イマーシブ・フォート東京のマーケティング手法分析
あまりにおもしろかったので・・・。
イマーシブ・フォート東京のマーケティング手法分析
Author: Yu Shioji (塩地 優)
Article type: Article(研究)
Article number: 240021
2024年3月1日に、東京・お台場のヴィーナスフォート跡地に開業したイマーシブ・フォート東京は、世界初のイマーシブ(没入)体験に特化したテーマパークです。運営母体が、USJをV字回復させたことで知られる、森岡氏率いる株式会社刀ということもあって、特にマーケティング面でどのような取り組みがされているのか、興味を持たれるところだと思います。一般にマーケティング手法というのは、表に出てくることは多くないのですが、イマーシブ・フォート東京の場合は後述のように、思うように集客ができていない可能性が高く、このため、様々な手法が見える形で表出しています。ここでは、まず業績面の推計を行い、それをもとにして、なぜ、どのような手法が用いられているのか、分析していきたいと思います。なお、消費者へのリーチ方法につきましては、すべてを網羅的に分析しないと意味を持たない一方で、網羅的な分析が困難なため、ここではパーク内で行われている取り組みに注目して議論を進めます。
感想等は一切ございません。筆者の感想は、以下のポストにツリーでまとめてありますので、ご参照ください。
目次
損益分岐点とサクセス・クライテリア
まずは、現状の業績を試算してみましょう。
損益分岐点
運営会社は刀イマーシブ合同会社で、当然ながら親会社も含めて非上場のため、損益に関する公式情報はありません。そこで、周辺情報から推計していくことにします。
まず、賃料を考えます。ヴィーナスフォートの跡地利用を行う森ビルは、その用途が決まるまでの期間限定(推定5年)という形で、イマーシブ・フォート東京に対して賃貸を行っています。このため、賃料相場がそのまま当てはまるわけではありません。では、参考になる情報は何かと言いますと、お隣、MEG@WEB跡地に同じく森ビルから期間限定で賃貸し、運営されているシティサーキット東京ベイです。こちらは、賃貸期間5年(2028年9月末または10月ごろまで)の期間で、賃料総額を含む投資総額が10億円弱であると明言されています[1]。
イマーシブ・フォート東京の土地面積は、シティサーキットの3倍弱。上物に関しては、先に壊すか後で壊すかの違いでしかないので、賃料への上乗せは、ほぼ発生しないと思われます。また、施設内部については、間仕切りの改変等は行われているものの、基本的には仮設のつくりで、既存設備をうまく活用しているため、内装工事やアトラクション設置に要する費用は、シティサーキットと面積単価で大きな違いはないと考えられます。そこで、ここでは賃料+内装工事+設備費(リース含む)の5年総額を30億円と想定します。内装費も5年償却で按分してしまって、6億円/年です。
続いて、人件費を考えます。役者については、発表済みの情報[2]からおおよそ推計することができまして、おおよそ110人/日程度だと思われます。なお、この数字の算出に当たっては、拘束時間が半日の場合、0.5人工としています。
オペレーションに携わるスタッフは、ザックリとですがエントランス付近5、案内所1、ストーリーズ4、第V人格13(演者除く)、ジャック5(演者除く)、花魁3、東リべ6、シャーロック10、レストラン23、ショップ4、その他フロア15。合計89人/日。
いずれも11時‐20時の営業時間を基本とすると、平均9.5時間程度の勤務体系と考えられます。休憩分は別途補充が必要ですが、全員が複数のオペレーションをできるようにして、かつローテーションをうまく組むことで、ロスのない勤務体系が組まれていることを前提とします。時間単価を、福利厚生や派遣会社の取り分まで含めて、役者は平均3,500円、一般スタッフは2,500円としますと、合計で約600万円/日、約22億円/年です。
加えて、バックオフィスに20名程度。刀からの出向と派遣社員の混合と推定して、平均単価は福利厚生含め1,000万円/年。2億円/年を加算しておきます。
光熱水費は、特に電気代のウェイトが大きくなります。基本的にはショッピングモールの居ぬきですので、電気使用量はショッピングモールの平均値を援用して、3,500 MJ/m2年とします[3]。これに、床面積約50,000m2、電気料金約25円/kWhを用いると、年間12億円がかかることになります。その他光熱水費と合わせて、13億円と見積もります。
その他、紙類や印刷費、清掃外注費なども含めて、土地代含むオペレーションコストが計50億円/年程度。開業準備に要した人件費等を5億円として、こちらも5年按分すると1億円/年。演劇類は外部にプロデュースを依頼しているでしょうから、その製作費を合計5億円程度として、やはり1億円/年。それに加えて、飲食や物販の仕入れ費が乗ります。これらをおおよそ5億円/年と考え(飲食費はおおよその食数と、原価率10%で算出しています)、年間支出を57億円と想定します。レストラン、カーサ・ディ・ペローニはスポンサーが入っていますが、これは酒類と食品提供分程度の協賛と考え、明示的には加味しません。
そうしますと、1日当たりの支出は約1600万円。チケット料金は、大人6,800円~で、ボリュームゾーンが1万円弱。そこに飲食費も換算して、平均客単価を1万円と想定しますと、フル稼働の場合には1日当たり1,600人の入場が損益分岐点になる、ということになります。なお、こどもの単価を無視していますが、大人向けの要素が多く、子供料金での入場者数はおそらく5%にも満たない一方、花魁をはじめとして高額のチケットもあるため、そこで相殺として平均客単価を設定しています。
サクセス・クライテリア
では、パークの成功要件(サクセス・クライテリア)は何なのでしょう。失敗の要件は明確です。賃貸期間の5年間を満了できず、後に同じく居ぬきで別案件が入ってしまうこと、あるいは会社が倒産してしまうことです。
そうでない場合は、期間限定の施設であることもあって、賃貸期間満了後には「あの伝説の」といった形で、施設を神格化してしまうことができます。刀はマーケティングコンサルが主たる業務ですから、ポジティブな印象を残せれば、最低限の成功ラインはクリアしていると言えます。したがって、賃貸期間を満了できれば、表現の仕方と、出す情報次第で成功要件を満たした形にできる。しかも、その情報のコントロールは刀の得意とするところである。つまり、賃貸期間を満了すれば、サクセス・クライテリアはクリアしていると言えるわけです。
これがテーマパーク運営を主業務とする企業であれば、最低でも5%程度の利益率を見込みたいところですが、イマーシブ・フォート東京の場合はトントンで良いのです。賃料が、先進的なエンタメに取り組む事業に対して格安で示されている、ということも鑑みれば、かなり緩い設定です。上記損益分岐点と合わせて考えますと、1日当たり1,600人の入場者数を確保できれば、サクセス・クライテリアをクリアしていると言えます。
現状の分析
続いて、イマーシブ・フォート東京の現状の集客を分析してみましょう。これは、アトラクションの待ち時間が参考になります。待ち時間は、イマーシブ・フォート東京の待ち時間専用Xアカウントで公開されています[4]。
ここでは、春休みがほぼ終わっている2024年4/4-4/7の待ち時間を参照してみましょう。平日は、第五人格が30分、その他は最大10分待ち。休日は、第五人格が60分、その他は20分程度の待ち。有料アトラクションは、平日はシャーロックと東京リベンジャーズに空きあり(充足率は不明ですが、70%と推定します)、休日は一部空きありの公演もありますが、ほぼ充足と推定。
それぞれのキャパシティは、一般アトラクションは最大500人/h程度と推定します。例えば、第五人格は8人×4チームが1ロットで、1プレイ3分。入れ替え含めて4分で回転させると、32人/ロット×15ロット/hで、480人/hとなります。
ただし、実際にはそれぞれ回転率が大きく異なります。例えば、第五人格は図1の範囲がフルに埋まった状態で、待ち時間は50-60分と表記されていました。このスペースにいる人数は200人を切っています。VIPパスが半分程度使われることを想定すると、実際の効率は400人/h程度ではないかと思われます。
図1 第五人格の待ち列。図の範囲に200人以下が待ち列を形成した場合、待ち時間は約1時間。
このあたりの実態を鑑みますと、第五人格が400人/h、ジャック・ザ・リッパーが400人/h、イマーシブ・ストーリーズは350人/h程度であると推察されます。パーク内にいる人数は、待ち列にいる人数+アトラクション内にいる人数を算出に使う必要がありますので[5]、VIPパスを利用する人は除外する必要がある点に注意が必要です。有料アトラクションは、シャーロックが180人、東京リベンジャーズが120人、江戸花魁奇譚が60人収容です。有料アトラクションは、休日は花魁5回、それ以外が3回。平日は、花魁3回、東京リベンジャーズ2回に減少します。
ピークの14時ごろで計算すると、最大同時滞在人数は、土日で有料アトラクション360人+第五264人+ジャック120人+ストーリーズ160人+レストラン200人+ショー待ち100人+移動中・休憩中200人で、1404人。20%程度の途中入場があると見込んで、1日の入場者数は1,700人程度。平日は、有料アトラクション240人+第五164人+ジャック40人+ストーリーズ60人+レストラン150人+ショー待ち20人+移動中・休憩中50人で、724人。平日は夕方入場が多いと見込んで、1日の入場者数は1,000人程度。
やはり、フル稼働をしている場合には、損益分岐点を下回っていると思われます。このため、多数のマーケティング施策が同時に取られています。一方で、当然ながら損益分岐点を下げる取り組みも行われていて、有料ショーの開催回数を減らし、ジャック・ザ・リッパーは演者が2組交代制だったと思われるものを、営業時間を飛び飛びにして1組運営に。スパイ・アクションの公演日を繁忙期に絞るなど、様々な取り組みが行われています。これによって、実際の損益分岐点は1,200~1,300人程度にまで下がっていると推定されます。
なぜ客数を見誤ったのか
刀は、確率に基づくマーケティングによって、適切な客数を誘客できるだけの施策を打つことができる会社です。その会社が、なぜ客数を見誤り、必要な誘客ができていない状況に陥っているのでしょうか。
まず、イマーシブ・フォートでは、イマーシブ=没入体験ができるアトラクションのみを取りそろえたテーマパークとして、メディアの興味を強くひきました。これによって、開業日周辺には地上波での特集も多く組まれ、SNSでも話題になるなど、広く話題を誘起しています。ここまでの手腕は見事ですし、根源的なワンワードを使った、刀らしいマーケティングです。
ただし、そこで得られたインプレッション(露出)が、誘客に結び付かなかった。問題は、このコンバージョン率が想定よりも低かったことだと思われます。コンバージョン率が低いことの理由はシンプルです。「イマーシブ」と言われて、何ができるのか、どんな施設なのか想像ができなかったから。「なんかよくわからないけど凄いのができたらしい」という認識で止まってしまい、来訪まで結び付けられなかった。テレビやYouTubeなどでアトラクションの紹介はあるけれども、「今までのショーやお化け屋敷などと何が違うの?違ったとして何が楽しいの?」という疑問に答えられなかった、というところだと思います。
ただし、コンバージョン率が低いこと自体は問題ではありません。それに合わせて、インプレッションを増やせば良いのですから。あるいは、コンバージョン率を上げるために、丁寧な説明となるようあらかじめ用意しておけば良かったのです。最大の問題は、コンバージョン率を見誤ったことです。では、なぜコンバージョン率を見誤ってしまったのでしょうか。
これはおそらく、「正しい参考となるデータが無かった」ためだと考えられます。刀が参照したデータは、例えばUSJの露出と、そこからのコンバージョン率ではないでしょうか。あるいは、劇団四季など、演劇系エンタメの新規公演のデータも用いたかもしれません。ただ、これらは、「そこで何ができるか」が浸透している状態での露出とコンバージョン率です。USJでも、「世界最高を、お届けしたい。」など、抽象的なワードを長らく使っていました。ですが、これはどんなアトラクションがあるのか、というのがある程度浸透した状態で、「世界最高にアップデートをした」というポジティブな印象によって来訪の動機づけを行ったものです。そのコンバージョン率と、何ができるかわからない状態で抽象的なワードだけを浸透させた場合のコンバージョン率は、大きく異なっていたのではないでしょうか。要するに、エンタメ業界に新規ブランドを大々的に立ち上げた場合のコンバージョン率のデータが無くて、楽観的なデータ引用になってしまった。しかも、それが楽観的な結果になっているということを見落としてしまった、という点に問題があると考えられます。
やはり、インプレッションを最大数稼げるのは、開業時です。これからリニューアルをしたところで、全国ネットのすべての局が揃って取材をして、5分ニュースでも取り上げられる、というようなことにはならないはずです。ですから、初回の確率の見積もりミスが、今後のパーク運営に重くのしかかってしまいます。今後、おそらくシャーロックを全く新しい演目に変更するなどの形で、露出増を企図すると思われますが、これはもはや口コミ頼りにならざるを得ません。刀としては、かなり致命的なミスを犯したのではないかと考えます。
マーケティング面での施策
初期のコンバージョン率を見誤るという致命的なミスを犯し、収支がギリギリであるという、かなり厳しい状況にある現状を踏まえたうえで、イマーシブ・フォート東京がとっているマーケティング面での施策のうち、表出しているものを見ていきましょう。
なお、消費者へのリーチ方法については、上述の通りすべてを網羅することが難しいため、分析はできませんので、ここでは「感想」を述べるにとどめます。
伝わりやすさの観点から、主として映像メディアを重視していると思われます。テレビ、インフルエンス力のあるYouTube、各種Webメディアなどを複合的に使いながら、コンセプトの浸透を徹底している印象です。
来場者アンケート
これはごく一般に、来場者の満足度やマーケティング効果を測定するために用いられるツールです。ただし、下記の通りアンケート項目が洗練されていないところが注目点で、刀のノウハウはあまり投入されていないのかもしれません。なお、アンケートは3/23時点のものです。
Googleの口コミ投稿に対するインセンティブとして、1,000円分のクーポンを配布
これは3/7に実施されたもので、Googleのポリシー違反となることから、1日で中止されました。口コミ投稿に対して1,000円の割引というのは極めて大きなものですが、これはオープン後最初の週、3月第1週のGoogle口コミ平均点が2点台かつ口コミ数も150件程度と多くない状況だったため、そこに対するテコ入れ策だったものと思われます。Google口コミは、Googleの検索アルゴリズムや、例えば「お台場 観光」と調べた場合に表示されるカルーセルに表示されるかどうか、といった点に影響を及ぼすことが知られています。このため、インセンティブを提供し、かつ口コミをチェックするというプレッシャーを与えることで、平均点と投稿数を共に高める狙いがあったと考えられます。
館内割引券の配布
テーマを壊さないよう、マフィアのボスから「ダークマネー」という形で配布され、マフィアの息のかかった店舗(全店舗+アトラクション有料パス)で使用できます。配布開始当初は2,000円分でしたが、配布が無い日程があったり、1,000円分が配布されたりと、日によって変更が入ります。これはおそらく、1日の使用金額に対する満足度を測る手段として使われていて、あわせて飲食店舗の価格感度も見ていると思われます。ただし、飲食店単体の価格としてみると、2,000円は割引しすぎているので、その目的が本当に存在するのかどうかはわかりません。2,000円券を配布していた時期は、例えばショーレストランのキャバレーでは、食事を200円~でとることができましたし、ケーキなどを無料で食べることもできました。ほとんどのチケットを前売り券で販売しているパークで、このやり方を取った場合、消費行動が明確に変わってしまいますが、それを踏まえても飲食やショップの価格が事実上大きく下がることで、満足度がどう変化するのかを見ているんだと思われます。その後、実際に飲食店の値下げが行われています。
飲食店の価格変更
例えば、上述のキャバレーでは、チキンコンフィ(パン等が乗ったプレート)の価格が、営業開始当初は2,900円だったものが、3月中下旬に2,400円、4月に入って1,800円まで値下げされています。上述の割引券利用率を見ながら、1日の予算総額とレストランのキャパシティを考慮して、金額を決定しているものと思われます。様々な口コミ、レビューでも、飲食店の価格が高いという意見が散見されるため、アンケート等でもその実態をつかみ、対策を実施していると考えられます。レストランの稼働率と価格から利益のバランスを取っている形ですね。また、あわせて口コミ対策にもなっていると思われます。
館内アンケート
これは、上述のネット経由のアンケートとは別に実施されているものです。タブレットを持ったスタッフが、来園者に口頭で質問をするタイプのもの。海外も含め、ユニバーサル・スタジオでよくみられる手法です。ただし、このアンケートでは、500円のクオカードを配布していた、という情報があります。どちらかというと、アンケートを取ることが目的というよりも、設問やスタッフとの会話から、高評価の口コミを書くよう誘導することが目的ではないかと思われます。口コミを書くことに対するインセンティブではないため、ポリシー違反にはならない、ギリギリのラインです。これも、実施日と非実施日によって、口コミ数に対する影響を見ながら実施していると思われます。
Google口コミへのQRコードの設置・声かけ
館内のアトラクション体験後、Google口コミ記入用のQRコードを設置して、かつ口コミを書くよう声掛けを行っているようです。こうした施策の結果として、口コミ数は明らかに増加傾向にありますし、スタッフからの声掛けの元で記入するという影響もあって、平均点も大きく伸びています。ただし、いずれも短文あるいは文章のないレビューが多く、長文のレビューは平均点が低い傾向にあります。このため、口コミを読むと違和感を感じるのですが、上述の通り狙いは、お台場などの地域ワードでの検索に対する露出だと思われますので、そうした違和感は問題にならないと考えられます。
推しの子イマーシブ・ラリーにライブパフォーマンスを追加
3/28から追加された施策です。従来、なぞ解きを実施して、ライブが開催される場所と時間の情報を得た後、ライブに参加するという形だったイマーシブ・ラリー。ライブは、映像と音、光のみの演出でした。これに対して、作中のキャラクター「ぴえヨン」がライブパフォーマーとして登場する演出を追加。
「新要素を追加した」ことをアピールし、話題提供することで情報が届いていなかった、あるいは届いていたとしても魅力を伝えきれていなかった、特に押しの子が好きな層へリーチするための施策だと思われます。
チケット名称の変更
従来、入場券も有料アトラクション体験券も、あるいは有料ファストパスも、全て「パス」という名称で販売していたものを、入場券を「パス」、それ以外の有料追加券を「チケット」と明確に呼称区分。チケットの種類が多くて、何ができるのかわからない、といった声に対応したものと思われます。
公式SNSの動向
公式SNSはInstagram, X, Tiktokとありますが、いずれも抑制的。情報を自ら取りに来た人に対して、意欲をそがない程度に発信を行っている印象です。
また、シャーロックと東京リベンジャーズについては、当日チケットを販売していることを公式SNSで公開していますので、これらについては「連日完売続出」といった伝説化を望んではいないことがわかります。それよりも、集客・チケットの販売を重視している傾向です。一方で、江戸花魁奇譚については、土日でも3回公演しかない(計180人しか体験できない)ような日程があり、特に土日は1か月以上先まで完売が続いています。これについては、公演数を減らしてでも「連日完売」による神格化を図りたいという意図が見えます。
まとめ
現状では、まだ総合的な方針は見えてきていませんが、Googleの口コミを中心とした取り組み、アンケートや口コミの声を受けた、わかりにくさや価格面での対処、わずかな変更を大きく売り出すことによる新規客の掘り起こしなど、アジャイルな対応が行われていることがわかります。特に、金券などは細かく金額や配布日を設定しながら実験を繰り返している印象で、飲食店の価格も細かく改定されています。
現在のところ、これらの取り組みによってイマーシブ・フォート東京の集客が上向いているようには見えませんので、今後、刀がどのような対処をするのか、引き続き追いかけたいと思います。
参考文献
[1] EVスマートブログ「気軽にEVモータースポーツを満喫! 『シティサーキット東京ベイ』体感レポート」https://blog.evsmart.net/ev-news/enjoy-ev-motorsports-city-circuit-tokyo-bay-experience-report/ (2024年4月7日閲覧)
[2] 株式会社刀 ニュースリリース「「イマーシブ・フォート東京」 2024年3月1日(金)開業決定」 https://katana-marketing.co.jp/img_sys/news/%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9_%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%88%E6%9D%B1%E4%BA%AC_%E9%96%8B%E6%A5%AD%E6%97%A5%E6%B1%BA%E5%AE%9A_20231218_web.pdf (2024年4月7日閲覧)
[3] 財団法人省エネルギーセンター「商業施設の省エネルギー」https://www.eccj.or.jp/commercial_bldg/commercial_bldg.pdf (2024年4月7日閲覧)
[4]イマーシブ・フォート東京 待ち時間速報【公式】https://twitter.com/iftguide(2024年4月7日閲覧)
[5] Yu Shioji, J. Amusement Park (2024) 240013.
引用方法
引用時は、下記を明記してください。
Yu Shioji, J. Amusement Park (2024) 240021.