エクバシリーズは家庭用に移行するべき
リライト後の記事ございますのでよければこちらから読んでください。
こんにちはEXVSDBです。
2022年12月に開催されたPDF2022で発表されたエクバシリーズ最新作オーバーブースト、略してオバブ。
Twitterで「オバブでアーケードタイトルは終わり」とソース不明の話題で盛り上がってましたが、自分は「クロブの次はない」とすら思っていたので正直ビックリしました。
発表を聞いた当初は「やった!新作だ!」と思いました。
が、時間を置いて考えれば考えるほど
「まだアーケードでやるんか?もう家庭用に移行していんじゃね?」
という気持ちが日に日に増し、仕事中プライベート問わずオバブの稼働を素直に手放しで喜べないメンヘラおじさんに……
というわけで自分の感情を整理するために言語化したのがこの記事です。もし同じようにオバブの発表を素直に喜べない人がいたら気持ちの整理に役立てれば幸いです。
今回はいつも以上に自分語り多めの独断と偏見に溢れた記事となっております。またゲーセン好きにとってはあまり気持ちのいい記事ではないと思われますのでご注意下さい。
まあ自分はゲーセンともバンナムとも関係のないVSシリーズ大好き一般おじさんなので好きに書かせて下さい。とりあえず自分の正直な気持ちを吐き出していきます。
過去最大級に長いです。24,000文字あります。病気だろ。
一生無料なのでお暇な時にゆっくり読んで下さい。
苦境に立たされるアーケード対戦ゲーム
まずは「アーケード対戦ゲーム」の現状を整理します。
主語を間違えないで下さいね。アーケード"対戦ゲーム"です。プライズゲーム、リズムゲーム、カードゲーム等は含みません。
こういうレバーとボタンがある昔ながらの筐体のゲームについてです。
生き残りはエクバだけ
JAEPO2023の出展タイトルを見て頂ければ分かりますが、アーケード対戦ゲームの開発は大手メーカーほぼ撤退済みです。まだ新作提供しているのはバンナムのエクバシリーズしかない孤軍奮闘状態。
鉄拳
ストリートファイター
キングオブファイターズ
ギルティギア
ディシディア ファイナルファンタジー
こういった有名どころは開発主体が家庭用に移っています。家庭用リリース後にアーケード版がリリースされる流れは一部ではあります。
最新作ストリートファイター6はアーケード版が稼働予定ではありますが、例に漏れず「家庭用のリリースが先」です。鉄拳7などもアーケード版が現在稼働していますが、私のホームでは誇張抜きでこの2年ほど座っている人を見たことがない。
未だに家庭用移行せずアーケードで活躍するエクバシリーズはアーケード対戦ゲームにおいて最後の砦とも言える存在です。
ただこの奮闘はいつまで続くんでしょうか?
減少する店舗数
まずクロブの2023年1月時点の稼働店舗数を見てみます。
2023年1月時点では851店舗で稼働中です。これだけ見せられても多い・少ないは正直ピンと来ない数字ですね。
なのでエクバ2終期(2021年3月)との比較で見てみます。
ここ2年でクロブ稼働店舗は全体の約5%に当たる46店舗が減少しました。
バンナム2022年5月の本決算資料で「家賃など固定費の増加を見込む」と記載があった通り、特にテナント料の高い関東圏・大阪府を中心とした都市部での減少が目立ちます。
コロナ禍という事もありましたが、早いペースで減少しています。
落ち込むプレイ回数
次にエクバ2稼働開始(2018年10月)からの週間プレイ回数の推移を見てみましょう。
▼それぞれの週間平均値
エクバ2(緊急事態宣言前): 491万回
エクバ2(緊急事態宣言後): 213万回
クロブ: 241万
プレイ回数の下落の主たる要因はコロナ禍・マキオン家庭用発売といったゲーム性とは関係のない外的要因が強いです。
決してクロブがエクバ2に比べて面白くないわけではない、と補足しておきます。ですが結果として
ピーク時から約50%程度に稼働が落ち込みました。
悪化し続ける収益
最近物価上昇のニュースばかりです。
でもそんな中ほぼお値段据え置きで提供しているものがあります。
はいゲームセンター、特にアーケード対戦ゲームです。
最近の物価高の原因は主にコストプッシュ。ゲーセンのゲームには原材料とかないので影響は少なめではあるんですが、電気代や人件費、前述したテナント料などは値上がりの一途を辿っており決して無視できないコスト増です。
特に電気代は法人、一般家庭問わず大幅値上げ。ゲーセン界隈への影響は図り知れず…
昔100円だったものが今どれだけ値上がっているか…
自販機の缶コーヒー: 130円
マックのハンバーガー: 170円
回転寿司1皿: 130〜150円
書いてて絶望した。この世の終わりだろ。
こんな中1クレ100円で頑張ってるアーケード対戦ゲームすごすぎか?
しかもクロブでは以下のような実質値下げ的な事もやってます。
対戦時間20秒延長
タイムアップ両負け廃止(4人→2人負け)
15分遊べるCPUモードを"全店"開放
運営は神なのか…?
と思ったんですが、よくよく考えるとバンナムの主体は「ゲーム開発側」であって、「ゲーセン経営側」ではないんでした。
値上げ出来ない理由1:100円の制約
ゲーセンが値上げできない理由は色々考えられますが、まずは「100円という通貨的な制約」から話していきます。
アーケードゲームは1クレ100円が大半。コインシューターもデフォルトは100円対応。この「100円硬貨」とサービス提供が密結合になっています。
ダイソーなどの100円ショップも同じ問題を抱えていますが、ゲーセンの方が実は深刻。
例えばダイソーもゲーセンも120円に値上げ、それぞれ10点購入したとします。
ゲーセン: 120円支払い×10回
ダイソー: 1200円支払い×1回
ゲーセンは都度支払いなので、消費者は「値上げを意識する回数」や「小銭の手間」が増えるため値上げへの心理的ハードルが高い。
ゲーセンに比べてダイソーは一括支払いなので心理的ハードルは比較的低い。
これは消費税増税の時に既に問題になっています。現在100円ショップは1点税込110円で提供していますが、ゲーセンは100円のまま。ゲーセン側が消費税を負担する構図になっています。
ゲーセンはもし100円から値上げするのであれば次は200円となり値上げ幅が飛躍する。
そんな中、値上げを決断した店舗もあるようです。
この店舗ではうまくいく可能性はあります。ですが全国的、特にエクバシリーズではうまくいく未来が見えません。。後述します。
値上げできない理由2:競争が激しい
前述した100円問題。実はもうほぼ解決しています。
GIGO(旧SEGA)やタイステなど大手ゲームセンターでは電子マネー対応決済端末を筐体に搭載している店舗ばかりです。
この端末では10円単位の調整が可能になっています。現金は1クレ200円、電子マネーは1クレ120円といった具合に値段設定もある程度自由にやれるので、決済の環境は整ってきています。
ただ通貨の問題が解決しても値上げは難しい。
商売にはライバルがいるからです。
地域内で1クレ100円の店舗、1クレ120円の店舗が並んでたら人は普通安い方に流れます。自分の店舗だけ値上げすれば客足は間違いなく離れるので値上げの判断は慎重にならざるを得ません。
先程の値上げした店舗は「レトロゲーという明確な独自要素」を持っています。個人が家でレトロゲーをプレイする環境を整えるにはハードからソフトまで結構お金掛かります。ゲーセンのレトロゲーに至ってはそもそも個人がどうこう出来ません。
なので値上げ戦略を取るのも妥当です。
しかしエクバは全国津々浦々の普通のゲーセンで遊べる対戦ゲームです。そのゲームを1クレ200円にしたらおそらく客が飛びます。
オバブ1クレ200円でやる未来を皆さん持てますか?
少なくとも自分はプレイ回数減ります……お遊び機体とかも使い辛くなりますよね。200円払って捨てゲーされたら我に返って当分ゲーセンに行かなくなると思います。
ゲーセンの現実は値下げ路線
値上げもやれない事はないという状況ではありますが、現実はむしろ値下げ路線です。
1クレ90円(電子マネー決済)
3クレ200円(1クレ66円)
2クレ100円(1クレ50円)
曜日や時間帯によりけりですがこのぐらいはそこそこ目にします。
永山の700円21クレ(1クレ33円)はあまりにも有名
他にもGIGOアプリ入れてると、ログインボーナス、誕生月プレゼントとかで月大体平均2クレぐらいはクレサしてくれたりします。
こういった値下げの背景は「世の中は娯楽に溢れている」という事が挙げられます。
基本無料のソーシャルゲーム
アーケードよりもスペックの高い家庭用ゲーム
膨大なコンテンツ量を持つサブスク
今は人生の全てを費やしても遊ぶ時間が足りない状況です。ゲームはタダでも遊んでくれない時代。実際、戦場の絆Ⅱというアーケードタイトルがキャンペーンで無料化した事もありますが、私のホームでは無料でも客入り悪かったです。
どれだけ考えても「値上げできるほどアーケード対戦ゲームの立場は強くない」という結論に落ち着きます。
ただ先行稼働期間で人が溢れている時期なら値上げは全然ありだと思います。クロブは先行稼働しませんでしたがオバブの先行稼働はあるかもしれません。それこそ戦場の絆Ⅱとかいうゴミを売り付けた店舗への禊としてやってもよさそう。
性能不足となった基板
話は変わりますがエクバ2で新基板(System BNA1)に移行しました。エクバ2の稼働は2018年10月なのでもう4〜5年前の基板。
基板に搭載されているグラボはNVIDIA GeForce GTX 1050Ti このグラボの発売日は2016年なので7年前のモデル(更に言うなら当時からミドルエンド)
最近機体モデリングのリファインが行われました。
比較すれば一目瞭然、新モデルのディティールアップによる表現力は神の領域。ため息を付きながら「…最高」という評価しか出来ない。相変わらずエクバのグラフィック関連は神掛かっている。デカールの有無については「アニメ派」と「プラモデル派」で賛否あったみたいですけど自分は好き。(脱線)
しかしこの機体モデルのリファインで問題が出てきました。
キレイすぎるモデリングが仇となり処理落ちするように……。最近追加されたνガンダムHWSなども同様、CPU戦ではあるが処理落ちで筐体が落ちる事例も報告されている。
処理落ちしたならアプデすればいいじゃない
と、思うかもしれませんが、ゲーム開発者にとって基板性能やネットワーク等のアプリケーション以外をボトルネックとするパフォーマンスチューニングって結構ストレスなんですよ。
再現性の困難な処理落ち、店舗起因の通信ラグなんてのは調査・対応に時間が掛かるのは勿論なんですが「自分達が対応する領分なの?」という疑問が付いてきます。
またパレートの法則っていうのがあって、
「80点の完成度に達するには2割の時間でよいが、残り20点を高めるためには8割の時間がかかる」
100点は流石に言い過ぎですが、「今までの機体は80点でOK」だったのに「リファイン機体は85点でOK」となります。この5点を上げるのが本当に大変。
実際、福岡νの上記アップデートはマシンスペックが十分ならやらなくてよかった仕事とも言えます。福岡ν、HWSの件で不具合連発してる状況なのでテスト項目の追加など現場への負担は増えていそう。
この状況下、開発者にとって一番楽なのは
「マシンスペックを強化して80点の仕事でOKにする」
マシンスペックでぶん殴る。これに尽きる。
しかしアーケードゲームはマシンスペックをおいそれと強化出来ない。強化したいのであれば新筐体を売りつけるしかありませんが、少なくともオバブで筐体リニューアルという話は一切出ていないです。
つまり既に限界に到達している基板でまた2年近く稼働する事となる。
話題性の低下
エクバ2とクロブの話題性をGoogleトレンドラインで見てみます。
それぞれのピークで比較すると
エクバ2: 100
クロブ: 24
エクバ2(100)からクロブ(24)で前作比24%まで話題性は低下しました。4分の1になったって事です。
エクバ2は久々の新作、かつ基板刷新も相まって話題性が高かった模様。コロナ前とは言えロケテ7時間待ちなどの逸話もあり、当時の人気過熱ぶりが伺えます。
が、前述の通りアーケード対戦ゲームはコロナを主たる要因として人離れが進んだ結果、クロブはエクバ2ほどの話題性を得られませんでした。
オバブ移行は難しいタイミング
オバブへの移行となれば各ゲーセンは初期費用として改造キットを購入する必要があります。
皆さんのホームで稼働しているクロブの台数を思い描いて下さい。クロブが1台77万円(税込)だったので据え置きで試算すると以下のお値段です。
4台: 308万円
8台: 616万円
12台: 924万円
20台: 1,540万円
結構な金額ですね。
1プレイ100円で消費税10円、バンナム税10円の約20円が引かれます。利益80円として1台ペイするのに約9,625クレ必要(電気代・テナント料・人件費・メンテナンス費などの間接費は除く)
エクバシリーズはアーケード対戦ゲームにおいて稼ぎ頭なのでまだ稼働させる気のある店舗はオバブを引き続き導入するはずです。
ただしエクバ2はVSシリーズ過去最高の売上を誇っており、その続編であるクロブへの移行は心理的に抵抗がない状況でした。
しかしここまでまとめてきた通り
プレイ回数は前作比50%まで低下
話題性は前作比24%まで低下
ゲーセン経営にとって悪いニュースが続く
オバブへの移行を躊躇なく出来る店舗ばかりでしょうか?
ここまでのまとめ
ここまでゲーセンに親でも殺されたのかってレベルでアーケード対戦ゲームの苦境について話してきました。
正直これでもまだ足りないんじゃないかとすら思います。取り上げていない課題はまだまだありそうです。
このアーケード対戦ゲームの苦境とも言える現状があるからこそ自分は「まだアーケードでやるんか?」という感想を持ちました。
次に「もう家庭用に移行していんじゃね?」の部分について深堀りします。
家庭用移行でのユーザーのメリット
家庭用移行でのバンナムのメリット
それぞれ書いていきます。
家庭用移行でのユーザーのメリット
正直言わずもがな…なのでサッとまとめます。
ユーザーにはメリットばかり
令和5年西暦2023年になってもまだゲーセンに通うゲーセン歴20年以上の筆者目線から見てもこんな評価になります。
はい家庭用の圧勝です。
エクバシリーズはレバー1本にボタン4つという昔ながらの対戦ゲーム。殆どのユーザーにとってはゲーセンの上位互換が家庭用です。
ゲーセンの「社交性」って面は評価したいんですが、オンライン対戦になってからはよほど積極性のある人じゃないと交流が発生し難くなったと感じます。
だって隣に座っている人、同じゲームをやっている人というだけで、同じ対戦を共有していないですからね。奇跡的にシャフで隣の人と組んだ事あり、その時は負けてもお互いに「ごめんなさい〜からの手刀派生」して昔を思い出して楽しかったですがこういうのは稀です。
昨今はSNSの発達によりYoutuberの配信にお邪魔したり、家庭用でも気軽に大会開いたりなど家庭用の方が優れている面も多いです。ゲーセンの方が「社交性」が優れているというのも正直人によります。
ゲーセンの「場の雰囲気」を活かしているのはリズムゲーが最たる成功例かと思います。リズムゲーのスーパープレイって素人目にも凄さが分かるんですよね。楽曲も一般人が知っている有名な曲多いですし傍から見てても楽しそうです。
アーケード対戦ゲームはこの「ユーザーにとってゲーセンでプレイする意味」という動機付けがないので家庭用に移行していったんだと個人的に思っています。
むしろアーケード対戦ゲームの「場の雰囲気」って…
一人で画面に向かって文句
集団で雄叫びを上げる
台パン・台ケリなどの暴力
ベガ立ち勢による嘲笑
公共の場に出すとマイナス面が大きそうです。これはエクバシリーズに限った話ではないです。
家庭用移行でのバンナムのメリット
こっちが本題で自分の言いたい事が詰まってます。
市場規模が圧倒的にデカい
先程のGoogleトレンドライン比較、今度はマキオン家庭用とクロブで比較してみましょう。
それぞれのピークで比較すると
マキオン家庭用: 100
クロブ: 18
マキオン家庭用(100)はクロブ(18)より話題性は5倍以上です。
面白いのがマキオンは発売後2年半の間、アプデを全くしていません。
対するクロブはほぼ毎月新機体解禁・既存機体の調整アプデをしています。
にも関わらず
マキオン家庭用の話題性はクロブを上回る事があります。
それだけ多くのユーザーが家庭用で長く遊んでいる。
分かりきってる事ですが市場規模はアーケードの比じゃないと言えます。
経営方針に沿う(IP軸戦略)
バンナムのIP軸戦略ってご存知ですか?「IP 戦略」ってググればトップに強調スニペット付きで出てきます。
要はガンダム、ドラゴンボール等の"IP"を軸にした経営戦略です。
詳細を知りたい人はバンナムのIRページや各メディアのインタビュー記事などを読んで下さい。ググれば滅茶苦茶出てきます。それぐらい最近のバンナムは「IP」を推してます。
まあこの記事ではあまり詳しく知る必要はないです。バンナムの経営戦略に「IP軸戦略」という言葉がある。という理解で大丈夫です。
そして本題ですが、エクバシリーズのアーケードを主体とした展開。このIP軸戦略とは真逆の考え方なんですよね。
試しに2022年5月の本決算資料の文言と比較してみましょうか。
既にツッコミどころ多数ですがまだまだあります。
そしてこれが極めつけのスライド
中期計画重点戦略って会社の成長戦略の要です。そしてどのスライドでも世界展開・グローバル化ってしつこいぐらい言われてますよね?
自分はこの本決算資料を見た当時
「あ〜こりゃクロブの次はいよいよ家庭用移行するわ〜^^」
って思ってました。
でも出てきたのは相変わらずアーケードタイトル
当たり前の話ですが、アーケードタイトルって日本のゲームセンターでしか遊べないのでどうしてもコアなコンテンツになってしまうんです。言い方変えれば閉じコンです。
一例として、いま「水星の魔女」めちゃくちゃ話題になってますよね。エアリアルがゲームに参戦したら間違いなく盛り上がります。
って書いてたら2月10日のJAEPO2023で公開されたキービジュアルにエアリアルの姿があり参戦が確定しました。一時Twitterでもトレンド入り。
そんな話題のエアリアル参戦PVを見た人は
「エアリアルがアクションゲームで使えるの!?うおおおかっこいい!!ん…でもこれゲーセンのゲーム??」
「そう………………(無関心)」
大半がこういうリアクション取るはず。そもそも海外のユーザーはどうやっても遊べないです。そのぐらいアーケードゲームって敷居が高いんです。
事実、現在稼働中のアーセナルベースにはエアリアル参戦(ファラクト、ダリルバルデ等も参戦)してますけど知らない人の方が圧倒的に多そう。知っていてもゲーセン行ってまでやらない人が大半かと思います。
でもこれが家庭用展開されてるタイトルなら話は別です。
「エアリアルがアクションゲームで使えるの!?うおおおかっこいい!!やってみようかな!」
間違いなく盛り上がります。
最新の超バズりアニメ機体
最新ゲームタイトル
ここまでは揃っているのにその販路をアーケードという閉じコンに投入するのは正直勿体ない。家庭用があればこの「水星の魔女」というガンダムIPの起爆剤を最大限に活かす事が出来るのに……
ガンダムIPの認知拡大
ちょっと脱線してしまいましたが話を家庭用移行でのバンナムのメリットに戻します。
今回の記事では
アーケード主体運用を続けた場合
家庭用移行した場合
この2つの売上を試算しての比較などはやってません。元々ガバガバってのもありますけど、そもそもエクバというゲーム単体で売上を比較する意味がないからです。
何故ならガンダムIPはマネタイズ手法(出口)が豊富だから
プラモデル
劇場アニメ・テレビアニメ円盤
主題歌・サウンドトラック
オンデマンドコンテンツ(バンダイチャンネル)
グッズ・トイ(メタルビルド)
etc…
上記のようにどこへでも売上に繋げる事が出来るんですよ。
認知度を上げてファンさえ作れれば
VSシリーズからガンダムに入った人は多いんじゃないでしょうか?生きた実例として自分が正にそうです。高校時代に友人に誘われて連ザからガンダムコンテンツに入りました。
それまではガンダムはなんとなく知ってはいましたが、アニメは見たことない状態。しかし連ザに触れてからは沼。SEED全話レンタルして一気観、VSシリーズは過去作含めて全部買いました。そこからかれこれ様々なガンダムコンテンツに数百万円使ってます。
そして自分の子供もガンダムを知っています。ロボット=ガンダムぐらいの認識をしています。何故知っているか?
そりゃ家でマキオンやってるからですよ。
間違ってもゲーセンでクロブをやってるからではないです。逆に同い年の他の子達はあまりガンダムを知りません。
「人は知ってるものしか買わない」
というマーケティングの基本的な教えがあります。
話題作とコラボするソシャゲ
無料コンテンツが溢れているサブスク
大量の広告費を投入する企業
これらは全て認知度を上げるべくしての戦略です。
ガンダム関連で言うと「ガンダム立像」が分かりやすいかと思います。ガンダム立像は入場料などは取っておりません。現地に行けばタダで見れます。なのでガンダム立像の建造自体は赤字です。(全額バンナムが出してるとは思わないけど)
しかしこのガンダム立像を建設する事による様々なメリットがあります。
観覧目的で福岡県の観光客増加(行きました)
現地ガンダムベースのプラモ売上増加(買いました)
ガンダムがニュースで扱われ認知度増加
家庭用を出せば手に取る人は増え、また配信等も盛んに行われるためアーケードの比じゃないレベルで認知度が上がります。
そこで今までガンダムを知らなかった人がエクバシリーズからガンダムに興味を持ち、ガンダムIPのどこかにお金を落としてくれればゴールです。
ゲーセンに100円を入れる事"だけ"がゴールではありません。
つまり現状のアーケードの売上を家庭用の売上だけで超える必要はないんです。家庭用からガンダムを知った人がプラモデルやメタルビルド、サントラなど購入する副次的な効果も積み上げて期待できます。
逆も然りで、ガンダムファンが家庭用エクバシリーズをプレイ、最高峰2on2ハイスピードアクションゲームの面白さを知りアーケードでもプレイしてみる。
この双方向のシナジーこそがバンナムの言う「IP軸戦略」の正しい姿ではないでしょうか。
エクバシリーズという面白いゲームをアーケード主体で狭く・深い展開を続けるのは会社として大きなマイナスだと思います。
特に若年層に訴求できる
前項の「認知拡大」の話の続きです。
昨今ガンダムの若者離れが懸念されています。
水星の魔女プロデューサーインタビューでもこんな話がありました。
そんな現状を踏まえつつ、エクバシリーズってガンダムゲーにしてはプレイ年齢層が若めだと思いませんか?データとかはないんですけど
活躍しているYoutuber
大会で勝ち進むユーザー
SNSで目立つユーザー
ゲーセンにいるユーザー
この辺見てても10代後半〜30代前半のユーザーが多いと感じます。
「30代は若くねーだろ」という声が聞こえてきそうですが、少なくともガンダムという高齢化が進んでいるコンテンツでみたら若年層扱いでいいと思います。
元々VSシリーズのメイン層って学生なんですよね。最近のメイン層は大学生〜社会人にシフトしてきているみたいですが
NEXTの頃はそれこそ小学生とかも沢山いました。自分は2回小学生のケンカを仲裁した事があります。最近は制服着たままゲーセンが禁止されているのかあんまり見なくなりました。
反射神経が重要なゲーム性
動物園と揶揄されるほどの盛り上がり
4人対戦(麻雀と同様、身内で揃えやすい)
身体が闘争を求める血の気の多い若者世代
うまく言語化出来ないんですけど、若者がハマるなにかがあるんだと思います。
このガンダムの若者離れが激しい昨今、エクバシリーズって若者のガンダムコンテンツへの入り口として最適なゲームだと思いませんか?
ガンダム海外展開
「認知拡大」の話の最終形です。
バンナムはガンダムの海外展開を常に挑戦し続けています。先程のIP軸戦略でも「海外展開・グローバル化」って死ぬほど書いてましたよね。
アジア圏はプラモデルの販売など好調ですが、北米・ヨーロッパ圏は正直うまくいってません。
キリスト教圏で宗教的に受け入れ辛い
モビルスーツ = 兵器への価値観が根本的に違う
とかまあ色々要因については語られていますが、結果として流行ってません。しかし北米・ヨーロッパの市場で成功を収めたらガンダムというIPはまた一つ次のステージに進めます。なのでバンナムはあの手、この手でガンダムを売り込もうとしています。
ガンダムEVOLUTIONとか作ってる事からも明らかです。
そんなガンエボですが、いまGGGP2023という優勝賞金1位500万、総額700万円の賞金あり大会やってます。水星の魔女でCMもやっていたので大会の存在は知ってる人も多そうな大会ですが……
128チーム定員枠に応募者12チームの限界大会に
サービス開始2022年9月、まだ半年も経っていない新作ゲームなのに…
バンナムのキャラゲー特にガンダムはクソゲー率が高いんですが、ガンエボは言うほどクソゲーではないです。普通に遊べます。
ただガンダムって要素を抜きにしても普通すぎますね。
FPSシューターは本場アメリカではメジャーカテゴリであるのは間違いありません。しかしFPSシューターは全てアメリカで流行る。なんてわけはないですよね。
メジャーであるが故に競合タイトルが死ぬほど存在していて、かつ、プレイヤーの目も肥えてるという事を忘れてはいけません。
実際コケた最大の要因はガンエボの翌月にリリースされたオーバーウォッチ2だと思います。ガンエボ自体がオーバーウォッチのフォロワーゲーム(パクリゲーム)なのに本家が新作出してきたらね。
世界的に見ても競合ひしめくカテゴリに国産FPSで殴り込むその気概や良しですが、受け入れられるかはよっぽどなゲームじゃないと難しいです。
話は変わって、デモンズソウルから始まったソウルシリーズ(最新作エルデンリング)はTPS視点&剣と魔法のダークファンタジーだけど流行りましたよね。そして今やソウルライクという新ジャンルを確立しました。結局、重要なのは「オンリーワンな面白さ」だと思います。
その点、VSシリーズって20年以上続いていて「面白さ」は確約されてます。
それにかなりの「オンリーワン」要素なゲームシステムも持ち合わせています。
2on2
コスト制
ターゲットロックオン(エイム不要)
3D対戦アクションゲーム(意外と少ない)
エクバシリーズって類似するゲームがないんですよね。完全なフロントランナー。なので今でもアーケードという過酷な環境でも戦えているんだと思います。
類似ゲームあったらごめんなさい…ていうか教えて下さい。やってみたいです。ひデブ、ウィンダムXP、RISE OF INCARNATES(サ終)、ドールズオーダー(サ終)は知ってます。(脱線)
そんな「オンリーワンな面白さ」を持つエクバシリーズを持ってしてガンダムの海外展開に"本気で"乗り出さないのは何故なのか。
一応バーサスとマキオンは海外提供してますが、バーサスはつまらないから論外として、マキオンはPS3基板の世代遅れ、機体追加アップデートや調整一切なしの出涸らし提供で本気ではないですよね。
海外展開に関してはただでさえ厳しい状況なんだから
世代遅れタイトルを移植して様子見、流行ったら本気だす
じゃなくて
本気出して流行らせる!!
ぐらいの気概でやらないと絶対流行らないと思います。
でも二の足を踏みたくなる気持ちも分かる。
▼対戦ゲームの日本国内初週売上
ストリートファイター5: 4.2万本
鉄拳7: 5.8万本
マキオン: 12.3万本
日本国内では圧倒的にエクバシリーズが強い。
▼対戦ゲームの世界累計売上
ストリートファイター5: 680万本
鉄拳7: 1,000万本
マキオン: ---(発表なし)
でも世界規模になるとこれだけの差がついてしまう。
でも逆に考えてみましょう。日本でこれだけ受け入れられてるゲームを本気で海外向けに展開すれば何かのキッカケでブレイクする可能性は全然ありますよね。
モンハンもモンハンワールドから海外向けに据置機に移行してUI/UX等も見直した結果の爆発的ヒットがあるわけです。(モンハンは元々海外比率高かったけど一例として)
FPSシュータというAAAタイトル〜インディーズまで魑魅魍魎が跋扈する飽和カテゴリで戦うのはよっぽどの面白い要素がないと難しいです。仮に流行ってもすぐ次の新作が出てきます。
でもエルデンリング、モンハンのように今までなかったジャンルのゲームであればその心配はありません。むしろ新たな刺激を求めている海外ゲーマーに受け入れられる可能性は十二分にあります。
エクバシリーズという一朝一夕では誰も真似出来ない「ハイスピード 2on2 3D対戦アクションゲーム」でガンダムの海外展開を推進した方が勝ち目あると思いませんか。
エクバシリーズは日本国内のアーケードという狭い枠に収めず、ガンダムの世界展開に活用すべきかと思います。
エクバシリーズがIP軸戦略を無視する理由
何故エクバシリーズだけいつまでもIP軸戦略に沿わないのか?
ヒントは2022年7月の公式生放送時、司会から「今回のお知らせって家庭用ですか?」と聞かれた大久保Pのこの発言
まぁ会社が違いますね。そもそも
ではバンダイナムコホールディングスの組織体制を見てみましょう。
家庭用はバンダイナムコエンターテインメント
アーケード版はバンダイナムコアミューズメント
これが全てですね。「会社が違います」
そしてこのアミューズメントユニットは海外比率が非常に低い。
なのでアミューズメントユニットで「世界展開・グローバル化」って言われてもあまりピンと来ないんですよね。
そもそもこの組織体制だとエクバシリーズの家庭用移行の提案が現場から出る事ってあり得ないんです。何故なら家庭用移行ってつまりはアミューズメントユニットの稼ぎ頭をエンターテインメントユニットに移籍させるって事ですよ。
「自社の売上落として他グループ会社の売上を上げましょう!」
入社したての平社員ならこれ言えるかもしれませんが、会社員は役職が上がるほどこれ言えなくなります。
アミューズメントユニットという組織の切り方をしている以上、アーケードの売上を上げるため主戦場である国内の施策に注力をするのは仕方ない事です。
家庭用移行は大久保P・中館Pなどのプロデューサーレイヤーでどうこう出来る話じゃなくてもっと上のレイヤーである役員クラスで話を進めるべき事案かもしれないですね。
↑の写真出てるエライ人が意思決定する話
鉄拳7がアーケードから家庭用移行してバンナム的には大成功しているので、その成功体験を踏まえればやってくれそうですが、当時とはユニットの切り方が異なるんですよね。
鉄拳7が家庭用移行した時って家庭用とアーケードの事業セグメントが一緒でしたが、鉄拳7の発売日に家庭用とアーケードの事業セグメントは分かれちゃったんです。
以後、現在まで家庭用とアーケードの事業セグメントは分かれたままです。鉄拳7の家庭用移行は体制的にも自然な流れでしたが、現在の体制だと中々難しいかもしれませんね。
難しいのは承知ですが「IP軸戦略のもとALL BANDAI NAMCOでの一体感と総合力を高める」って言ってるんですから、ちゃんと会社方針に沿って頑張ってほしいです。
ここまでのまとめ2
ユーザー、バンナムそれぞれの家庭用移行に伴うメリットを書いてみました。
ユーザーは家庭用を熱望している。
バンナムはIP軸戦略に則ってガンダムを若者・海外に展開したい。
お互いの思いが噛み合っているからこそ、自分は「もう家庭用移行してもいんじゃね?」という感想を持ちました。バンナムのお家事情を加味しても気持ちは変わりません。
ここからは個人的な思いが強くなりますが、家庭用移行もただやっても上手くいかない可能性があります。個人的に家庭用移行するなら「必須」と思っている事がいくつかありますので家庭用移行する際の要点をまとめてみます。
家庭用移行の要点1:参戦機体を絞る
まず「最初は参戦機体数を絞るべき」という事です。
この記事執筆時点で221機。
オバブ稼働後は230機近くになっているでしょう。
エクバシリーズには12年間積み上げてきた歴史があります。この歴史による最たるものが豊富な機体数(キャラ数)だと思っています。
でも家庭用移行時はその売りは一旦捨てて「敢えて参戦機体数を絞るべき」と考えています。
順番にそう思う理由を書いていきます。
新規参入ハードルを下げる
キャラ数を他のゲームと比べると
ストリートファイター5: 45
鉄拳7: 50
スマブラSP: 87
エクバ: 230!!
正直新規にいきなりこのキャラ数を投げつけたら楽しみより迷いが勝る
実際自分の子供がマキオンやると「これ何選べばいいの?」って聞いてきます。(殴りたいならバエル、撃ちたいならEx-Sって回答してます)
どの対戦ゲームでもキャラの理解と対策は必要な事です。しかしそれが40と230ではハードルの高さはかなり違います。初心者にとっては尚更です。
最初は60〜80機ぐらいが新規向けとしては妥当だと思います。
実際マキオンで185機全部触った人って購入者の数%だと思いますし、対戦ゲームとしてはこれでも多いぐらい。
継続的かつ大規模なアップデートが可能
「参戦機体数を絞る」事による次のメリットがこれ。継続的かつ大規模なアップデートが可能になります。
例えば2ヶ月毎のシーズン制採用したとして、
初期機体80機
シーズン毎に10機追加 + 機体調整
これだけでシーズン16(32ヶ月)までやれる。
ガンエボのνガンダム参戦!とかそんなレベルじゃなくて、毎シーズン2桁単位のプレイアブルキャラ参戦という大規模なアップデートが出来る対戦ゲームを自分は知らない。
マキオンがいい例ですが、アップデートのないゲームの盛り上がりって一時的なものになりがちですよね。
日々様々な娯楽が提供されるこのご時世、アップデートの頻度と質を上げる事はゲームを流行らせる必須条件だと思います。
この豊富な機体数を持つエクバシリーズには話題性を維持するポテンシャルが十分あると思います。
客単価アップ
家庭用でしばしば言われるのが客単価の低さです。
エクバ: 8,000円(60機)+DLC6,000円(12機)
フルブ: 8,000円(99機)+DLC16,000円(32機)
マキオン: 8,000円(185機)
プレミアムサウンド版やナビ・エンブレム等のファン要素も購入すればもうちょい掛かりますが対戦する分には3作品DLC含め全部買っても46,000円。
ところでエクバ、フルブ、マキオン家庭用どのぐらい遊びましたか?
自分は3作品で40,000戦は遊んでます。
1戦4分として
40,000戦 * 4分 = 160,000分 => 2,666時間
46,000円 ÷ 2,666時間 = 17円/時
正直安すぎ…
特にマキオンの185機フルプライスは大判振る舞いすぎたと思ってます。
エクバシリーズというコンテンツへの間口は広くするべきなのは間違いないんですが、コンテンツに触れた結果ファンになった人への課金導線はもっと増やしていいと思います。
「家庭用出してアプデしてくれるならお金全然出すよ?」
って人はかなり多いと思います。だって元々金払いのいいゲーセン通いのユーザー多いですからね。自分は当時50万円以上したマキブの筐体買うか迷ってましたから…法人名義の契約が必要と聞いて諦めました。
課金方式は何でもいいです。
基本無料+課金機体
パッケージ販売+シーズンパス課金
パッケージ販売+課金機体
なんにせよ客単価を上げるためには
最初は機体を絞って追加機体を有料で
この手法が一番丸いと思います。
そもそも課金コンテンツが存在しないと継続的なアップデートは運営上出来ないです。なので機体調整を期待するユーザー側にもメリットはあるので持ちつ持たれつで支えていきたいですね。
アーケード版との差別化
基本的にどのゲームも家庭用"移植"するとアーケードの客足は途絶えます。低下しますなんて表現は出来ないです。途絶えます。
実際それをやったエクバ無印、フルブでは途絶えたのでこれはもう避けようがない現実です。
ただ今回話しているのは"移植"ではなく"移行"
そしてそのための機体数絞りです。
仮にオバブをアーケード&家庭用で並行稼働したとして
アーケード: 初期230機 + 1ヶ月で1機追加
家庭用: 初期80機 + 2ヶ月で10機追加
家庭用の機体追加を2ヶ月10機の超ハイペースで進めてもアーケードに追いつくのは38ヶ月後。これだけアーケード優位期間が長ければ客離れはそこまで起きないのではないかと思います。
他にもアーケードと家庭用での連携要素も考えられますね。アーケードの選択肢が存在しない海外ユーザーはケアする必要ありますが…
アーケードで貯めたGPを使用して家庭用機体を購入
家庭用機体を購入するとアーケードのプラスコインチケットを付与
アーケードで機体熟練度★10(1,000戦)達成で家庭用先行解禁(CPUぶん回しても10,000円以上掛かる超課金要素)
柔軟なリソースの投入
仕事でかなり使いますが、この言葉結構好きです。
「小さく始めて大きく育てる」
いきなり230機参戦済みで家庭用移行するのは頑張りすぎ。家庭用移行はうまくいかずアーケード主体のままが良かった、という可能性も十分あります。
家庭用移行します!最初から全機使えます!
アーケード死にました
思ったほど家庭用流行りませんでした
VSシリーズ死にました
これが最悪のパターン。
要は撤退の選択を出来るようにしておこう、という事です。
また家庭用ともなれば参戦機体に応じたミッション・原作再現ルート等のソロモードの実装など少なくない作業もあります。こうした作業も機体数を絞る事で実装タイミングをズラす事が出来ます。
最初のリリースまでのスピード感を上げるという点でも「参戦機体は絞った状態」で始めた方がリスク低く進められると思います。
あれ?でもこれって?
なんかもっともらしい事を書いてきましたが、これ別に誰でも思いつく事なんです。
だって実際もうやってあるんですよ。
参戦機体数を絞る
アーケード版との差別化
有料DLC機体
機体調整アップデート
半年でアップデート停止(撤退)
全部ガンダムバーサスがやった事ですね。
一気に負け筋な気がしてきましたがオバブで家庭用移行するなら99%大丈夫です。
バーサスがコケた理由って
純粋に対戦システムの根幹がクソつまらない
アーケード版との差別化を機体数ではなくシステムで差別化した末路。
決して「機体数が少ないからつまらない」ではないです。
考えてみましょう。
バーサスの初期機体は95機、DLC機体込みなら121機です。
対して長期間愛されたフルブ家庭用の初期機体は99機、DLC機体込みなら135機です。
その数ほぼ同一。モビルスーツの機体数の違いが、ゲームとしての面白さの決定的差ではないということをバーサスは教えてくれます。
当たり前の話として、総機体数が100機だろうが200機だろうが1回の対戦で使える機体は1機づつです。
「じゃあバーサスで初めて使う機体ばかりの95戦目までの対戦って面白かったですか?」
と問いたい。
「機体数が少ないからつまらない」っていうのは「最初は面白かったけど途中から同じ機体ばっかで飽きてきた」と同義かと思います。
でもガンダムバーサスって最初からつまらないんですよ
どの機体もほぼ同じ動き => ブーストダイブ導入+降りテクを中心としたキャンセルルート大幅削除
どの機体もほぼ同じ武装 => ストライカー導入+アシスト全削除
バーサス末期はストライカー&ダイブ禁止でユーザー側でシステムを制限して遊んでましたよね。それでもキャンセルルートは戻せないしステダイブ前提で誘導してくる弾は強すぎるしで正直微妙でした。
要は対戦システムの土台が腐ってます。しかもバーサスはこの土台を一切調整しなかった。
この腐った土台に何乗せても絶対面白くならない。バーサスにオバブの機体全部輸入しても対戦ゲームとしてはつまらない。逆にオバブにバーサスのシステムを輸入したら一気にクソゲーになります。
とか書いてたらオバブのバーティカルバースト(V覚醒)でブーストダイブが墓から蘇ってきました。
でもこれオバブではそこまで悪さしないと思ってます。
V覚醒中限定
操作が地味ムズ(誤操作多発しそう)
バーサスと違って高跳びからキャンセルルート駆使してオバヒ暴れ出来る機体が多い&オバヒペナ緩め => 覚醒を捌かれやすい
何よりも悪さをすれば調整されるという安心感があります。ていうか肝心の機動力がM覚醒からかなり遅くされてるらしいのであんまり強くない読み。
それにしても機体が棒立ちで落下するのは本当に見栄えよくないのでなんとかしてほしい。試作1号機やトールギスみたいに背面可動バーニアが付いてる機体ならまだしもいきなり重力に縛られてストンと落ちるの意味ワカラン。どの機体でも急速落下用のモーション付けて欲しい。エクバシリーズのモーション班のこだわりが台無しになってしまう。。
バーサスへの恨みが強すぎて話逸れてきました…無理やりまとめると「販売方針」と「ゲームの面白さ」は別で考えるべきです。
バーサスがコケた最大の要因は「対戦がつまらない」からであって、「参戦機体数を絞った」事は主たる要因ではないと思います。
ちなみに初週売上が落ちた最大の要因としてなら「参戦機体数を絞った」は該当すると思います。
ユーザーに選択肢はない
参戦機体数を絞る事による効果とメリットがある人達をまとめます。
参入ハードルを下げる: 新規ユーザー
継続的かつ大規模なアップデート: ユーザー
客単価アップ: バンナム
アーケード版との差別化: バンナム
柔軟なリソースの投入: バンナム
「おいおいバンナムメリットばっかじゃねーか」
合ってます。でもそのぐらいバンナムのメリットがないとアーケード主体から家庭用移行という判断はされません。
そりゃユーザー的には最初から全機参戦している状態でフルプライス購入して以後無料で一生しゃぶりつくしたいです。
ただ今の状況なら「機体数を絞る」という強硬手段が取れます。
そもそもエクバシリーズって現状の選択肢がPS4マキオン or アーケード版しかないんですよ。
PS4マキオンって
機体数は185機と多い
だが15年以上前のPS3基板のアップスケーリング版
機体追加・調整などのアプデ一切なし
この状況で機体少ないなぁと感じた人がPS4版マキオンに戻る事は正直考え難いです。
それにエクバシリーズの売りって継続的なアプデだと思っています。10年以上もほぼ毎月アプデしている対戦ゲームなんて自分は他に知りません。そういう点でもアプデのないマキオンに残る人はいないでしょう。
家庭用しかやってない人からすると、2010年9月に発売したエクバ無印以来の十数年ぶりに基板刷新というビッグイベントになりますし、参戦機体数を絞る大義名分も十分立っていると思います。
家庭用ユーザーは新作が発売されれば新作をやるしか選択肢がありません。その中で物足りなくなってゲーセンに行く人が増えたらバンナム的には大成功ですね。
ただ自分の周囲を見渡しての個人的な感想ですけど、アーケードをどれだけ差別化して盛り上げても家庭用しかやらないって人は相当数います。
そういう人達向けには無理にゲーセンに誘導するのではなく、家庭用で継続的に売上を上げる仕組みを作る方が手っ取り早いと思います。
家庭用移行の要点2:エクバ2の移植はしない
タイミング的に次の家庭用タイトルとして期待されているエクバ2
クロブ稼働(2021年3月)を控えた状況でマキオン家庭用発売(2020年7月)
現在オバブ稼働(2023年夏)を控えている状況
時系列的にそろそろエクバ2家庭用が出るのでは?
この考え方すごく分かります。
でもアーケード主体でいくにせよ、家庭用移行するにしても「エクバ2家庭用は移植すべきではない」と考えています。順番に解説します。
基板が現行世代と同レベルになる
マキオンは元々PS3基板のゲームです。それをPS4に移植してアップスケールしたものを動かしています。
PS3は2006年のハード、初代エクバは2010年のタイトル、そこから基板の変更は一切なく2016年〜2019年まで稼働したのがマキオンです。
それだけ昔の技術で作られているゲームですから、今となっては演出含めた映像表現など古臭く感じるところは多いです。特にクロブと比較するとその差は顕著です。
ゲームの面白さはグラフィックじゃない
という言葉はありますが正しくは
ゲームの面白さはグラフィック"だけ"じゃない
ですね。
エクバ2は基板刷新によって過去最高の盛り上がり&最高売上を記録しました。これは運営のインタビューでもデータでもハッキリ出ています。
エクバ2家庭用を出せば同じ事がそのまま起こります。
エクバ2家庭用はマキオン家庭用の比じゃないぐらい盛り上がります。
……盛り上がるのはいい事じゃないの?
と、思うかもしれませんがダメなんです。
ここまでしっかり記事を読み込んでくれている人はダメな理由を理解してくれていると思いますが一旦次の理由に進みます。
刺激的すぎるインフレ環境
マキオンって「…この機体なにが強いの?」みたいな使ってて苦痛を感じる産廃機体多いじゃないですか。それがエクバ2では基本システムがインフレしまくっていて大抵の機体が何かしらのクソ要素を持っています。
変形(燃費向上・誘導切り)
強メイン
ファンネル
ミサイル
アシスト
この辺を所持している機体は大体戦えます。
武装もめちゃくちゃ派手になってます。
※※※エクバ2のトラウマが流れます心臓の弱い方はご注意下さい※※※
何が起こっているか分からないですよね?
使われた人・使った人・見てる人もみんな何が起こっているか分からないです。
公式実況でなかおさんの「何かが当たっているぅ〜!」はあまりにも有名
押せばWINって画面に表示される武装が沢山あり、エクバ2の環境は本当にインフレしていました。
でもこのインフレ環境が好きな人、結構多いと思います。
初心者向きなゲーム性
エクバ2はインフレ環境の極みでした。真面目に読み合いする上級者的には不評だったかもしれません。ですが反面初心者向きではあります。
主たる要因はM覚醒とL覚醒
さっき大体どの機体も強いと書きましたが、勿論弱い機体も数多くいます。ただエクバ2って弱い機体にも明確な役割があるんですよ。
それがL覚醒での覚醒タンクです。
いや2年振りに見たけどやべえ事しか書いてねえ。次回作であるクロブでは僚機へのサポート要素はEXゲージ増加しか引き継がれてないですからね。それもEXゲージも徐々に増加と下方されました。
しばしばエクバシリーズは覚醒の使い方で議論になります。大会に出てる有名な人でも覚醒落ちするし、全覚を吐かざるを得ない状況にもなるし、何なら覚醒使えないまま負けたりもします。
それだけ難しい要素なんですよ。
でもL覚醒は「覚醒貯まったらボタン3つ何も考えずに押せ」を言葉通りやっていいんです。それだけめちゃくちゃ初心者向きな覚醒なんです。
次にM覚醒
あらゆる状況に素早く対応する事が可能。もう書いてある通りです。攻めも逃げも出来る万能覚醒です。次回作であるクロブでは攻撃補正や青ステの削除など下方されまくりましたがそれでもかなり選ばれている覚醒です。とりあえずエクバ2では高コ側はこれ選んどくのがド大安定です。
マキオンのE覚は強いけど初心者が使うのはかなり難しい覚醒でしたが、エクバ2の上記2種類の覚醒は使うタイミングも運用も簡単、かつ効果が強くて使えば脳汁出まくりです。
あと覚醒関連以外でもエクバ2は攻めが強いゲーム性です。VSシリーズは回避というか受けはかなり技術を必要としますが攻めは割と簡単です。所謂Botムーブでも強いキャラが結構います(フォビ、FA-ZZ)
「これやっとけば中級者までは通る」っていう行動が非常に多いエクバ2はVSシリーズ全体通してもかなり初心者向きのタイトルだったと思います。
実際「はいwwバカゲーwww」って身内で遊ぶ分にはすんごい楽しかったんですよね。。家庭用なら無料だし尚更笑って終わりに出来ますよね。
何度も擦りますが「アーケードのVSシリーズで歴代最高の売上」を叩き出したのがエクバ2です。プレイ都度100円入れるゲームで最高売上って…
インフレ環境を初心者含め多くの人が受け入れてたって事ですよね。
ユーザーに選択肢を与える事になる
答えです。さっき「ユーザーに選択肢はないから機体数を絞れる」って書きましたが、エクバ2家庭用を移植してしまうと「ユーザーに選択肢を与える」事になります。
PS4基板になり映像表現など大幅にレベルアップ
刺激的なインフレ環境
初心者向きなゲーム性
機体数195機を"買い切り"で遊べる
エクバ2を家庭用に移植してしまったら大半の人が「エクバ2家庭用でよくね?」となり今後アーケード主体、家庭用移行どちらで展開するにしても、おそらくどっちも成り立たなくなります。
ユーザーとしてはエクバ2家庭用は遊びたいです。ぶっちゃけ発売してくれたら死ぬほど嬉しい。ただ今後の展開を考えると家庭用"移植"はもうしないんじゃないかなと私は思います。
家庭用移行の要点3:海外展開に向けて
海外展開に向けてこれだけは言っておきたかった要望があります。
それはキャラボイスのローカライズ。
皆さんPS4の言語設定をEnglishにすればマキオン家庭用で海外版を体験出来るのでやってみて下さい。死ぬほど不親切でビビりますよ。
対戦中に読めるわけないバトルナビの字幕表示
キャラの字幕表示は戦闘開始・覚醒・リザルトの3パターンのみ
文字小さすぎ、かつ秒で消える
有名な話として、ゴッドガンダムは海外ではバーニングガンダム表記です。
でもめっちゃ「ゴッドフィンガー!!」って叫びます。没入感ゼロ。実写版ドラゴンボールですらかめはめ波はka-me-ha-me-haだったぞ。
理解出来ない言語を喋り続けるキャラクターばかりの対戦ゲーム。正直キツすぎる。
ただクロブ時点でセリフ数は約12万という膨大な量、ローカライズはめちゃくちゃ大変な作業です。それでも最悪セリフ数絞ってでもローカライズしないと海外で流行る事はないと思います。
モンハンをまた例に出しますけど、モンハンワールドでボイス付いたのって海外では「ボイスがないと購入しない」という人達が一定層いるからだそうです。
このローカライズの作業量を軽減する意味でも「参戦機体数を絞る」は有効かと思います。リリース時点で12万セリフ収録してこいはキツすぎる。
記事総括
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。いや本当よく読んでくれましたお疲れ様です。
こんだけ長々と話してきましたが、まず確かな事として、バンナムは何かしらVSシリーズの家庭用を出すという事です。このご時世に家庭用出さないってもうそれコンテンツの衰退、緩やかな自殺でしかないので…
そう考えた時にスッと考えついたのが以下3つでした。
エクバ2家庭用を移植
家庭用新作制作=>ガンダムバーサス2(仮)
家庭用移行
エクバ2家庭用は元々大本命、ですが前述の通りデメリットの方が大きそうなので基本なさそう。出してくれたらそりゃそれで嬉しい。
ガンダムバーサス2は前作の悪評酷すぎてそもそも企画通らなそう。制作ライン分けてまでまた作るのか?とか正直考える意味がない。
そうした時に残ったのが家庭用移行しかなかったのでそれを軸に色々と考えたのがこの記事です。
「まだアーケードでやるんか?もう家庭用に移行していんじゃね?」
この29文字から24,000文字以上に思いが溢れてくるのが我ながら病気だと思います。
まだまだ書くネタ自体はありました。多機種展開、特にNintendoSwitchでのローカル4人対戦の学生に向けた強烈なアプローチとか…もし実現するならSwitch3台追加で買って家族でやりますし、子供の友達巻き込んで普及活動します。
逃げれば一つ、進めば二つ
「逃げたら現状維持が手に入ります。でも、進めば…」
「成功しなくても、手に入ります」
「若年層のユーザーも、ガンダムの認知度も…海外市場だって!」
失敗を恐れず家庭用移行に進んで欲しいです。
馬場Pも逃げないで戦って下さいって言ってました。
記事の感想などございましたらこちらまで
DMでもリプライでも頂けると嬉しいです。特に反論含めた自分にない発想を頂けると著者冥利に尽きます。
あとがき
くぅ〜疲れました。これにて終了です。
こっからはどうでもいい著者の自分語りしかありませんよ。特に面白くないです。
「なんやかんや理由付けてるけど要は家庭用出して欲しいって事?」
↓
↓
↓
↓
↓
↓
そうだよ!!!
自分のポジションを明確にしておきます。自分は30代のアラフォーおじさんで正直ゲーセンに通うのがかなり難しくなってきました。
仕事はフルリモートで月一出社するかどうか、2022年の出社日数10日にも満たないです。エクバ2までは仕事帰りにゲーセン寄ってたんですが、見事にそのルーティンはコロナくんに破壊されました。つくづくゲーセンって仕事や友人との遊びとか何か出掛けたついでの派生で行くところなんだなと痛感しましたね。
仕事の役職も上がってきて繁忙度は20代の頃の比じゃないです。フルリモートという事も相まって常に仕事している状況。
平日は子供の送迎、仕事、家事、子供の風呂&寝かしつけ、自由になるのは22時以降(繁忙期はここから仕事再開)
流石に22時にパジャマから私服に着替えてゲーセンに行く元気はない。。真夏や真冬はもとより雨の日とか絶対無理無理。それでもなんとか週一欠かさずゲーセンには行ってます。データも取らないといけないですしね。ただここ数年かなり忙しいのとライフスタイルの変化で満足に腰を据えて遊べてはいないです。
あとクロブ稼働後に近所のタイステが閉店したのも大きい。クロブ稼働してるのにエクバ2筐体が数台残ってて怪しいなぁとは思ってたんですが…このせいで遠い駅のGIGOに自転車で行くしかなくなった。エクバ2から毎週欠かさずやってる週間データ分析、エクバ2の時は毎週月曜に必ず出してたのに最近は早くて火曜、遅いと金曜とかになったのはこれが原因です。
休日は妻や子供と一緒に遊んだり子供の習い事行ったり、これまたゲーセンという選択肢は早々出てこない。もうちょい子供が大きくなればそういう事も出来るとは思いますが………
ガンダムをよく遊んでいた友人達も大抵が子持ちだったり仕事が忙しかったりでみんなゲーセンから卒業しています。「まだ今でもゲーセン行ってる」っていうとビックリされます。
嫌味な言い方になっちゃいますがお金はあるんですよ。ただ時間と体力と気力がない。年のせいにはしたくありませんがゲーセンに行くという行為自体が中々腰が重いです。ゲーセンのパイプ椅子に1時間以上座ってると物理的にも腰が痛くなります。
最近
「アソビきれない毎日を。」
ではなく
「アソビいけない毎日だ。」
になってます。
それでも
こんな自分でも
家庭用なら遊べます。
従量課金制については現実味がないので記事本文には全く書かなかったですが、オバブが家で1プレイ100円なら全然やります。むしろやらせて下さい。推し活が満足に出来ないのが辛い。。
「本当に好きなら言い訳せずにゲーセン行けよ!」
ってツッコミもあるでしょう……でも無理してまで続ける趣味って苦痛じゃないですか?それでも同年代としては行ってる方だと思うよ!!
そもそも自分はゲーセンが好きなわけじゃなくてVSシリーズが好きなんです。箱推しと単推しぐらい感覚が違う。
カジノ京町(福岡県)
大久保αステーション
三軒茶屋UFO
青葉台アドアーズ
町田キャッツアイ
昔住んでた街の思い出のゲーセンは全部潰れていて既に推す箱もない。
勘違いしないで欲しいんですがこの記事って別にアーケードからの引退宣言じゃないですからね。アーケードでやってる内は頻度は少ないながらもこれからも通います。VSシリーズが人生と言っても過言でないぐらい大好きなんだから出来る範囲で推したい。
というVSシリーズ大好きアラフォーおじさんの魂の叫びでした。
まじでバンナムさん頼みます。
家庭用移行してください
終