エッセイ/ 台東区・山谷での日雇いバイトの経験
私は大学生の頃、東京都台東区の山谷で日雇いバイトをなんどか経験したことがある。
経験した日雇いバイトの内容は、なんらかの物品の運送業務が多かった。業務用のトラックの荷台に乗せられて、現地へ行く。
現地についた後、軽いものから重いものまで、トラックに積み込む。その後、またトラックで移動して、別の現地に移り、その物品をおろす。
いまとなっては、どんな物品を取り扱ったか、記憶に残っていない。
また、少し変わったバイトとしては、賞味期限を過ぎた缶ビールの栓をひたすら空けて、大きなバケツにそのビールの液体を入れる。
正直こんな仕事があることにびっくりしたが、ひたすら缶ビールの栓を空ける作業で手がしびれたこと、そして、ビールの匂いが衣服に染み込んでしまったことを覚えている。
その頃の山谷の日雇いバイトのよさは、まず第一に事前の面接など、めんどくさいことがないことだ。
当日の朝、職安の前に並び、その日に発表された仕事の定員に入り込み、その仕事を終えれば、その日に現金でお金をもらえる。
直ぐにお金が必要な時の必殺技となりえる。
そして、次に、当日にならないとどんな仕事をすることになるのかわからない。
サスペンスドラマを見る前のドキドキ感だ。
大学生の時はそんなドキドキ感が楽しかったようである。いまはごめんこうむるが。
ところで、今の山谷はどのようになっているのか?いわゆる「ドヤ街」のままなのだろうか?
泪橋交差点は変わらずなのか?
聞くところによると、安い宿をもとめて日本や海外のバックパッカーが訪れるようになっているらしい。
今度、機会があれば、ブラ散歩してみたいと思う。
以上