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【精神科・心療内科】病院選びのポイント
わたしはこれまでに2ヶ所のメンタルクリニックにかかりました。
特に今のクリニックは先生との相性が抜群で、診察の度に「この先生が好きだなぁ」と思うほどです。
経験がたったの2ヶ所なので、病院選びのコツなんて大仰なことは書けないのですが、それぞれの病院をどのように選び、実際にどんな病院だったかを書き記しておきます。
最初のメンタルクリニック
2023年の年明けから、あからさまな鬱症状(一切笑顔になれない、何をしても楽しくない)が一ヶ月間続き、メンタルクリニックの受診を決意しました。
クリニック選びのポイント
初めてのメンタルクリニック。
重視したのは、主に立地とネットの評判でした。
自宅から近い
我が家は最寄り駅が2つあるため、その周辺
最寄り駅の隣駅が小規模なターミナル駅なので、その周辺でも可
Google口コミの平均的な評価が高い
あまりにも様子のおかしいor理不尽な内容の低評価は除く
すぐに予約が取れる
笑顔になれない日々が1ヶ月続き、たまたま有給を取っていた日に「今日なら行く気ある!」と思い立った
この結果、隣駅の近くにあり、かつ電話当日に予約が取れた病院にかかりました。
実際はどんなクリニックだったか
結論から言うと、可もなく不可もなくでした。
診療体制について
医師は曜日代わりで3名
こういった場合、名指しで無い限り口コミがどの医師に対するものかは不明
待ち時間は15分前後
予約は取りやすく、平日であれば当日でも初診の予約ができた
院内について
待合室
狭くて縦長の形状をしており、すれ違いも困難なレベル
壁に沿って横一列に座席が用意されている
診察室
扉は待合室の目の前で、重厚感があるドアでもないため、大きめの声でしゃべると待合室に声が漏れそう
空間は広めだが、学校の職員室のようなシンプルな部屋
患者が座るのは、職員室にありそうな回転する椅子
担当医について
おとなしめ、あっさりしている、さっぱりしている、といった印象の男性医師
初診は時間が長めだが、全体像を掘り下げて聞いてくれる感じはなく、薬処方のための質問が多め
自分から「あれも」「これも」と話しやすい雰囲気はない
初診の際は別途看護師に採血をされ、2回目で採血結果フィードバック&抗うつ剤処方
以後の診察は非常に淡々としており、薬の量のみを調整
出された抗うつ剤がしっかり効いたので、半年経たずに断薬までできて、以降は一度も行っていません。
2つめのメンタルクリニック
2024年の夏、ちょうど前回の鬱から1年後に、前回とは様子が異なる不調が現れました。
前回と同じクリニックに行くか悩みましたが、複数のポイントから「今回は新しく探したい」と思い、調べなおしました。
クリニック選びのポイント
二度目のメンタルクリニック選びはかなり慎重にいきました。
自宅から近い
前回は隣駅から徒歩10分弱だったが、行くのが結構面倒だった
ふたつある最寄り駅周辺、もしくは隣駅から徒歩3分以内
初診でじっくり話を聞いてくれそう
今回の不調は、「鬱っぽくはない」「思い当たる原因がひとつもない」という特徴があったため、話をよく聞かずに判断されるのが怖かった
前回の抗うつ剤で離脱症状に苦しんだため、処方薬の判断を急ぐような医師はNG
病院のHPの案内が充実している
精神科は低コストで開業できるそうなので、医師の経歴は確認必須
Googleの口コミで難点が見つからない
口コミのチェックポイントは後述
前回よりかなり条件が厳しくなりましたが、予約の取りやすさを度外視した結果、開業して間もないひとつの病院が候補にあがりました。
初診はネット予約のみで1ヶ月待ち。
毎日キャンセル枠のチェックをして、10日ほど診察を早めることに成功しました。
実際はどんなクリニックだったか
冒頭にも記載した通り、非常に相性が良いクリニックでした。
診療体制について
医師は院長先生のみ
待ち時間は曜日にもよるが、1時間半ほどかかることが多い
初診の予約は非常に取りづらく、ネット予約のみのため融通も利かない。2回目以降の予約は診察後のお会計時に取る仕組みで、取りやすい
初診の予約後、非常に長くて細かいWEB問診票がある。自由記述も文章量MAXで丁寧に回答したら2時間ほどかかった
院内について
待合室
広めで、清潔感がある
同じ方向を向いた椅子が点々と用意されている
診察室
待合室から廊下をコの字型に進んだ先にある
扉もしっかりしており、会話が外に漏れる心配が一切ない
空間がかなり広く、採光や観葉植物もあり、温かみがある雰囲気
患者が座るのは、ゆったりした3人掛けのソファ
担当医について
穏やかで、温かみがある印象の女性医師
初診は30分の枠で予約するが、時間を気にせずにゆっくりじっくり話を聞いたうえで結論や見解を出してくれる
わたしの初診は45分くらいだったと思う
おそらく30分を過ぎると数分おき?に受付からタイマー代わりの内線が鳴るが、先生は焦る様子もなくおっとりと話を続けてくれる
相談した問題点だけにフォーカスせず、問題点周辺の全体像や性格も把握しながら診断してくれる
自分から「あれも」「これも」と話しやすい雰囲気
予約時のWEB問診票にも目を通してくれている(あまりに長いので、そんなに見てくれないと思ってた)
2回目以降の診察も態度が変わることは一切ない
引き続き話しやすい雰囲気で、前回からの変化もよく見てくれる
大きな変化や新たな相談がなければ、5分程度で診察が終わる日もある
(症状や緊急性にもよると思うが)すぐに薬を出すタイプではない
わたしの場合、1~3回目は眠剤の処方のみで、4回目の診察で初めて気分安定薬が出た
期待した通り、とにかく「話をじっくり聞いてくれる」クリニックでした。
そのぶん待ち時間はかなり長いので、ハードスケジュールの方や、性格や障害で長時間待つことが苦手な方には向きません。
相性が良いと感じる一番のポイント
上記だけでもわたしにとっては素晴らしいクリニックなのですが、会話を重ねるごとに先生に惹かれる理由はこれだけではありません。
わたしは現在、双極性障害Ⅱ型とADHDの診断が出ており、鬱状態につき3ヶ月の休職に入っています。
ところが、先生は双極性障害やADHDこれらを「完治すべき障害」ではなく「活かすべき特性」と捉えているように感じます。
実際にこれらの障害を「悪いもの」と捉えた発言は聞いたことがなくて、「ADHDで成功している人、たくさんいるんですよ」「あなたのADHDはこういうところが素晴らしいですね」とポジティブな言葉をくださるのです。
これは、実はわたしの希望とも一致しています。
双極性障害とADHDについて調べていくうちに、わたしはこの2つの障害のおかげで、むしろ人生がうまく回ってきたのだと気づいたのです。
だからこれからも、このふたつを失くしてしまわずに、積極的に乗りこなしていきたいと思っています。
今の先生ならば、上手に乗りこなしていくためのコントロールを安心して任せられると感じています。
人によってクリニックや医師に求めるものは異なると思いますが、わたしにとってのベストなクリニックは、今通っているクリニックなのです。
クリニックの口コミをどう見るか
わたしは飲食店や美容院、病院を選ぶ際に、ある程度口コミを参考にします。
病院の口コミを見た経験がある方はわかるかと思いますが、まともな口コミなんてほとんどないです。
そもそもわたしの感覚からすれば、「口コミを書こうかな」と思うのは相当嫌な目にあったときで、満足したときはわざわざ口コミを書こうとも思いません。
(よほど大満足し感動すら覚えるレベルの時は、書こうと思い至ることもあります)
精神科ともなればこの傾向はさらに顕著だと感じており、高評価が連続していたらむしろサクラを疑います。
口コミのチェックポイント
では、精神科を探す際にどんなポイントを見ていたかをご紹介します。
基本的には不満を持つ人が書きにくる場であると意識して読む
この視点を忘れると、通いたいと思える病院は一瞬で0になる
★の数は気にしない
平均点で判断できることは少ない
ただし、平均★1.5以下はさすがに地雷の可能性が高いので慎重に判断
精神科・心療内科の役割はカウンセリングではないと理解する
よく「薬を処方するだけで話を聞いてくれない」といった不満の口コミを見かけるが、病院としては間違っていない
ただし診断に必要な話さえまともに聞いてくれない病院はNGなので、「初診なのに全然話を聞いてくれなかった」と書かれている場合は要注意
じっくり時間をかけて相談に乗るのは臨床心理士の仕事なので、「とにかく話を聞いて一緒に解決を目指してほしい」という場合は、カウンセリングルームを探すと良い
良い口コミは文章量で判断
わざわざ良い口コミを書くということは、サクラで無ければ余程感動したか、自分用にメモを残したい場合罵詈荘厳が多い
→内容が具体的で、文章量が多い口コミが複数件ある病院は信頼できる
悪い口コミは複数の側面から判断
とにかくブチ切れしており罵詈雑言の連続、もしくは冷静な語り口調だが内容にまとまりや具体性がない
→レビュワー側に問題がある可能性が高いと判断し、流し見冷静で理路整然とした長文
→以下に着目してよく読み、参考にする怒りの矛先は受付か、医師か、その他システム(予約等)か
受付に対する不満ならば、「自分なら許容できそうか」「うまく対処できそうか」の軸で考える
医師に対する不満ならば、「世間一般の倫理観に照らし合わせて問題があるのか」「レビュワーとの相性が悪かったのか」「処方薬の選定に問題があるのか」を判断
倫理観の問題の場合、「医師としての腕は良く、自分が医師の発言に傷つかない自信がある」のであれば引き続き候補に入れる
レビュワーとの相性の問題の場合、「レビュワーの不満」ではなく具体的な「医師の診察の特徴」に目を向けて、自分に合うかを考える
処方薬については「希望を聞いてくれない」という口コミを見かけることがあるが、これは医師の判断が適切な場合もある。「明らかに誤った薬を処方され、悪化した」という口コミが複数件ある病院は絶対に候補から外す
その他システム(予約等)に対する不満ならば、自分の求めるスタイルと一致するか、またシステム以外のメリットを考慮すれば目を瞑れるかを判断する
患者の口コミに病院から返信がついている場合
病院の返信内容が一律で、丁寧ではあるが口コミに対する回答にはなっていない
→流し見。口コミ対応に割くリソースは病院によると思うので、不誠実と判断するには早い。病院の返信内容が丁寧で、一つひとつの口コミの内容に対するアンサーになっている
→流し見病院の返信内容が言い訳がましい
→患者の口コミの内容を見て「自分も同じ不満や怒りを抱きそう」と思った場合は、候補から外す方向で慎重に考える病院の返信内容が高圧的
→論外。候補から外す。酷評に怒る気持ちも理解はできるが、それが「精神科の口コミの場」であることもふまえたら、高圧的にブチ切れする返信を書く病院は信頼できない
長くなりましたが、以上です。
そもそも精神科を探すようなシーンでここまで丁寧に見ることは難しいと思いますので、無理のない範囲で参考にしていただければと思います。
ちなみに、わたしは2回目のメンタルクリニック選びの際は1週間にわたり、何度も周辺の病院の口コミをチェックしました。
その時の気分によって「やっぱり行きたいところなんてない!」と思うこともあれば、改めて読むと「ここなら大丈夫かも?」と思えることもあります。
酷評を見続けるだけでも気持ちが疲れてしまうので、口コミを見て判断したい場合は、少しでも調子が良いときに探してみてくださいね。