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ジャズ行脚 20/47 @広島
ジャズ巡遊の旅が20県めに到達した。
まだ50%にすら到達しておらずいまいち節目の感覚は得られないが、ジャズ行脚を始めた当初に懸念していた『3日坊主』のジンクスは剥がし切ることができた。軽い気持ちで始めた企画じゃないことがうっすらとでも伝わればと思う。
ゴールまで気が遠くなる思いだが焦らず一つ一つの旅を大切に、各地域とバンドさんにリスペクトを持ちながら楽しんでいきたい。今年もたくさん旅行するぞ!銀行口座からどんどんすり減っていく何かに目を背けながら。
今回は広島県。中国地方最後の旅になる。
・広島駅周辺散策
なぜか会社から翌日am6時に出社しろ(しかも何故か業務内容を教えてくれない。ほんとクソみたいな会社ですよね)との命令が下った。そんなわけで夜遅くまで旅行するわけにはいかなくなり、早朝から動いて早めに切り上げるようにスケジュールを組み直した。
今思えば早すぎだったが朝6時頃に広島駅に赴き、チョロチョロと散策。
お日さまがコンニチハするまでは極寒。正直12月の青森ほど寒くなることはないだろうと高を括り薄着で来たら、バチが当たった。路面電車も走らない時間だったのでやむなく寒空の街を歩くしかなかった。
駅から20ほど歩いて原爆ドームに到着。
過去に何度も見学しているので食傷気味と思いつつも、やはり広島に来たからには訪れなければという使命感が勝った。
しかし、何度見ても建物の壮大さには圧倒される。保全のためにちょっとずつ補修はされているだろうが、よく当時の形跡がそっくりそのまま残っているものだなと感心する。
そういえば夜空背景の原爆ドームってあまり見たことないかも?
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元安川のそばを歩いて平和記念公園へ。
川に柵がない部分が多いので酔いどれ兄ちゃんがうっかり川に飛び込んだり転がり落ちないのか心配になる。景観重視なのだろうか。
園内では暗闇を照らすかのように平和の灯(なんとなく気が引けたので写真は撮ってない)が燃え盛っていた。
これ、もう60年以上灯り続けているんだってね。
駅前に引き返し、MAZDA ZoomZoomスタジアムにも立ち寄ってみた。
赤っぽさは全く認められないが何となく良い写真が撮れたのでヨシ。
今年は大型連敗に陥らないことを期待しよう。
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毎度おなじみコメダ珈琲でアイスココアを食し、可部線に乗って下祇園へ。
駅から5分のところにあるスパシーレでサウナに篭り一汗流す。
漫画コーナーも充実して楽しかった。
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・古市橋(ジャズ鑑賞)
安佐南区民文化センターにて合同ビッグバンドフェス「あさみなみジャズ」ありけり。
下祇園の隣駅である古市橋まで歩き、さらにそこから徒歩10分、小川を横切った先にあるライブ会場に到着。
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当ライブも前回の長崎BBバンドフェスと同様6バンドの登場。各バンドの鑑賞結果をちょっとずつたくさんコメントを残そうと思う。
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▶︎2&4倶楽部
ビッグバンドにしては随分特徴的な名前だなあとか思ってたらやはりビッグバンドではなかった。
そもそもこの演奏会は「あさみなみジャズ」であって”ビッグバンド”というワードは含まないので、十数名の大型編成に固執する必要はないということに後から気づいた。
2&4倶楽部さんはホーン5人(As、Ts、Bs、Ts、Tb)とリズム3人(Bass、Drs、Pf)の計8人体制。見た目は完全にコンボジャズだが、ビッグバンドでいうところの各楽器が最低1名はおり彼等/彼女等が各パートの全責任を背負って演奏するといった構図で、目をつぶって聴けばまるでビッグバンドのような、少なくともオクテットとは気づかないほどの音の迫力を感じた。まさしくコンボとビッグバンドを融合したような前衛的なバンドさんである。
演奏曲はロイ・ハーグローヴ、ミシェル・ペトルチアーニなど現代よりのジャズが多め。
市販の譜面は当然ながら8人用に作っているはずがないので、当バンドの編曲者さんの手腕により逐一アレンジが加えられていた。そういう意味でも普通のジャズとはまた一味違う調子で、次にどんなフレーズが来るのか予想がつかないワクワクさを常に得られた。
正直あまりの新鮮さに曲の中身までハッキリ覚えていないのだが、他バンドで活躍されているメンバーの精鋭が集まっていたのか、技巧を前面に押し出した演奏のようにも感じた。要は、超上手かったということである。
またいつか同バンドをしっかりと生で聴いてみたいと思う。
単独ライブやってるのかな。
ビッグバンドのように大所帯が揃わなくても成立するし小さいライブハウスでも演奏できる規模だし、こういった編成のバンドが今後ジャズ界のニューノーマルになったりして、とか、いや、その極地が今のコンボなのかな、とか、色々考えさせられる趣深きバンドさんだった。
▶︎The Kings of Dixieland
メンバー全員がポーラーハット(麦わら帽子だったかもしれない)をかぶり、ディキシーランドをやるぞという気概が演奏前からバチバチに伝わってきた。
通常のジャズとの対比で言うと、サックス役がクラリネット、ギター役がバンジョー🪕、ベース役がチューバ、といった楽器編成。後で知ったことだが、ディキシーランドジャズだからといってバンジョーやチューバが必須ということでもなく、バンドの好き好きに組めばよいっぽい。でもまあ、こっちの方がらしさは出るよね。
最近マイブームにあるよしもと新喜劇のテーマ、Somebody Stole My Galを生で聴けたのは本当に嬉しかった。トランペットのミュートによる乾いたメロディが何とも美しい。あの曲はBGMとして使われがち&聴きがちなので、実は主旋律がTpであることに気が付かない人は案外多いのではないだろうか。
というか、こんなエグい題名からこんな軽快な曲調だと思わんよな、普通。恋人を奪った側の心理を描いた曲だったりしてね。
ちなみによしもと新喜劇に関する余談だが、私は内場さん(座員)と吉田裕さん(座長)が大好きで、特に吉田座長の回には足繁く通っている。広島のジャズ行脚記事でいうことではないがグランド花月行きたくなった。
バンドメンバーさん曰く、ディキシーランドの人気拡大をめざして各所での演奏に活発とのこと。ディキシーランドジャズが日本でどれくらい認知があるのか私も分かっていないが、同じジャズ有志の者としてKingsさんの想いが多くの方に届くことを願う。
▶︎N.G.O. ALL★STARS
ラテンを主体に演奏しているバンドさん。
他のバンドに比べて明らかにパーカッションの人数が多い。ボンゴ、ギロ、シェーカー、スネアなど。
ビッグバンドだと比較的裏方に回りがちなパーカッションがどの曲でも猛々しく鳴り響き、もうこれがリードじゃんと言っても良いくらいの迫力を見せつけていたのが特徴的だった。
中でもCHARADE(シャレード)という曲が最も記憶に残っており、この曲ではEl Cumbancheroのように冒頭にパーカッションソロがあった。
で、Lpの方がこれまた超高速&超絶技巧で大変素晴らしいスラップしてるのにも関わらずしばらくの時間叩き続けており、「あれ?これ拍手来ないとソロ終わらないんじゃね?」と気になり始めた矢先、喝采が起きたところでようやくソロを切り上げ次の展開を迎えていた。やっぱりな、と客目線でほんの少しだけ申し訳ない気持ちになったが、ソロ終わったあとのLpがちょっと疲弊していた表情をしていたのが結構面白かったです(失礼)。この後に続くTbフィーチャリングも素晴らしかった。
あと、なぜかリズム隊のメンバーだけ服装がドンキホーテ・ドフラミンゴ(ONE PIECE)のような腕先にヒラヒラした羽を纏った衣装なのが面白かった。ベースの弦に絡まりそうとか余計な心配してたけど大丈夫だった。長さを綿密に測ってオーダーしていたのかもしれない。
▶︎Heart Break Jazz Orchestra
いきなり局所的な話になってしまうが、ギターの男性が終始笑顔で演奏されていたのが大変印象的だった。
私見として、演奏者がニコニコしてるバンドと不機嫌なバンド(そんなバンド実際見たわけではなく、あくまで比較対象の例です)ならば、前者の方が「あのバンド、なんか良かったよねえ」と後で振り返ったときに愉快な気分を想起させてくれる強みがあると思う。抽象的な見解を語るEasy Minor君、つまり何が言いたいのかというと、音楽が音だけで楽しむものではないことを教えてくれる、素敵なバンドだったということである。
そんな演出面の内なる強みを持つHeart Breakさんだが、演奏曲でも1つ工夫を凝らしており、ビッグバンド名曲メドレーも披露いただいた中で観客に何の曲が紛れていたか当ててもらう、なんていう観客参加型の曲も用意していた。むう、やりおる。ちなみに、こんだけジャズ通ぶってる私はLittle Brown Jug、Tuxedo Junction、Satin Doll、On the Sunnyside of The Streetと半分も分からんかったです。。。まあもし全部分かったとしてもネタバレが過ぎるしここでは書けないけどな!
▶︎Delight in Jazz Club
これまで長文を書き続けているので、このバンドさんのコメントはコンパクトに、ただ1点のみ言及させていただく。
3曲目のOn Green Dolphin Streetが素晴らしかった。
この曲は映画”Green Dolphin Street”の挿入歌として使われているらしいが、私は映画は見たことないので曲とストーリーがどうマッチしているかは全く分からない。
なのでここからは100%想像の域になるが、
Dolphin(イルカ君🐬)が海上に飛び上がったり海中に泳ぐ姿をイメージするならば、
曲の前半にあったBsフィーチャーの温かみのある部分が”海上”、もう少し具体的に言うと沈みかけの夕陽に照らされた海岸沖で泳ぐイルカの姿を表しており、対して後半のGtソロの部分が”海中”、少し冷たい水の中を優雅に泳ぐイルカを描写したような、そんな陰と陽を同時に感じることができる1曲だった。
で、こんなにも雑に表現しちゃうと”Green”と”Street”の説明はどこ行ったんだ!って指摘が当然出てくるわけだが、それは私の想像の域を超えた先に答えがあるとしか言いようがないので、気になった皆さんはMiles Davisなどの同曲を聴いて想像を補完してみてください。
この曲はアレンジャーによって様々なバージョンがあるが、Delight in Jazz Clubさんのはアップテンポでノリやすい、沖縄旅行のドライブで潮風を浴びながら聴きたくなるような、素敵な一曲だった。
ほか、トリでB.M.Sジャズオーケストラさんが演奏していたが時間の都合で見れなかった。貴重な数曲を聴き逃したのも会社のせいである。悔しい。。。また単独ライブあれば見に行きたい。
以上
(次回 ジャズ行脚 21/47 @未定 に続く)