米国の地方政府/ 統治の仕組み
〈目次〉
1.地方政府の組織構成
2.郡政府
3.市町村政府
1.地方政府の組織構成
各州の憲法は地方政府の設置について定めている。
どの州にも地方政府として郡(注1)と市があるが、大半の州では、それ以外にも区、学校区、保全区域、郡区、交通局などを規定している。
こうした特殊な地方政府は、州憲法や州法で定められた規制・行政・課税権限を有している。
米国には50 万人を超す公選職員がいるが、このうち、国レベルと州レベルの職員は8,500人にも満たない。
残りは地方政府の職員、すなわち市議会議員、教育委員会の委員、市長、郡保安官、その他さまざまな職務を務める多数の職員である。
2.郡政府
郡は州内の基本的な区画で、その規模は100 平方キロメートル未満から20 万平方キロメートルを超えるものまで多岐にわたる。
48の州で、郡は州政府の下の第1の行政組織でもある(コネティカット州とロードアイランド州では、郡は行政機能を持っていない)。
郡政府の主な役割には、記録管理(出生、死亡、土地所有権移転など)、選挙管理(有権者登録を含む)、地域や農村部の道路の建設・維持、ゾーニング(土地使用区分設定)、建築規制の執行、法の執行(特に農村部において)などがある。
また、郡によっては、低所得者層を対象とした社会給付、環境規制や建築法規の監視・施行、児童福祉の監督、司法機能などの責任を州と分担している。
一部の州では、郡は公立学校区の地理的単位となっているが、学校は通常、別個の行政組織を持っている。
郡は公選職員によって運営される。通常は、管理委員会(board of supervisors)や郡委員会(county commission)が政策を定め、多くの場合、行政機能も果たす。
郡のその他の公選職には、保安官、裁判官、治安判事、検視官、会計検査官、査定官(assessor)、検察官などがある。
これらの公選職員のほかに、多くの郡が、郡政府の業務全体を管理するために雇用された専門の行政官を置いている。
注1郡に相当する行政区画は、ルイジアナ州では「parish」、アラスカ州では「borough」、その他の州では「county」と呼ばれる。
3.市町村政府
郡内にあるか、あるいは郡から独立した自治体法人である市町村は、独自の統治権限や課税権限を有している。
その規模は、住民が100 人にも満たない小さな町から、複数の郡にまたがる大都市(ニューヨーク市など)までさまざまである。
市町村政府は、治安維持、市街道路の整備、公園・レクリエーション、廃水処理、ごみ処理、ゾーニングと建築規制の執行、消防・救助活動、動物管理、公共交通機関などの基本的サービスを担っている。
比較的大きい市の場合、市の援助による住宅の提供、公立病院の運営、市や州、連邦政府の補助金による社会福祉事業の運営を行うこともある。また多くの市が、水、電力、天然ガス、電気通信などの公益事業を所有または規制している。
市と町は公選職員によって運営される。公選職員は通常、市町村長と、意思決定を行い政策を定める市町村議会の議員などである。
市町村長は、議員の場合もあればそうでない場合もあり、その市町村政府の長として日々の行政業務を監督する。
市によっては、市政担当官を置く政府形態を採用しているところもあり、この場合、市の行政を司る専門の管理者を市議会が雇用する。
市政担当官は市の最高行政責任者であり、公選ではないが、選挙で選ばれた市議会または市長に直属する。
参照元: 「AMERICAN CENTER JAPAN」Webサイト
以上