物理/ 力学的エネルギー
「力学的エネルギー保存の法則」についてもあわせて解説いたします
力学的エネルギーは、物理で学習する単元の一つです。
今回は、力学的エネルギーとは何なのか、どのように考えればいいのか、解説したいと思います。
〈目次〉
1.力学的エネルギーとは?
2.位置エネルギーとは?
3.力学的エネルギー保存の法則
1.力学的エネルギーとは?
力学的エネルギーとは、「位置エネルギー」と「運動エネルギー」を組み合わせてできているエネルギーのことです。
力学的エネルギーは、外部からの力が加わらないという条件のもとに成り立っています。
外部からの力とは、空気抵抗や摩擦などのことです。
動いている物体は動くことで消費するエネルギー以外にも、発生する音や熱でエネルギーを消費しています。
力学的エネルギーは、音や熱などで消費されないという条件のもと成り立っています。
2.位置エネルギーとは?
位置エネルギーとは、物体が置かれている場所によって、所持しているエネルギーのことです。
位置エネルギーは、高さと物体の重さで決定されます。
たとえば、50cmの高さにあるボールよりも、50mの高さにあるボールの方が位置は高いです。
この場合、50mの高さのボールの方が位置エネルギーは大きいと判断します。
また、重さでは、重量の多いものほど位置エネルギーが高くなります。
同じ高さから、ゴムボールと鉄球落としたら、どちらの衝撃が強いでしょうか。
当然、重量の大きい鉄球の方が衝撃は強くなります。
このことから、軽いゴムボールと重い鉄球であれば、鉄球の方がより大きなエネルギーを持っているといえます。
位置エネルギーは、高さと重さを掛け合わせて考えます。
どちらか一方だけでなく、高さと重さがそろっていなければ位置エネルギーを算出できません。
2.運動エネルギーとは?
運動エネルギーとは、物体が動くために持っているエネルギーのことです。
たとえば、テーブルの上で静止しているボールの運動エネルギーは0です。
一方で、テーブルから落下するボールには動きがあり、運動エネルギーが存在しています。
このときの落下速度が運動エネルギーです。
運動エネルギーは、速度と物体の重さから算出します。
たとえば、ドッジボールをしている時、パスするようにやわらかく投げられるのと、アウトにしようと思いっきりぶつけられるのとでは、どちらが痛いでしょうか。
当然、速度の大きい思いっきり投げられる方が、衝撃が強く、エネルギーが大きくなっています。
また、物体の重さも運動エネルギーに影響しています。
紙風船とボウリングの球、同じ高さから地上に落としたとき、どちらの衝撃が大きくなるでしょうか。
重量の大きなボウリングの球の方が、より強い衝撃を与えます。
このように、運動エネルギーは、速度と物体の重さを掛け合わせて算出します。
3.力学的エネルギー保存の法則
力学的エネルギーは、位置エネルギーと運動エネルギーを組み合わせて成り立っています。
物体の動きに空気抵抗や摩擦など、外部の要因が変わらなければ、力学的エネルギーは一定の強さを保ちます。
これを「力学的エネルギー保存の法則(力学的エネルギーの保存則とも)」と呼びます。
たとえば、高さ10mの台の上に置いた2kgのボール。このボールの位置エネルギーは20です。
このボールを転がし、台から落としてみればどうでしょうか?
台から落ちる分、高さが少なくなり、位置エネルギーが減少します。
その代わり、ボールに台から落ちていく運動エネルギーがプラスされます。
ボールが床に着いた瞬間はどうでしょうか?
位置エネルギーは0です。
床についているといっても、床に着く瞬間までは、落ちている間に重力によって加速して、運動エネルギーは最大になっています。
はじめに台の上にあったボールは、静止していたので、運動エネルギーは0です。その代わりに位置エネルギーは最大でした。
落ちている途中のボールは、位置エネルギーが少し減った代わりに、運動エネルギーが増加しています。
床についたボールは、位置エネルギーが0の代わりに、運動エネルギーが最大になっています。
それぞれのポイントでの、位置エネルギーと運動エネルギーの総量は、常に一定になっています。
これが「力学的エネルギー保存の法則」です。
この力学的エネルギー保存の法則を利用すれば、動いている物体の位置エネルギーや運動エネルギーを求められます。
力学的エネルギーは保存されているので、値は変わりません。
運動エネルギーか位置エネルギー、どちらかが分かっていれば、力学的エネルギーから引き算で算出することができるのです。
参照元: 「Lab BRAINS」Webサイト
以上