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母に触れたとき

         

母の体に触れたのは、何年ぶりだろうか
記憶にあるのは
2年前に、乳がんの術後に
麻酔から覚めた母が、酷く苦しそうで
背中をさすったのが最後だったと思う

幼い頃、母は私を抱きしめたり
頭を撫でるような人ではありませんでした

私は訳あって
何度となく手術を経験してきたけれど
手を握られることもなく
いつも距離を置いて見ていた母でした

生まれてからずっと、そうだったから
特に違和感はないけれど
親になった私は
自分の子どもを育てながら
子どもは母親にくっついたり
触ったり、匂いを嗅いだりして
四六時中、親の存在を確かめていたい
存在だと理解しました

リフレクソロジーを学んだ私は
リフレクソロジーを言い訳にして
母の足に触れることを自分に許可しました

浮腫んだ足に沈む指の感覚は
ちょっとドキッとしたけれど
やり進めていくうちに、どんどんと
足の甲に皺が現れてくるのが目に見えて分かりました

皮膚と皮膚とが合わさり
相手の体温が伝わり
筋肉の硬さや、弾力を感じながら
私の指先の感覚に意識を集中し
じっくりと進めていく
気が付けば1時間があっという間でした

どんな形であれ
母の体に触れることができたことは
何かやり残した人生の宿題を終えたような
達成感がありました

母へのリフレクソロジーは続けていこうと思います
母との関係を創るために
母に触れ続けていこうと思います



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としみ
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。またの訪問をお待ちしています : )