『まちづくり』 とは
わかりやすく、ご説明いたします
近年、「地域活性化」や「地域づくり」などの言葉が使われますが、これらの言葉が生まれる前か『まちづくり』という言葉があります。
それでは『まちづくり』はどのような意味で使われてきたのでしょうか?
『まちづくり』の歴史とともに、現代においてどのような方法があるのか、わかりやすく、ご説明いたします。
〈目次〉
1.『まちづくり』の意味
2.『まちづくり』の歴史
(1)『まちづくり』は1980年代に日本各地ではじまった
(2)1990年代以降のまちづくり
3. 『まちづくり』と「地域活性化」の違い
4. 現代の『まちづくり』における課題と傾向
1.『まちづくり』の意味
『まちづくり』という言葉を使う場合は、物理的な面やハード面ではなく、ソフト面での取り組みを強調するのが一般的です。
『まちづくり』は、都市の街並みやインフラ形成のハード面ではなく、仕事の確保や人材教育・さまざまなイベント・情報発信・観光促進など、地域を元気にする「コト的」要素が重要視されます。
『まちづくり』は基本的にひらがなで『まちづくり』と表されます。
2.『まちづくり』の歴史
(1)『まちづくり』は1980年代に日本各地ではじまった
まちづくりが日本各地で展開されるようになったのは1980年代であるといわれています。
1980年代は、高度経済成長期に特徴的だったハード重視・もの重視の開発発展方向から、 ソフト面の充実を目指す公共事業が発展してきた時代でした。
理由としては、70年代までの日本社会の開発重視による工業化や過剰都市化による公害・生活環境問題・自然破壊の頻発といった事態があったからです。
地方においては、第1次産業の衰退、過疎問題の進行がありました。
そのほか郊外化やモータリゼーションなど地域の個性が失われる現象も加速し、 地域アイデンティティの再構築を目指すソフト面の充実が図られたのです。
もう一つの理由として、地域住民自身の変化がありました。戦後的経済重視の価値観から生活重視の価値観への移行がこの時期にみられるようになりました。
それまでは行政によって上から事業展開がなされていたのに対し、住民自治・住民主体の地域を元気にする活動が求められていったのです。
(2)1990年代以降のまちづくり
バブル経済による経済の急激な拡大は、地方自治体の財政規模を過去に例をみないほどに膨張させました。
特に1988年の「ふるさと創生一億円事業」に代表される各地域の独自政策を促す事業は、地域の個性化やアイデンティティの再構築を推し進めました。
ただ、その一方では、リゾート地の過剰な開発など、不必要なハコモノが作られる事態を発生させました。
『まちづくり』の言葉で強調されるソフト面でも、それまでは限られた範囲で行なっていた自治的な活動に対し、多額の公金がつけられることでかえって、そのまちの人々の自主性・自律性が損なわれることにつながりました。
しかし、2000年代に入るとまちづくりは「B 級グルメ」「観光イベント」「ゆるキャラ」「道の駅」の充実など、その時々の流れを取り入れながら独自性を確立する、地域の存続の要として注目されるようになっていきました。
3.『まちづくり』と「地域活性化」の違い
『まちづくり』と似た言葉として「地域活性化」という言葉があります。
「地域活性化」という言葉を使うときは、前提として地域が活性していない状況があるため、都市よりも地方農山漁村において使われる言葉になっています。
2000年代以降「地域再生」という言葉も使われるようになりましたが、これもすでに壊れた地域を再生することを目的としています。
2000年代地方自治体の苦しい状況を反映した言葉であるといえます。
4.現代の『まちづくり』における課題と傾向
2010年代のまちづくりの課題としては、自主的な活動の自主性・自立性を再度高めることがあります。
また東日本大震災以降、防災×『まちづくり』の視点も強く重視されるようになってきています。
近年のまちづくりは、コミュニティ・ガバナンスの面も高まっています。
コミュニティ・ガバナンスとは、地域コミュニティにおける民主的なルールづくりに向けた運動を指す言葉です。これは地域コミュニティ在住者の多様性が増していることに起因しているといえます。
以上
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