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「超電導」とは

「超電導」の特徴や用途について、わかりやすく概説いたします。



〈目次〉
1.超電導とは
2.超電導の特徴  
(1)電気抵抗がゼロ
(2)マイスナー効果 
3.超電導の用途
(1)リニアモーターカー
(2)MRI(核磁気共鳴画像法)
(3)SMES(超伝導電力貯蔵装置)

1.超電導とは
超電導とは、特定の物質を極低温に冷却すると生じる状態変化のことである。

物質が超電導状態になると、電気抵抗が完全にゼロとなり、外部の磁力線を打ち消す現象が生じる。

どちらも超電導以外では持ち得ない特性であることから、技術的なブレイクスルーをもたらす存在として注目されている。

なお、超電導状態を作りだすには、物体を「臨界温度」と呼ばれる温度以下に冷却しなければならない。

超電導が発見された当初は、非常に高価な液体ヘリウム(-269℃)で冷やさなければ超電導が生じない物質ばかりで、コスト的に実用化が難しいという問題があった。

しかし、1987年に安価な液体窒素(-196℃)でも超電導状態となる物質(高温超電導体)が発見されたことを皮切りに、実用化の可能性が一気に広ろまった。

運用コストは未だに高いものの、現在ではリニアモーターカーやMRIなど製品化が進んでおり、今後の技術発展にも高い期待が寄せられている。 


2.超電導の特徴
続いて、超電導体の持つ性質についてより詳しく解説する。

(1)電気抵抗がゼロ
超伝導体が持つ最も大きな特徴は、電気抵抗が完全にゼロとなること。

通常の物体では、たとえ抵抗が小さい金属を使っても、完全に抵抗をなくすことは不可能である。例えば金属の中で最も抵抗値の低い銀であっても、常温では1.59 ×10−8[Ω・m]という抵抗率を示す。

抵抗があると、電流を流した際に一部の電流が熱に変換されるため、長距離の電流伝送や、大電流を流す際には無視できない損失が発生していた。

一方、超電導体であれば、大電流を流しても損失が全く発生しない。そのため、超高効率な送電が行えるほか、コイルを使った超強力な磁力マグネットの生成、高効率な電力貯蔵装置などへの応用が可能となる。

(2)マイスナー効果
超電導であることを示すもう一つの性質が「マイスナー効果」である。

マイスナー効果は、超電導体が周囲の磁場を弾き、超電導体内部に磁場が全く通らなくなる現象のことで、「完全反磁性」とも呼ばれいる。

磁場を弾く性質を持つため、たとえ常温では磁石にくっつく金属であっても、超電導状態になると磁石に反発するようになる。

マイスナー効果が生じるのは、超電導体を通る磁場によって誘導電流が発生し、誘導電流により生じる誘導磁場が、超電導体を通る磁場を完全に打ち消してしまうためである。


3.超電導の用途
超電導を使ってどのような装置が作られているのか、代表的な3つの用途を紹介する。

(1)リニアモーターカー
リニアモーターカーは、直線状(リニア)になったモーターを使い、車両を走らせる電車のことてある。

リニアモーターカー

車両に超電導磁石を取り付け、地上の壁面(ガイドウェイ)にも2種類の電磁石を配置することで、磁石同士による反発力を発生させ、車両を浮遊させると共に走行させる。

リニアモーターカーは、車両を浮かせることで車輪の摩擦を無くし、時速500kmという超高速運転を可能とするのが特徴だ。

ただ、浮遊状態を保つには非常に強力な電磁石が必要となるため、抵抗がゼロで強い磁力を生み出せる超電導磁石が用いられている。

(2)MRI(核磁気共鳴画像法)
MRIは、人体に強力な磁場を照射し、体内の水素原子核が共鳴して放射する微弱な電磁波を検知することで、人体の内部構造を把握する装置である。 

MRI(核磁気共鳴画像法)

血管や骨、臓器など、組織の違いによって電磁波の発生内容は変わるため、その違いを検知することで、体内構造を細かく認識できる。

検知精度を上げるためには強力な磁場が必要なので、磁力源として超電導電磁石が用いられることが多い。

コストを抑えるため永久磁石を使う場合もある。超電導電磁石の方が撮像時間が短く、高精度な撮像が可能となります。

(3)SMES(超伝導電力貯蔵装置)
SMESは、超電導コイルに電流を流し、磁力としてエネルギーを保持し続けることで電力を貯蔵するシステムである。

SMES(超伝導電力貯蔵装置)

通常のコイルでは抵抗値を持つため、エネルギー損失が大きくなることから、エネルギーロスのない超電導コイルが必須となる。

SMESを使えばエネルギー変換によるロスを抑えられ、瞬時に大電力が取り出せる上、数十万回の充放電に耐えられること。このことから瞬時に大出力が求められる電力系統などへの応用が期待されている。


参照元: 「FREE AID」Webサイト

以上

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