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入院付き添い中の出産
朝、これって破水?それとも尿もれ?
そんな感覚がありました。
いつ産まれてもいい時期に入っていました。
二人目の出産だったので
予定日よりも早くなるだろうと
思ってはいたけれど
よりによって、初雪が降った朝になるとは・・・
出産の荷物は、私の実家に預かってもらっていました。
私は病院に電話をし
付き添いを交代するのに、夫に電話をし
実家に入院時間を伝えて、身支度を始めました。
娘には別の病院で出産することを伝えてありましたが
事情がどれほど理解できているか
夫も、娘も二人きりになるのは初めてで
色々なことが心配になりました。
妊娠した時に、私はこのことも含めて
強い母であろうと決めていました。
「私が今すべきことは、お腹の子を産むこと
後は夫と娘に任せよう」
そう自分に言い聞かせたのでした。
準備が整い、お友達と遊んでいた娘に
「ママ、赤ちゃんを産んでくるからね」と声をかけました。
娘は遊びに夢中になっていて
私の方をチラッと見て手を振ったかと思うと
すぐに、また遊び始めました。
何故だか、心が疼き出しました
体がふたつ有ったらいいのに・・・。
込み上げる感情を振り切るように
私はタクシーに乗り込みました。
事情が事情なだけに、立会い分娩ができる訳でもなく
私は一人で分娩に臨みました。
こっそり持ってきた、娘のハンカチを取り出し
しっかりと握り締めました。
私の方が娘と初めて離れることが寂しかったんだと思います。
陣痛から6時間後、男の子が誕生しました。
予定通り、臍帯血を取るために
臍帯は処置され保存されました。
初めての臍帯血は、特別な準備もなく
母子共に痛みもなく
言われなければ、何をしてるのか
全くわからないものでした。
私は初めて二人の子どもの母親になりました。
白血病で入院している娘
生まれたばかりの息子
どちらも愛おしく、どちらも大切な存在。
ああ、身体がふたつ有ったらいいのに。
お産が済んで直ぐに頭をよぎったのは
病院に置いてきた娘のことでした。
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