「量子」とは / 基本的な内容について
量子の原理を、量子コンピュータに利用することついても、あわせてご説明いたします。
〈目次〉
1.量子とは
2.量子の性質を量子コンピュータに用いる
(1)重ね合わせ
(2)量子の状態は観測して初めてわかる
(3)量子もつれ
3.より具体的な「重ね合わせ」と「量子もつれ」の使い道(利点)
(1)重ね合わせ
(2)量子もつれ
4.まとめ
1.量子とは
量子(りょうし、quantum)は、物理学において用いられる、様々な物理現象における物理量の最小単位です。
量子の最も不思議な性質は粒子と波の性質を両方持ちます。
まず量子が粒子の性質を持っているというのは直感に反しないと思います。
粒子の性質とは、物体を1つ、2つと数えることができて同じ場所に複数の物体が共存できないというものです。
量子が粒子のように振舞うというのは当たり前のように思えます。
それでは波の性質とはどのようなものか、ご説明します。
まず思いつくのは下の写真のような水が波打っている様子です。
物理では音波や電磁波も同様に波として扱います。
これらの「波」に共通する性質は2つあります。
・空間的に広がっている。
・1つ、2つと数えられない同じ場所に、複数の波が共存して影響を及ぼし合う。
2.量子の性質を量子コンピュータの計算に用いる
この量子の不思議な性質を量子コンピュータの計算に利用することについて解説いたします。
それは「重ね合わせ」と「量子もつれ」という量子特有の2つの原理を利用することで、従来よりはるかに高速な計算の可能性が見出されています。
(1)重ね合わせ
量子コンピュータではビットの0/1というのは量子の状態で表します。
磁石に例えるとS極が上を向いている状態を0、N極が上を向いている状態を1として0/1を表現しています。
ここで、従来のコンピュータではビットの値は必ず0か1かに決定します(電流がONかOFFか)。
しかし量子ビットはなんと0でもあり1でもある状態という状態を取ります。
これを状態の重ね合わせと言います。
この現象は先ほど紹介した量子が波の性質を持つことに由来します。
波は複数の状態の波が「同じ場所に共存して「影響を及ぼします」。
そのため波の性質を持つ量子も複数の量子が共存するという現象が起きるのです。
(2)量子の状態は観測して初めてわかる
量子の状態は最終的に0か1かのどちらかです。
ではいつ状態が判明するかというと、量子の状態を観測した瞬間に量子の状態が確定します。
先ほどご説明ように、量子は波として0の状態と1の状態が重ね合わさった状態でいます。そのため私たちの目には見えません。
しかし量子は粒子でもあるので、私たちが量子を粒子として「観測」しようすると途端に波は1点に集まって粒子として振る舞うのです。
つまり量子は状態を観測するまではどちらの状態も取りうるけれど、観測した瞬間、量子の状態が確定するということです。
これを「波束の収縮」と言います。
(3)量子もつれ
量子もつれとは複数の量子間に生じる現象で、1つの量子状態が確定すると、他の量子の状態にも影響が及ぶ現象です。
従来のコンピュータでは隣のビットが0から1に変わったからといって自分に影響が及びません。
しかし、量子ビットでは他の量子ビットに影響が起こり得るのです。
3. より具体的な「重ね合わせ」と「量子もつれ」の使い道(利点)
これらの2つの現象は「量子力学の公理」と言われ、なぜということが説明できません。そういうモノだとして受け入れるしかないのです。
それでは、「重ね合わせ」と「量子もつれ」は、どのように量子コンピュータに利用されるのか、具体的な使い道(利点)にご説明いたします。
(1)重ね合わせ
可能一度に何通りもの計算が可能になります。
重ね合わせを利用することで1度に複数の状態を作り出すことが可能です。
例えば2つの量子ビットを考えると、それぞれの量子ビットが0と1の2つの状態の重ね合わせを取ることができるため全体では下のように4つの状態が考えられます。
これが10個になると1024通り30個では1073741824通りとなります。
重ね合わせを利用することでものすごい数の状態を一度に表現できるのです。
この状態で演算を行うことで一度に何通りもの計算が可能となります。
(2)量子もつれ
一方の状態が確定するともう一方の状態も確定する状況を作り出するため計算処理を減らすことができると考えられています。
4.まとめ
・量子は粒子と波の両方の性質を持ちます。
・量子には重ね合わせと量子もつれという量子特有の現象が存在します。
・重ね合わせとは複数の状態が共存して存在することです。
・量子もつれとは一方の状態が確定するともう一方の状態に影響する現象のことです。
・2つの現象は、量子コンピュータの高速計算処理において重要な役割を担っています。
参照元: 「Invester」webページ
以上