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亀井聖矢さん 恐れ入りました!

亀井さんにとって初のサントリーホールでのリサイタル(2022年12月11日)に行ってきました。

随分前に取っていたチケット。会場に来て曲目を見て、やられた・・・と思った。亀井さんが今年挑戦した国際コンクールで弾いた曲が中心とは思っていたけれど、近代ものばかり。嫌いではないけれど、理解できないものも多い。

ずっと手に持って聴いていたので折り目が・・・

しかし、いい意味で期待を裏切られ、素晴らしいリサイタルでした!

ご自分でマイクを持ち、曲のコンセプトを説明。今年受けたコンクールの場所(スペイン→アメリカ→フランス)へ、観客に旅してもらうというものでした。クラシックのピアニストは大体無言で演奏するもの。最近はほんのちょっと話す人が出てきたけれど、「みなさん、目を閉じてサクラダファミリアを思い浮かべてください」なんて、サントリーホールで語りかけるピアニスト、今までにいませんでした。また、近代の理解が難解な曲についても、説明があり、何を聴くのかがわかりました(細川俊夫さんの「ピアノのための俳句」は、解説なければ、何が何だかわからないところでした)。

自然なトークで観客とつながりながら、演奏は超絶技巧の曲。元々ラザール・ベルマンが好きなので、超絶技巧は好みですが、技巧のみが光る曲芸みたいな演奏は苦手です。亀井さんの演奏は、まるでオケがいるみたいに響き渡り、美しかった。この日のコンセプトは「超絶技巧のその先へ」(「プログラム解説縦読み」という仕掛け)でしたが、まさにそれでした。

亀井さんの生演奏は今年3度聴きました。春に聴いた時は、天才的だけどこれから上手くなるんだろうなと思い、夏にヤマハホールの公開レッスンを聴いた時は、その吸収力や真摯さが素晴らしいなと思いました。そして、今回。本当にすごくなったと。

2001年生まれの20歳。国際コンクールも3度受け(最後のロン・ティボーは優勝)、挑戦の年だったのだと思われますが、1年でこんなに成長するんですね。素人目にもよくわかります。

また、ピアニストとしてだけでなく、エンターティナーとしての人の引きつけ方もなかなかです。

かてぃんさんとはまたやり方が違いますが、Youtubeもやられているし、Twitterでもこまめに発信。時間をかけコツコツとファンを増やしていっていました。エゴサーチもしっかり。一般人の投稿にも律儀に「いいね」を☺

会場のトークはずっと続き、超絶技巧を弾きまくったあとに、アンコールでリストのマゼッパとラ・カンパネラ。本来はそこで終わるはずだったのに、「まだ終わりたくないので、もっと弾いてもいいですか?」と会場に語りかけ、難曲のイスラメイ。その間にも、初CDの宣伝を笑いを取りながらしっかりと。ポストカード手渡し券つきとのことで、ホールの外まで長蛇の列になっていました。

元々飛び級で桐朋音大に入り、日本の大きなコンクール複数に優勝という天才なのですが、マーケティング力もさすがです。

これからは、クラシックの音楽家のスタイルのどんどん変化し、エンターティナーとして認知される時代になっていくのでしょうね。

とにかく、恐れ入りました!

次はどんな驚きを見せてくれるのか、楽しみです。


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