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461・「国書刊行会」という奇書ばかりの出版社について

酷暑観光界ではないですよ、国書刊行会って変な出版社を知っていますか?


国書刊行会

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この項目では、1971年に設立された出版社について説明しています。1905年から1922年まで活動した出版団体については「国書刊行会 (1905-1922)」をご覧ください。

株式会社国書刊行会
KOKUSHOKANKOKAI INC.
種類株式会社本社所在地

日本
174-0056
東京都板橋区志村一丁目13番15号本店所在地174-0056
東京都板橋区志村二丁目10番5号設立1971年昭和46年)10月23日業種情報・通信業法人番号9011401002162

事業内容書籍の出版・販売代表者佐藤今朝夫代表取締役社長)資本金4,800万円従業員数85人(2011年6月現在)外部リンクhttps://www.kokusho.co.jp/テンプレートを表示

株式会社国書刊行会(こくしょかんこうかい、: KOKUSHOKANKOKAI INC.)は、東京都板橋区に本社を置く日本出版社1971年設立。

歴史[編集]

創業時は印刷業を営んでいたが、出版社から依頼された復刻版を印刷していた折に出版業参入のヒントを得て移行、まず学術資料書籍の復刻出版を目的として設立された。社名は、江戸期の有名な本を復刻出版していた明治期の出版社「国書刊行会」の名前を借用しており、同社の復刻版も出版していたことがあるものの、まったく別の会社である[1]。『明月記』『玉葉』の刊行で事業を開始。当初は神道・仏教の原典復刻版や、国文学・国史関係の学術資料の出版が主力であり、現在もこれらの分野の書籍を刊行している。

1975年からの「世界幻想文学大系」から、欧米、中南米、アジア諸国などの海外文学やミステリSFの翻訳出版も行っている。他に西洋日本美術史関連の画集や大きな企画も多い。

世界幻想文学大系」の出版以来、幻想文学オカルト関連の翻訳本出版で一般には知られている。特に、ファンタジーでない実際の魔術に関する基本的書籍は、ほとんどここから刊行されており、アレイスター・クロウリー法の書の邦訳版を刊行したことも有名である。なお「世界幻想文学大系」は、紀田順一郎荒俣宏が企画しあちこちの出版社に持ち込んだが、あまりに壮大な企画のためにことごとく断られ、諦めかけている折にたまたま国書刊行会を訪ねたところ、社長の一存でたちどころに出版が決定したという。同シリーズの刊行により1976年度の日本翻訳出版文化賞を受賞した。

仏教書を刊行していたことから、寺院向けの物品を販売する部署もかつて存在しており、僧侶向けのシェーバーや座布団、傘なども販売していた[1]

2012年、子会社にて釧路管内弟子屈町で源泉から湧き出す温泉の熱を活用した「バイナリー発電」事業を行うことを明らかにした。湯温97度の源泉1本を使う。最大出力100キロワット[2]

2013年には初のDVD「天才執事ジーヴス」を発売。

シリーズ[編集]

学術資料[編集]

  • 新纂大日本続蔵経 全90巻(1975年 - )

  • ふるさとの想い出写真集 明治・大正・昭和(1977年 - )

  • 東京裁判却下未提出資料集(1995年)(第43回菊池寛賞受賞)

  • 新・国史大年表(2006年 - 2015年)(第49回吉川英治文化賞・第69回毎日出版文化賞受賞)

海外文学[編集]

ミステリ[編集]

  • パリ風俗犯罪ファイル(1990年? - 1991年)

  • 探偵クラブ(1992年? - 1994年)

  • 世界探偵小説全集(1996年? - 2007年)

  • ミステリーの本棚(2000年? - 2001年)

ホラー[編集]

SF[編集]

日本文学[編集]

近世文学[編集]

  • 建部綾足全集(1986年? - 1988年)

  • 叢書江戸文庫(1987年 - 2002年)

  • 江戸怪異綺想文芸大系(2000年? - 2003年)

  • 現代語訳 江戸の伝奇小説(2002年? - 2003年)

少女文学[編集]

近代文学[編集]

  • 沖縄文学全集(1990年? - 刊行中)

  • 日本幻想文学集成(1991年? - 1995年)

  • 西条八十全集(1992年? - 2007年)

  • 日本文学研究大成(1998年? - 2004年)

  • 野坂昭如コレクション(2000年? - 2001年)

  • 野坂昭如リターンズ(2002年? - 2003年)

  • 日影丈吉全集(2002年? - 2005年)

  • 鴨居羊子コレクション(2004年? - 2004年)

  • 島木健作全集(1976年 - 1981年)

  • 知の自由人叢書(2005年? - 2007年)

  • 矢野峰人選集(2007年? - 2007年)

  • 定本久生十蘭全集(2008年? - 2013年)

  • 長谷川伸傑作選(2008年? - 2008年)

宗教[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

  1. ^ a b 林雄司 (2010年12月14日). “@nifty:デイリーポータルZ:珍書・奇書を出し続ける出版社”. イッツ・コミュニケーションズ. 2018年1月3日閲覧。

  2. ^ 弟子屈で湯の熱発電 摩周湖温泉と国書刊行会 道内初 源泉使い最大100キロワット[リンク切れ]、北海道新聞、2012年12月7日

参考文献[編集]

  • 『私が選ぶ国書刊行会の3冊 - 国書刊行会40周年記念小冊子』国書刊行会、2012年

関連項目[編集]

元社員が独立して設立した出版社

元社員

外部リンク[編集]


フェティッシュの火曜日

 

「あなたも仙人になれる?!」って帯だ

月にいちど、「おまかせ書店」という企画をUSTREAMで実施している。

「1000円で仕事に役立つ本」や「2000円以内で彼女が家に来たときにテーブルの上にあるとかっこいい本」などのリクエストに応じて本を送る企画だ。立川にあるオリオン書房ノルテ店を閉店後借りて行っている。

ちょっと狙って変わった本を選んだりするのだが、そうすると特定の出版社ばかりになることに気づいた。

国書刊行会という出版社だ。

林 雄司

変わった本を選ぶとたいてい国書刊行会

11月のUSTREAMできちんと紹介したのは20冊程度なのだが、そのうち3冊が国書刊行会の本だった。約1/6が国書刊行会である。メジャーな出版社をさしおいてこの比率の高さはなんなのか。

オリオン書房はよそで見かけない本が多いので買って帰ったり、気になってあとから買うことが多い。そうして買った本を家で見返してみたらやっぱり国書刊行会だった。

「巨人」(ジャン=パウル著)オリオン書房で10年間いちども売れなかった本(でもいい本だから置き続けると宣言)

横尾忠則のY字路写真集

世界の市場のビジュアル本

林がオリオン書房で気になって買った本。


いちど話を聞かなければならないだろう

今回取材に対応してくれたのは編集部の課長 竹中朗さん、樽本周馬さん。我々は林と今回の取材をコーディネートしてくれた道場主・石原たきびさんである。

左から、竹中さん、樽本さん

---どういう経緯でこういう本ばかり出しているのでしょうか。変わった出版社と言っては失礼ですが…。

竹中「いや、変わってる。一編集者一出版社みたいな会社なので、編集者がそれぞれがジャンルを持って出しているような感じですね。だから妙に社風がなくて、わけのわからん本が出ている。」

--- こういう本を出したい、という会議があるんですよね?

竹中「会議はね、うーん、あるようで、ない。いわゆる出版社であるような営業と編集が集まってうんうんやるようないわゆる企画会議、というのはないよね。」
樽本「編集長と一対一でどうですかね、って話をして、そこでダメならけんかするなり口論するなりして形を変えて通るまで出す」
竹中「だからボツになった企画ってないんじゃないかな? あ、ほんとに全然知らない外国の作家の全集とかはボツになりますね。でもそういうの昔出たことがあったな。ほとんど無名の日本人作家の全集なんだけど、編集者が辞める前にこれだけは出させてくれってものだった」

これは図書館向けにと営業部が企画した書籍。むかしの軍服の辞典。

こんな資料集見たことがない。


明治にあった会社名をもらう

--- 会社はできてどれぐらい経つんでしょうか

竹中「会社は来年で40年。前身は印刷屋さんだったんですよ。うちの社長がよその会社の復刻版を刷ってるのをじっと見てたら、これおれでもできるんじゃないかと思ったらしい。復刻版は刷ってるだけだから、業者みたいになっているのはおかしいぞ、と。おれもやってやろう、で始まった。

だから最初はもっぱら復刻版。気づいたら印刷のほうが小さくなって、印刷やめて出版社になっていた。」

--- 国書刊行会という名前はどこから?

竹中 「明治のころに同じ名前の版元があって、それも江戸期の有名な本を復刻して出すことをやっていた。それをいただいた。

やってることも名前も同じ。なおかつ、明治の頃に国書刊行会が出した本を復刻して出しているという入れ子構造になってる。会社名も復刻した、みたいなものですかね(笑)

おかげで勘違いしている人が多くて、明治からずっと続いている会社だと思っている人が多い。」

樽本 「歴史系の研究者はむかしの国書刊行会の本を使ってる人がいて、古い会社にいるね、なんて言われたり。あえて否定はしませんけどね。」

いまは刷るだけという復刻版はやってないそうだ。むしろ別冊をつけたり当時の姿を推定して再現したり、ふろくも復刻してつけるなど「逆説的だけど当時のままにするために編集している」と話していた。たしかにいまの復刻版を見せてもらったが新しい本のように(新しい本なんだけど)ピカピカだった。

それいゆ 1950年代の少女雑誌の復刻版

1933年に出版された写真集。表紙がアルミ板。35,000円


変わった本を出すようになった転機

竹中「転機になったのが世界幻想文学大系なんですよ。」

注:世界幻想文学大系。アメリカ・ヨーロッパの幻想文学全集。箱に入って45巻ある。

「ある日、紀田順一郎さんと荒俣宏さんが企画書を持ってやってきて。どの出版社でも断られた企画書なんですが、それをうちが45巻一気に出したんです」

---売れたんですか?

竹中「いや、全然売れてないです。ただ、日本の海外文学の出版において、これを出したことによって、うちが先駆的なものを出すということになっちゃったんですよね。」

その後も外国文学は国書刊行会の幹としていまも続いているとのこと。著名な外国人作家の作品でも最初は国書刊行会から出ることが多いのだ。

これが売れなかったけど転機になった世界幻想文学大系

ものすごく変わった一面

竹中 「うち、仏教の本も多いんですよ。創業時の復刻版がひと段落したときに法名戒名の辞典出したらそれがばか売れして。お坊さんが法名戒名を決めるときの参考にする本です。

仏教書だと売り先がはっきりしているし(お寺です)、DMを送って直接取引で。お寺さんって立派な本を蔵書にしたいってニーズがあるので箱に入った本は人気だったんですね。

これは立派な装丁ですがビジネス書みたいなものです」

と言って見せてくれたのが勧募文例大事典(かんぼぶんれいだいじてん)。

仏教の研究書みたいな名前だが…。

あ、檀家さんへの手紙の文例集!

「檀家さんに送る手紙のテンプレ集です。いまは仏教書の版元さんが類書を出して値崩れしているからうちはもうやめたけど。

こういう仏教書をやって、その横で細々と海外文学をやっていたわけです。」

ちなみに勧募文例大事典は3刷であった。28,800円なのに。


お寺相手のビジネスが加速する

お寺あいてのビジネスは書籍にとどまらず物品に広がっていった。かつて国書刊行会には物品を扱う部署があり、そこから送っていたDMを見せてもらった。珍しくて良書を出す国書刊行会のイメージを覆す物品の数々。

賽銭箱用警報機

住職専用の頭剃りシェーバー。イラストは樽本さん。

電気で暖かくなる座ぶとん。「寒中の勤行が楽になります!」

袈裟が濡れない大きな傘。ジャンボくん。

住職専用の早剃りくんは売れたそうだ。ものとしてはアメリカ製のヒゲ用シェーバーなのだが、ヒゲの硬いアメリカ人用のシェーバーは頭を剃るのにぴったり、とのこと。

賽銭箱用警報機はいまいちだったらしい。

樽本 「なぜ売れなかったか分からないけど、賽銭泥棒って言うほどいないんじゃないか、という説もありました」

賽銭泥棒ってまんがのなかだけかもしれない。

国書刊行会が出版した本の一部。ユーモア大百科から利根川荒川大辞典まで見事にジャンルがばらばら。


実用書・健康法の本はあるのだろうか

去年、フリーというビジネス書が売れたが、あの本は高い、分厚い、翻訳本という売れない本の三要素を満たしていたという話を聞いた(でも売れた)。

竹中「うちはそんなのばっかりですよ(笑)。最初に世界幻想文学大系をやったので箱入りとかシリーズものに免疫ができている。シリーズにすると営業もいちいち説明しないで、次でましたよって言えばいいし。書店さんもシリーズ並べた棚に1冊欠けると気持ち悪いので揃えてくれる。」

---健康法や実用書はないんですか?

樽本「健康法の本は……ないですね。仏教の長寿の本ならありますよ。」

帯に健康法とあるけどほぼ仏教の話だった。不老とかなり大きく出た

竹中さんに「これ便利ですよ」と言われた呪い(まじない)完全マニュアル。取材後、購入。

ギックリ腰を治す呪い。苦情が来てないから効いてるんじゃないかと言っていた。

オカルト本も国書刊行会が強いジャンルである

ただ、前書きが読めない

ちなみにオカルトは詳しい編集者がいないためにストップしているそうである。

樽本「もし社会性のあるオカルト好きの人がいたら社員に応募してください」

とのこと。ただし昔は入って1年は倉庫勤務だったそうです。


話を聞いてて嬉しくなった

国書刊行会が出版している本は珍しくて面白いが、出版以外のビジネスも扱っている商品も面白かった。まさか住職専用の傘を売っているとは思わなかった。しかも名前がジャンボくんである。

それをふたりとも楽しそうに話をしてくれた。売れたんですか?という不躾な質問に対しても「全然売れなくって」と気さくにこたえてくれる(もちろん売れてる本もあります)。

しかしなんだか全体に親近感を持つインタビューであった。

とりあえず取材後に呪い(まじない)完全マニュアルを買ったのでそれをマスターすることにします。

編集部。これぞ編集部という景色


リンク:国書刊行会ホームページ

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