくんは中学時代の同級生で、そんなに親しかったわけでもないけれど、好きだったFくんと共にバンドを組んでいたので知っていた
さりとてどのグループに属するでもない、少しみんなより大人びた雰囲気を持った人で、年上の彼女がいて、初体験も済ませてるなんて噂もあった
そんなKくんに再会したのは二十歳の成人式の日のこと
私は好きだったFくんに会いたいと、その姿を一生懸命探すけど、一向に見つからない
するとそこにKくんが現れた
「あ!ねえねえ、今日ってFくんは来てないの?」
そう尋ねるとKくんから返ってきた答えは、私にとって衝撃的なものだった
「Fな、結婚するねん。ちゃんとした結婚式はしないけど、今日、居酒屋で仲間うちでの結婚祝いするねん」
高校生になってからFくんに彼女が出来たのは知っていた
けれど、まさか二十歳で結婚するなんて…
私はKくんに頼み込み、急遽その夜の結婚祝いの会に参加させてもらう事になった
そこで私は2人にお祝いを渡し、祝福の言葉を述べて、10代の頃からくすぶり続けていた恋心に終止符を打ったのでした
その後、FくんにもKくんにも会うことはなく、数年が過ぎたある日のこと
不思議な夢を見ました
夢の舞台は中学の同窓会
成人式の時とも似ているけれど、そこには居なかったはずのFくんもいます
ひとしきり楽しい時間を過ごしたあと、私はそろそろ帰るねと告げて帰ろうとします
しかし、私が帰ろうとしているのは家ではなく、そことは別の世界
ドラえもんのタイムマシンの出口のような穴が空中にぽっかりと開いていて、その穴から向こうの世界に帰るというのです
「行ったらあかん!」
そう言って足をつかんだのはKくんでした
私は何故Kくんが私を止めるのかもわからず、そこで目が覚めました
そして、目が覚めた時
不思議な事に寝転んだまま足だけが上に上がっていたのです
仰向けに寝ていて、布団もかぶっているのに、足が上にあがるなんて寝相はあまり聞いた事がない
その時、足にはKくんに掴まれていた感覚がまだ残っていました
もしかしたらKくんの魂が、私の魂が異世界に飛んでいきそうだったのを救ってくれたのかも知れません
余談ですが、その後何十年も会う事もなく、音信不通になってしまっていたFくんと再会するきっかけをくれたのもKくんでした
Kくんとも成人式以来だったのに…です
ひょんなことから繋がって、2人とは20年来の再会となりました
さらに余談ですが
ある日、私が息子を連れて実家から駅に向かっていた時、信号待ちをしていると、たまたまその信号に差し掛かった一台の車から私を呼ぶ声…
「こんなとこで何してるん?」
…Kくんでした笑
そこから何駅も離れた自宅に帰る途中だったらしく、私たちの目的地に近かったので、そのまま車に乗せてもらい、送ってもらいました
どうもKくんには私を見つける才能があるみたい?笑
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