豆知識/ 現代の質屋のビジネスモデルについて
質屋はなぜ潰れないのか?
今回は、鎌倉時代から続く質屋がなぜ潰れないのか、質屋のビジネスモデルについて、簡単に解説したいと思います。
〈目次〉
1.質屋の起源と現代
2.質屋は小売りと金融の『いいとこ取り』
1.質屋の起源と現代
質屋は古くは鎌倉時代に起源を持つといわれています。
その土地の有力者が一般の人々にお金を貸すための商売として生まれたのが、そもそもの始まりとされています。
800年の時を超えて、今なお質屋は存在しています。
しかし、今では当座をしのぐために質屋を利用する人は少なくなってしまっており、特に最近ではリサイクルショップが増えてきたり、メルカリなどのフリマアプリも台頭してきています。
そんな中でなぜ質屋が現代も消滅せずに残り続けているのでしょうか?
2.質屋は小売りと金融の『いいとこ取り』
質屋というのは先ほども言った通り、あまり現代の人にはなじみのない業種です。
すぐに成功する、結果が出るという事業ではありません。
質屋は時間をかけて質在庫を集め、利息収入を増やしていく「大器晩成型」の事業なのです。
つまり、「続けていれば続けているほどもうかる仕組み」になっている事業です。
質屋の基本的なビジネスモデルは、顧客が持ってきた「質草」を預かり、それに見合った金額を顧客に貸し付けるものです。
質草を預けている間、顧客は質屋に利息を払う必要がありますが、元金と利息を払えば質草は手元に戻ってきます。
ただし、流質期限(預け入れから3カ月)までに利息または元金と利息を払えなければ、預けた品物は質屋のものになります。
そのかわり、顧客は元金も利息も払う必要はありません。
質屋という事業は、小売りと金融の2つのビジネスモデルが組み合わさった形態になっています。
『お金を貸して、その利息を得る』という金融業の仕組みと、『仕入れをして販売する』という小売業の仕組み。この2つを合わせ持っています。
金融業と小売。この2つのビジネスモデルは、組み合わせることでそれぞれのリスクが相殺されるようになっています。
その仕組みこそ、質屋の肝と言えます。
ただの金融業がお金を貸し付けるのに対し、質屋は“質草”という現物、いわば担保を預かっているため、貸付金を回収するというリスクが発生しません。
顧客が利息を払わなかったとしても質草は残るので、それを商品として販売すればいいだけです。
さらに、質草を預かっている間は利息が発生するため、在庫が多ければ多いほど利息で儲けることができます。
小売業にとって死活問題である在庫リスクがありません。
ただ最初にも述べたように質屋は短期で成果を見込める事業ではありません。
工夫をこらし、辛抱強く続けること必要となってきます。
参照元: 「かんてい局通信」Webサイト
以上