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元ジェンダーレス男子が考える"ジェンダーレス男子"とは何だったのか
昨今、すっかり男性がメイクをする事が当たり前の時代になり
その名を聞かなくなった"ジェンダーレス男子"
私もかつてジェンダーレス男子としてファッションやメイクなどを発信していた1人で
KADOKAWAから「原宿系ジェンダーレス男子と大型犬カレシ」という実録エッセイを出版したり
ジェンダーレスファッションのアイコンとしてNHKの取材を受けた事もありました。
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今回はそんな私が、ジェンダーレス男子を卒業した今
改めて「ジェンダーレス男子とは何だったのか」「何故ジェンダーレス男子という言葉を耳にしなくなったのか」を考察したいと思います。
ジェンダーレス男子とは
ジェンダーレス男子とはオシャレをする上で
"男は男らしく" "女は女らしく"という固定観念にとらわれず
男であっても可愛さや美しさや綺麗さを求めて
なりたい自分になるためジェンダーに左右されないスタイルを突き通す男の子達の事を言います。
つまり簡単に言えば女性や男性などの決めつけに縛られないという意味です。
なので"男性が女性のスタイルに寄せる"という意味では決してありません。
この言葉はティーン誌の元編集者で読者モデルのプロデューサー兼WEGOのPR担当をされている丸本貴司さんが2015年あたりから提唱している言葉で
こんどうようぢさんやとまんさんをはじめとする代表的な原宿系読者モデルをアイコンに
テレビや雑誌のメディアなどで取り上げられ
2016年あたりから世間に広まった言葉でありました。
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ジェンダーレス男子はかつて90年代に流行した"フェミ男"と重ねられたり現代版として紹介される事もたびたびありましたが
90年代のフェミ男は意図的に"フェミニンなファッション"にハマりにいっているというか
フェミ男の代表格であるいしだ壱成さんや武田真治さんを雑誌で見て真似をするというムーブメントだったように思います
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またフェミ男が"ヴィヴィアンウエストウッド"や"コムデギャルソン"などをはじめとするブランドを愛用し、モード系ファッションやパンク寄りのスタイルに傾いていた事
ピチTにロングスカートといったシルエットが多かった事に対して
2010年代以降から誕生したジェンダーレス男子は
WEGOやSPINNS、ZARAやH&Mといったカジュアルなティーン向けファストファッションを愛用し
DCブランドでもMILK BOYなどの甘めなかわいいブランドを好んだり
オーバーサイズのトップスにスキニーパンツを合わせるなど
フェミ男とファッションを比較すると全てが正反対に見えるため
同じスタイルとして語るには少々大雑把な気もします。
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人気を博したMILK BOYの
フルーツモチーフシャツ
中でも大きく異なる点として
「ジェンダーレス男子の中でスカートを履くスタイルはほとんど見られなかった」のが大きいかと思います。
ジェンダーレス時代におけるスカートの定義
90年代のフェミ男ファッションの時代には
まだ男性がメイクをするといった事がほとんど見られず
明らかに男性である事がわかる人達がタイトなトップスやロングスカートを身にまとっていましたが
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2010年代のジェンダーレス男子は既にメイクアップの技術を覚えているため
そこにスカートスタイルを取り入れると
「女装と勘違いされる」といった懸念がありました。
ジェンダーレス男子は性別にとらわれない自由なファッションやスタイルを追求しているものの
「女になりたいの?」「女装がしたいの?」といった誤解は受けたくない思いがあったかと思います。
私自身、その時代にジェンダーレス男子をしていてその葛藤があり
「スカートを履きたいけど、世間の目は勝手にそれを女装だと決めつけてくるだろうから、それが嫌でパンツスタイルしかできない。」というもどかしさを抱えていました。
原宿系読者モデル界隈でジェンダーレス男子のアイコンとして名を上げた彼らも
決まってシルエットの細いパンツを履いており、スカートを履いているアイコンはいませんでした。
私はその後、「どう思われようとかまわないや」と開き直ってスカートを履くようになりましたが
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スカートを履いてからの私のスタイルは
どうやらジェンダーレス男子から外れて
「フェムボーイ」にカテゴライズされたらしく
海外のフェムボーイコミュニティのユーザーからSNSでリアクションやアプローチを貰う事が増えました。
※Femboy(フェムボーイ)とは
海外、アメリカやヨーロッパにおいて日本の”男の娘”と近いニュアンスとして使われているスラングで女性的な要素を備えた男性全般を示す言葉
日本における「男の娘」との違いは
男の娘は容姿がいかに女の子に見えるかを重視するのに対し、フェムボーイは女性に外見を寄せようという気はなく
あくまでもありのままの男性の姿でミニスカートやKAWAIIファッションを楽しみたい人が多い。
ジェンダーレス男子はどこへ消えたのか
ジェンダーレス男子という言葉が最後に世間で大々的に使われたのは
漫画「ジェンダーレス男子に愛されています。」を原作としたドラマ「カラフラブル 〜ジェンダーレス男子に愛されています。〜」が放送された2021年かと思われます。
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それ以降、ジェンダーレス男子という言葉をメディアや世間で耳にする機会はガクンと減りました。
では、ジェンダーレス男子はどこへ消えたのか
実際には日本全体がじんわり「大ジェンダーレス社会」に突入したために
わざわざジェンダーレス男子というカテゴライズが必要無くなったというのが私の推測です。
ジェンダーレス男子が流行り始めた2015年に比べ、現在の2024年のメイク男子の一般普及率は桁違いのレベルです。
もはや男子がメイクをする事、レディースの服を取り入れる事に疑問を持つ事すら無くなった現代において、ジェンダーレスか否かの線引きすら必要が無くなったと言えます。
ただ、私自身は「ジェンダーレス男子」から卒業した身として自認しています
理由としては、様々な過程を踏んで
メイクをする事もレディースの服を着る機会も減り
その概念に該当する要素が今の自分には無いと感じるからです。
もちろんそれでも男性なりに可愛いファッションをしているので一般的基準から見たら
まだまだジェンダーレス男子に見えるかとは思いますが
その辺の印象は受け手に委ねていいかと思っています。
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ジェンダーレス男子というよりは
自分的にはただの
"可愛いファッションが好きな男子"だと思ってる
(どちらでもいいが)
しかし、ジェンダーレス男子という言葉を耳にしなくなった代わりに
"メイク男子"という言葉は便利に使われる機会が多いので
現代ではメイクをする男性と、メイクをしない男性とで線引きがされてるように感じます。
(それもそのうち無くなるのかもしれませんが)
そんなわけで
私なりに自分が通過してきた
"ジェンダーレス男子"というスタイルのムーブメントについて考察をまとめてみましたが
私個人の主観も多々含まれているので
あくまで参考程度に読み流していただけると幸いです。
私が思うに、ジェンダーレス男子というムーブメントは
今のこうして多様性を認める社会の基盤を作った一端でもあるように感じるため
凄く生きやすい世の中にしていただいたという意味で有り難く、恩義を感じています。
これから先の時代、ジェンダーレススタイルや多様性の概念がどの様な受け入れられ方や変化を遂げていくのか
ますます楽しみにしながら見守っていきたいと思います。
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