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鹿レシピ「鹿ロース肉のロースト」


またまた、シカ肉の雑レシピです。雑というのはあまりこまけぇことは気にしないで何回かやっているうちの自分の好みに調整していってくださいという意味です。普段の夕飯作るのにわざわざレシピ本とにらめっこして作ることはないと思いますので同じ意味合いと思ってください。
で、基本の考え方はそうなんですが、このローストに関しては雑にやっちゃダメな工程があってそれは加熱温度の管理です。牛肉のローストと違ってシカ肉は肉の内部まで食中毒菌が残っている可能性が高いので(豚肉、鶏肉と同じ扱い)表面さえ加熱しておけばOKというわけにはいきません
ですがローストのポイントは低温でじっくり調理するというところにあるのでこのサジ加減が難しいわけです。
なので今回はその辺を詳細にご説明したいと思います。(調理工程自体は簡単です。最後にかけるソースは市販のものを使用しているのでここも手作りしたい方は「シカ肉 ロースト」で検索しましょう。定番料理なので無数に作り方が出てくると思います)
まずは用意するものはこんな感じです。

エゾシカ肉ロース 適量(今回は400g程度) ブロック状態で
オリーブオイル(ふつうのサラダ油でも可)
スパイス 適量(塩でも可)
アルミホイル
クッキング温度計(お肉等に刺して測れるもの)
市販のソース、ドレッシング(お好みで)

しっかり解凍すること

当たり前のことのように見えますが、後々の加熱温度に関わってくるので肉の中心部までしっかり解凍されるようにします。常温で放置しすぎると肉が傷むので、一日かけて冷蔵庫で解凍するのがいいでしょう。

「黒瀬のスパイス」が好きです

完全に解凍されたらまずスパイスをまんべんなく振りかけてもみこみます。塩でも代替可能です。スパイスが十分お肉についたらラップをして30分から1時間くらいおいておきます。

焼き目をつける

すでにいい香りが

次にフライパンに油をひいてお肉を塊のまま焼きます。火加減は中火で割とジュージュー音が出るくらいに焼きます。一つの面を1分くらい全6面(ロースのブロックならばおおむね長細い直方体だと思いますが、そうでなければすべての面に焼き目が入るよう)を各1分ずつ焼いていきます。こうすることで肉汁が外に逃げにくくなります。
作業にトングがあると便利ですが菜ばしでもなんとかなります。

しっかり巻いて熱を逃げにくくします

外側に焼き目がしっかりついたら、やけどに気をつけながらアルミホイルに包みます。そして包んだ状態で先ほどまで焼いていたフライパンの中に入れてふたをします。
その状態で再度中火で加熱し油のパチパチ音がしてきたら火を消して30~40分ほどそのままにしておきます。

加熱の加減は菌が死滅するラインを狙う

肉の中心温度と加熱時間による菌・ウイルスの死滅条件(日本ジビエ振興協会HPより引用)

菌の死滅する温度と加熱時間は上記のとおりでこれはもちろん肉の中心部の温度で考えなければなりません。
薄く引いた油が音がするとなるとだいたい160℃くらいにはなっていると思いますが、仮に肉の中心部まで熱が届いたとき半分の80℃になっていたとしてもそれで1分加熱していれば大丈夫ということになります。基準値は75℃で1分なので少し温度が低かったとしても大丈夫なラインだと思います。
肉の中心部まで十分に熱が伝わる時間が必要なので30分以上はふたをしたままおきます。

温度計の使い方。お肉にそのままぶっ刺し、先端が肉のちょうど真ん中あたりに来たら止めて数値が安定するまで待ちます。


最終確認のため温度計で肉の中心部の温度を測ります。今回の場合、終了時に約59℃でした。途中で70℃3分の基準は越えていたであろうと推測してOKとしました。本当はふたを閉めている間もずっと計測できるといいですが、ふたを開ける熱が逃げていってしまうので出来ません。ここは自己責任でご判断いただければと思います。わたしも数値的な正解以外はわかりません。

肉汁じゅわ~ で赤とかピンクの部分がない状態

もう一つこれもあいまいな基準ですが、カットした時に肉の内側が赤くなければおおむね大丈夫でしょう。ロゼっぽいくらいであれば問題ありません。生肉の赤々とした感じやピンクっぽさが残っている場合は加熱不十分なのでもう一回ホイルに巻いて再加熱しましょう。

かなり神経質に書いてしまいましたが、実際お肉の厚みやフライパンの形状、そもそもの冷蔵時の温度、アルミホイルでくるむ作業の早さなど様々な要素で温度は変化してしまいますから、こうすれば絶対大丈夫という基準はありません。数値の表を参考にあとは経験で間違いなく大丈夫だろうというところまでしっかり加熱していただければと思います。

うまそう

最後に薄くカットしてお気に入りのソースなどをかけて出来上がりです。残った油で野菜のつけあわせを炒めてみるのもいいでしょう。

とにかく加熱の加減さえつかめば簡単にローストヴェニソン(ビーフだと牛肉になってしまうのでシカ肉だとヴェニソンと言います)を楽しめますのでオススメの調理法です。
しつこいですが、菌を死滅させる加熱温度と時間をしっかり把握したうえでチャレンジしていただければと思います!