CRC働き方解剖図ー医療機関編
こんにちは。CRCのあめりです。
今回は、CRCの働き方について「医療機関」という切り口から紹介したいと思います。
当初は「院内CRCとSMOの違い」についても一緒に書こうと思っていたのですが、想定より医療機関のボリュームが長くなってしまったので(笑)今回は「医療機関編」とタイトルをつけてみました。
いつか「院内CRC・SMO編」も書ければと思います。
それでは、よろしくお願いします!
※CRCってそもそもどんな仕事かよく知らない!という方は、以下のサイトを参照してから読んでみるとよいかもしれません!
前書き
CRCと一言で括っても、CRCが活躍する医療機関は様々です。
そしてCRCは医療機関や疾患にとても左右される職種であると私は感じています。
看護師で例えるとするならば、内科系の看護師さんだった人が突然オペ室へ行ってくれと言われるような感じでしょうか。
また看護師に限らず企業でも、アサインするプロジェクトによって業務内容が変わることは往々にしてあるかと思います。
違う働き方をされているCRCさんもいるとは思いますが、「こういう働き方・CRCのあり方もあるんだな〜」くらいに思っていただければ幸いです。
前置きが長くなりましたが、今回は医療機関を「クリニック」、「中〜大規模病院」、「オンコロジー専門病院」の3分類に分けて紹介したいと思います。それぞれの医療機関を
【出勤形態】
【インフラ面】※労働環境など
【CRCとして求められるあり方】
の3つの側面から経験談も含めて紹介したいと思います。
クリニックでの働き方
【出勤形態】
・土日開院の場合は、休日出勤が必要となる場合もあり
・開院時間に合わせて自分の出勤時間を調整
・平日の休診日は、自分も休める場合もあり
【インフラ面】
・CRCの待機スペースの広さにバラツキがある
・最低限のリソースしか割けない場合、1人で対応をする時も
※孤独が苦手な人は心許ないかも。自分のペースで進めたい人には向いているかも。
【CRCとして求められるあり方】
・スタッフに「治験とは」を周知する必要がある
(治験の実施本数が少ないとスタッフへの教育も重要)
・治験薬/検体管理をCRCが主導で行う
・保険点数/会計関連に十分な知識
・業務を短時間で終わらせる力
・多症例を回す力(所謂スケジュール調整力)
・ボランティアの対応術
※経験上クリニックがボランティアを利用する機会が多かったため、こちらに記載しました。
・医師含め現場の逸脱への抵抗感は少ない。医師↔︎CRC↔︎依頼者の3者でのやりとりが多い。
中〜大規模病院での働き方
【出勤形態】
・月-金の9-17時勤務がメイン
※病院によっては、8時出勤が必要な場合もあり
・土日の出勤は稀
※急性期の試験の場合は、オンコール体制をとることも
【インフラ面】
・治験事務局(名称はさまざま)/院内IRBが存在する病院が多い
・CRCの待機スペースはクリニックよりは広いが、バラツキはある
・病院の規模が大きいと、治験事務局から診察/検査ブースが遠くなり、移動が大変な場合もあり
・治験薬は薬剤部管理、検体は検査部管理など、分業している。CRC個々の職務ではなくなるが、各部門ごとに調整する必要がある
【CRCとして求められるあり方】
・院内ルールに準拠しながら治験を遂行する力
・複数疾患を掛け持ちするため、各領域に関する十分な知識が必要
※その道を極めている医師・看護師を相手に説明するのは、かなりプレッシャー
・診療科/検査科/医事課との交渉力
・院内IRB/治験事務局/院内CRCとの折衝
・逸脱への抵抗感は高め。SMOの場合、院内スタッフへの報告も必要のため、4者間協議となり、小さな逸脱が大きな問題へ発展することもしばしば。
オンコロジー専門病院での働き方
【出勤形態】
・中〜大規模病院と同じく、週5出勤
※SAE発生時は、休日出勤する場合もあり
【インフラ面】
中〜大規模病院と類似している点が多いです。
特筆すべき点としては、治験の実施本数が多いため、治験の理解が深いスタッフさんがたくさんいらっしゃいます。治験慣れしているため、スムーズに進められるという側面もあります。
(ただし、施設ルールが多いこともある)
【CRCとして求められるあり方】
基本的には、中〜大規模病院で求められるあり方が必要ですが、さらに以下のような知識やスキルが求められます。
・疾患の知識や標準治療に関する最新の知識が必要
※他疾患でも必要ですが、アップデートの速さが段違いのため。
・オンコロジー試験特有の治験の知識を身につけておく必要がある
(ex:RECIST/投与・減量・中止基準など)
・患者さんとのコミュニケーションスキルがより求められる印象
・SAEレポートの作成などイレギュラーな事態への迅速な対応力
※SAEの発生率が他領域より圧倒的に高いため
・逸脱については、中〜大規模病院同様院内スタッフへ報告は必要ですが、実施本数も多いためマイナー逸脱は大きな問題にならないことが多い印象
最後に
先日、CRC仲間と「一人前のCRC」とは、どのレベルに到達したことを指すのだろうか、という話をしました。話の中で答えは出ませんでしたが、私は働く上でその人に合った医療機関や、疾患があるのではないかなと思います。自分が極めることのできそうな領域や施設規模を見極めていくことが大切なのではと感じました。
もし、CRCになって日が浅い人がこの記事を読んでいるのなら、これだけは伝えたいです。
「CRC向いてないかも」って思うことがあるかもしれないけど、もしかしたらそれは「CRC」ではなく、その「施設」があなたに合っていないだけかも!!!!
今回紹介した通り、CRCには働く場所がたくさんあります。そして、その場所で求められる知識や能力も異なります。今の場所は向いていなくとも、他の場所で花が咲くこともあると思います。それが少しでも伝わればいいなと思います。
長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました!