榎木の考える「浮かせる基本」については前回述べましたので、今回はこれまで作ってきたヴィネットで、その考えをどう実践しているかを見ていきます。基本に忠実なものから、かなりの応用編まで、25年間で、山ほど浮かせてきました。
◆浮揚最新作アオサギ男
これはできたてホヤホヤです。前回「ヴィネットの魔法・浮揚術1」をポストした後、「よりによってあのキャラを選ぶのは安易すぎだろ」と突っ込まれて、粘土で数日で作ってみたアオサギ男です。映画は、ご存知のように資料が十分には出回ってないので、記憶だけで作っています。この気持ち悪さ、なかなかいいでしょ。
◆水中のムーミン
「魚の浮かせ方」として前回詳説したものの実践&応用例といえるでしょう。構成的にもかなりのお気に入りです。そもそも倒立状態のフィギュア自体が、珍しいと思います。
◆005と飛び散る岩
「サイボーグ009」シリーズは、上のムーミンシリーズとともに、最初期のヴィネットシリーズのひとつ(どちらも食玩)です。それぞれのサイボーグ戦士の能力を目に見える形で表現するのがテーマで、何をやっても「今まで見たこと無い造形」を試みている自負があり、心が踊ったものです。
005は怪力が能力であり、岩を割っていることでそれを表現。
前回、浮揚術1冒頭のわらわらの作例で、瓦礫を浮かせたあのテクは、ここで既に誕生しています。
◆トリッキーな浮揚(北斗の拳、002、巨神兵)
「まわりの景色」を描かなくても(僕が考える)ヴィネットは成立します。
『北斗の拳』のガチャシリーズは、原作初期の(ひでぶ!に代表される)「常識を超えた人体破壊描写が一線を超えたとき生じる諧謔味」を追求しています。スプラッタホラーに通じるものかもしれません。
「巨神兵」ガチャシリーズは、庵野秀明氏による東京都現代美術館『特撮博物館』の会場限定販売用に作られたものです。
◆村上隆アート食玩
現代美術の村上隆氏の等身大フィギュアシリーズの雛形を、これまでいくつか作っていますが、僕が氏のイラストを初めて立体化したのがこの食玩シリーズでした。
◆進撃の巨人・立体機動
『進撃の巨人』の原作がまだ三巻ぐらいしか出ていない頃、これはすごい!ということでガチャ企画が始まりました。アニメがブレイクするずっと前でしたから、キャラ偏重ではなく、独特の世界設定を描くことを、重点的に考えたシリーズです。これは、ミカサを作ったのではなく「立体機動アクションをする兵員」を作ったのです。
◆様々な技法(コナン、ピーナッツ、アトム、ベイマックス)
僕の作るヴィネットは、各種の技法が組み合わされていて、浮揚術がメインになっているものも、浮揚はサブに回っているものも(先程の巨神兵のように)、あります。
全部を紹介できませんので、解説を入れたい作品をセレクトしました。
◆実は浮揚術の実例はポケモンシリーズに溢れている
いろんな浮かせる実例を紹介してきましたが、実は浮揚するキャラの数、技術のバラエティともに、一番充実しているのがポケモンだったりします。すごい数作ってますからね。
それらは次回にまとめて紹介できればと思います。