KIKAU KOTONO ENERUGII #29
十字架
娘が亡くなって
無機質な世界を生きていた私は
全ての感情を無くしたようでした。
娘を助けられなかった罪悪感
娘を失った深い悲しみ
共に人生を生きるはずだった娘を失い
これからの人生を見失っていました。
もはや、何に苦しんでいるか
全く分からないほどに混乱してしまい
生きる気力を失い
死んでもいいとすら思っていました。
しかし、私には10ヶ月になる息子がいました。
私は、この子を妊娠した時に
全ての困難を受けて立と誓っていました。
だから、死を選ぶことは出来ませんでした。
何をするにも苦痛が伴い
感動もやり甲斐も感じない中で生きるしかない
そのような追い詰められた気持ちから
私が出した結論は
「十字架を背負って生きていく」でした。
当時の私には、どんなに辛くても
未来に希望を持てなくても
息子との約束を守るために
仕方なく生きている
生きていくしかないのだという感覚
だったのだと思います。
でも、この十字架は
実在もしなければ、私自身が創ったものでした。
十字架を背負って生きていく人生
そう、私が創った人生のストーリーだったのです。
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