エクバシリーズの家庭版・海外展開の未来を語ろう
お久しぶりです。EXVSDBです。
ここ1年で以下のような話題や動きがありました。
オバブが衰退?
ガンエボのサービス終了
スト6・鉄拳8など近代対戦ゲームの登場
エクバライクゲーム星之翼の登場
この記事は以前書いた「エクバシリーズは家庭用に移行すべき」をベースに上記新要素を盛り込んでリライトしました。
最初の方は衰退などちょっとパンチの強いネガティブワードが出てきますが、読み進めれば「エクバシリーズの可能性」を感じられるように書いてます。
家庭版を心待ちにしている人、ゲーセンに生きがいを感じている人、皆さん思うところは様々でしょうがこの記事が皆さんの気持ちの言語化に繋がると幸いです。
文字数22,000文字と大変長いのでお時間ある時にゆっくり読んで下さい。一生無料公開してます。
ではお付き合い下さい。
はじめに
機動戦士ガンダム Extreme vs.シリーズ(以後 エクバシリーズ)は、ハイスピードバトルを繰り広げる2on2の対戦アクションゲーム。
機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン(以後 VSシリーズ)から数えると23周年、エクバシリーズだけでも14周年と長年にわたってガンダムファンのみならず、対戦ゲーマーに愛される歴史ある人気シリーズ。
2023年6月からエクバシリーズ7作目となる最新作オーバーブースト(以後 オバブ)が稼働している。
現状のおさらい
エクバシリーズ直近の家庭版はシリーズ4作目のマキオン
アーケード:エクバシリーズ7作目(オバブ)
家庭版:エクバシリーズ4作目(マキオン)
家庭版の最新作は3作品前の型落ち作品となっている。他のゲームで例えるならスト6の時代にスト3を遊んでいるようなものである。
またマキオン家庭版は2020年7月30日発売なのでもう4年近く家庭版の新作はリリースされていない。
この現状についてバンナムはガチで危機感持ったほうがいい。
ゲーセンの展開だけでは衰退あるのみ
エクバシリーズ衰退の"唯一"の理由
以前「何故オバブは衰退したのか?」という話題が注目されました。
Youtube含めたSNSで様々な意見が散見されました。
シリーズを重ねすぎてテクニックが複雑化している
覚える事が多いのにチュートリアルがない
類似ゲームがなく他ゲームの経験を活かせない
ガンダムに若者が魅力を感じていない
いつまで経ってもゲームバランスが悪い
システムが煮詰まりすぎて新鮮味がない
これらの意見も確かに衰退の理由に含まれているでしょうが、衰退の理由はもっとシンプルに結論付ける事が出来ます。
それは……
プレイ人口が減っているからです。
なぜプレイ人口が増えないのか?
ゲーセンでしか遊べないからプレイ人口が増えないんです。
現在ゲーセンのビデオゲームという土台が急速に衰退しています。その衰退する土台に乗っている限りエクバシリーズも一緒に衰退するしかありません。
SEGA、CAPCOM、スクエニ等が開発費100億以上掛けてビデオゲームを開発しても、遊べるのがゲーセンだけならもうそれだけで流行りません。
実際、上記開発メーカーはゲーセンのビデオゲーム開発事業から撤退しており、なんならバンナムの別部署が制作している鉄拳も見切りを付けています。
エクバシリーズはそんなゲーセンのビデオゲーム業界の最後の砦として未だに好調な売上を続けていますが、ここから右肩上がりに売上を伸ばす展望は見えません。
ここ6年近くの週間プレイ回数推移を見ても、コロナ禍の傷が未だに癒えておらず、エクバ2最盛期は450万〜500万回が直近は200万〜250万回と最盛期の半分程度を推移しています。
プレイ回数が回復しない理由には店舗数の減少も含まれます。特にビデオゲーム主体の個人経営店はどんどん閉店しています。
ゲーセンの店舗数はコロナ禍や時代の流れなどもあり、この10年で18,000店舗から10,000店舗まで急速に減少。
10年で8,000店舗、約44.4%が閉店。
ちなみにエクバシリーズは2018年9月時点で905店舗から2023年6月時点で787店舗まで減少。、5年間で約118店舗(13.1%)が閉店している。
日本全国でゲーセンは約10,000店舗が営業中
日本全国でオバブは787店舗で稼働中
つまりオバブ設置率は約7.87%、大半(92.13%)のゲーセンにオバブは置いていない。
そんなわけでオバブが遊べるゲーセンは少なく、現在も減り続けている。先程の日本地図を見てもらえば分かるが、田舎だと片道50km以内にオバブが置いてない地域がザラにある。
地域によっては旅行レベルで遠出をしないとオバブは遊べない。
「ゲーセンに行けよ動画勢w」
現状を踏まえるとこれは気軽に言っていい言葉じゃない。
また勘違いしないで欲しいのだが、都会は都会で気軽にオバブを遊べない。
例えば沿線人口100万人を超える田園都市線の渋谷〜中央林間でオバブが遊べるゲーセンは全27駅中、渋谷・溝の口・高津の3駅しかない。
他にも小田急線の新宿〜相模大野でオバブが遊べるのは全29駅で新宿、向ヶ丘遊園、町田、相模大野の4駅しかない。
都会に住んでいる人もよっこいしょと電車に乗って出かけないとオバブは遊べない。
日本国内だけでもこんな状況なのに、海外なんて言わずもがな。令和の時代にパスポートを持って来日しないと遊べないゲーム。
あまりに時代に合っていない。これで衰退しないわけがない。
ゲーセンは衰退してない
ここまでの話の主語はゲーセンの"ビデオゲーム"です。
現在のゲーセンはプライズが絶好調、電気代、土地代、人件費の高騰などマイナス要因はありつつもコロナ禍を乗り越えて売上大幅回復している。
筆者はゲーセンに楽しい思い出が沢山ありますが、ゲーセンのビデオゲームはもう役目を終えたと思っています。そもそも前述の通りオバブは92%以上のゲーセンに置かれておらず、ゲーセン側から見限られている状況とも言える。
VSシリーズはゲーセンの救世主とまで言われていたが、それもかつての栄光となっている。
筆者は嫁さんの買い物待ちしてる時など子供に「ゲーセン行こうぜ!」とよく連れていくのですが、今のゲーセンは学生・家族連れ・高齢者まで人が沢山います。
ただプライズ以外でみんながやるゲームは大体こういうラインナップなんですよね。
これら体感型ゲームはゲーセンでしか出来ない体験を提供してくれるので今後もゲーセンの売りになっていくでしょう。どのゲームも開始1秒でゲームルールが理解出来るのはデカい。
さあ辛気臭い話はここで終わり。
"これから"の話をしよう。
家庭版・グローバル展開の必然性
ガンダムは最重要IP
エクバシリーズはゲーセンのビデオゲームとしては最後の存在になってしまった。
でも逆を言えばゲーセンのビデオゲームが苦境な時代にも関わらず未だに好調な売上を出せるだけのポテンシャルを持った「唯一無二のゲーム性を持ったプレイヤーに愛されているゲーム」でもあります。
未だに家庭版を心待ちにしているファンの声も多く聞こえる。それだけ可能性を持ったゲームです。そんなゲームをバンナムが衰退したままにしておくわけがない。
特にバンナムの管理するIPの中でもドラゴンボール、ナルト、ワンピースなどは集英社IPですが、ガンダムはオリジナルIPであるため最重要視されるIPです。
※IP: Intellectual Property(知的財産)
バンナムのIP軸戦略
よくこういう意見を聞きます。
「ゲーセンの方が儲かるから家庭版を出さない」
筆者はこの意見に非常に懐疑的です。この意見、本当に何度も聞くのでちょっと丁寧に説明します。
ゲーセン:10万人が年間平均1万円使う => 10億円
家庭用:200万人が年間平均100円使う => 2億円
これは前者の方が売上は高いですが、後者の方が圧倒的に価値が高いです。その理由はガンダムIPはメディアミックス戦略を主体にしているからです。
アニメ、映画、プラモ、フィギュア、ゲーム、グッズ、マンガ、小説…etc。これらは全てガンダムIPとして繋がっています。バンナムはこのメディアミックス戦略を「IP軸戦略」として企業戦略の中核に据えています。
一番分かりやすい事例
ガンダムのアニメを"無料"で見た人が"有料"のプラモデルを購入する
この推し活と表現される「沼」に心当たりある方はかなり多いのではないでしょうか。
正直ガンダムはアニメ単体の売上はあまり気にしていません。
鉄血のオルフェンズ BD1巻:8000枚
水星の魔女 BD1巻:5300枚
こんな円盤単体の売上だけ見て、鉄血が優れてる、水星が劣っているという発想をする人はほぼいないと思います。(そもそもアニメはAmazonPrime, Disney+, NetFlixなどの配信サービスからBtoBで収益を得るスタイルに〜省略)
水星の魔女の円盤は売れなかったが、毎週バズる話題性抜群のアニメとしてガンダムIP全体の売上を大きく引き上げる驚異的な結果を出した。
このようにIP戦略はメディア単体の売上を論じても意味がありません。IP全体の売上が重要です。そしてIP全体の売上を伸ばすにはより多くの人にガンダムを届ける事が必要です。
市場規模と成長性
筆者はバンナム内部の人間ではないので細かい売上の数字は分かりませんし、そんな外部の人間が根拠のない数字遊びをする意味もありませんので、単純な話をします。
日本の787店舗のゲーセンで遊べるゲーム
vs
世界中の家庭用ゲーム機・PCで遊べるゲーム
どちらがより多くの人にガンダムを届ける事が出来ますか?
プレイ人口・ハード普及数などを考えると市場規模の差は明確、このようにIP戦略は特にグローバル展開が重要です。
なのでエクバ単体の売上をゲーセン・家庭版で比較する意味はあまりありません。重要なのはガンダムIP全体の売上・知名度向上にどれだけエクバが貢献出来るかという点です。
ここまでのガンダムという総合IPを理解した上で
「ゲーセンの方が儲かるから家庭版は出ない」
と改めて言えるでしょうか。
バンナムは理解(わか)ってる
安心して下さい。
バンナムは東証プライム市場に上場、しかも日経225組入銘柄という日本の企業の中でも上位中の上位。超一流大企業です。
そんな超一流大企業の優秀な人間達が、こんな一般人が指摘するような事を考えていないわけがない。皮肉じゃなく本当にスゴイ人達だと思ってます。
バンナムの企業理念として先程の「グローバル展開」、「IP軸戦略」がクドいぐらいに出てきます。また昨今の円安などの状況も踏まえると日本国内のゲーセンだけで展開にも限界があるってのは誰でも分かる。
「バンナムは家庭版展開の重要性について分かってる」
それを踏まえた上でオバブを見ていると海外展開・家庭版開発中の兆しが見えてきます。
海外展開・家庭版開発中の根拠
実際オバブの実装を見ていると、海外展開を前提にしているとしか思えない仕様が多々見受けられるので取り上げていきます。
主題歌がオリジナルBGMに変更
エクバシリーズ過去6作品では各アーティストとのタイアップ主題歌を採用していたが、オバブからはバンダイナムコスタジオ藤田裕行氏のオリジナルBGMが採用されている。
海外展開に向けて権利関係をクリアにしておきたい、という思惑があるように思えます。
各種ラベルがグローバリズム化
エクバシリーズ過去6作品で慣れ親しんだ「階級」がオバブで廃止された。
その代わりに実装されたのが以下ラベル達
クラス:Pilot, Valiant, Ace, Over
プレイヤーレベル:1 〜 ∞
急にどうした???
大学生〜社会人1年目で意識高い系に影響されたのか?って心配になるレベルで英語ばっかなんですよね。
ユーザー「どこにいったんだよ階級……」
うんえい「新たなやりこみ要素を追加します!」
ユーザー(っ…階級だ…)
うんえい「全11階層で構成されます」
ユーザー(階級だ…!)
うんえい「1階層内でも5段階のレベルがあります」
ユーザー(階級だ…!!!)
うんえい「ライセンストラッカー!」
階級とほぼ同じ仕様のライセンストラッカーの導入で「階級は復活しないよ?」という明確な意思を示しました。
エクバシリーズとして長年慣れ親しんだ…何よりもガンダムの世界観として外すことの出来ない表現である「階級」
こんな大事な階級を捨てるほどの理由、これも海外展開を前提としたグローバリズムなのかなと推測します。
チュートリアルの実装
稼働後のアップデートにてチュートリアルが追加された。稼働14年目の出来事である。
「いまさらなによ!!」
としか言えないのだが、これも海外展開を見据えた開発の結果をアーケードにお裾分けされたと考えると納得出来る。
解禁機体が少ない
そろそろ稼働1周年のオバブですが解禁機体が過去作に比べて異様に少ない。シリーズ移行時の新規参戦機体数、稼働11ヶ月時点の解禁機体数を比べてみる。
衰退した結果の予算削減とか色々言われてたけど、家庭版の開発にリソースを割いていると推察してます。
以前どっかの生放送で「アーケードも家庭版も開発ラインは1本でやってる」って答えていました。つまり家庭版を開発してる時はアーケード側が滞る。
過去事例として同様に新規機体が少なかったマキオンもスケジュール的に稼働前にエクバフォース・稼働中にガンダムバーサスの開発が差し込まれていました。
クロブも同様に新規機体が少ないですが、クロブはコロナ禍の真っ最中でリモートワークで苦労したというインタビューがあります。
システムの簡略化
割と不満が出たオバブのシステム調整
ピョン格接地判定の一律削除
振り向きアメキャンの一律削除
「今更何故こんな修正を?」と思ったが、ピョン格接地ムーブは難しい上に見栄えが悪い。アシストの振り向き対応/未対応は仕様として統一感がない。
そう……かつて世界展開を目標に掲げ、降りテクをブーストダイブに、アシストをストライカーに一律調整したガンダムバーサスのように大鉈を振るったのではないか。
もしかしているのか……?やすだ……?
タイトルロゴ
タイトルロゴの下半分、青い海と白い雲で地球(世界)をイメージしているように見えてくる。(こじつけ1)
タイトル回収要素
前作クロスブーストはクロスバーストというタイトル回収要素があったけど、オーバーブーストの「オーバー要素」については現状なにもなくタイトル回収していない。(Over帯の追加は後出しだし流石に弱い)
かつてマキシブーストONのONがそのままオンライン対応を意味していたように、Overの「〜を越えて」という意味通り、日本を越えて世界へという決意を込めているのではないか。(こじつけ2)
海外展開を踏まえた家庭版を開発中
こじつけもありましたが、上記のようにオバブは企画段階から海外展開を前提とした開発をしていそうです。個人的にかなり確信を持っています。
しかしまだ家庭版の影も形も見えないのは何故か?
それは前述の通りゲーセンのビデオゲームという文化が衰退している昨今、このタイミングでエクバシリーズの家庭版を出すという事はいよいよゲーセンとの決別を意味します。
以前のようにアーケードと家庭版を交互に出せるような状況ではありません。いまエクバ2基板ベースの家庭版を出したら、ゲーセンで稼働中のオバブは壊滅的な状況になります。
ゲーセンから家庭版への移行は片道キップです。
なので次の家庭版(海外展開)はシリーズ存続を掛けた背水の陣のチャレンジになるという事。
そのためバンナムはただのアーケード移植ではないやれる事は全部やるぐらいの大改修を加えた令和の対戦ゲームへと作り直していると思います。
令和の対戦ゲーム
話題のエクバライクゲーム 星之翼
令和の対戦ゲームを語る上で非常に重要になるので、先にこのゲームに触れておきます。
突如現れたエクバライクゲーム「星之翼」
※パクリが良い悪いとかそういうのは議論しません
まだ日本語サポートされてないけど日本のGoogleトレンドで一時的にオバブを超える話題性(表記ゆれあるので赤と黄のグラフを足して下さい)
やっぱり潜在的なエクバユーザーって結構いるんだなと実感。
ゲーム起動時に「VSシリーズをプレイした事がありますか?」と聞いてくるぐらい気持ちがいいぐらいエクバをパク…フォローしているゲーム
個人的にライクゲームが出るのはゲーム業界、特にエクバ界隈にとってはいい傾向だと思う。実際エクバ運営が参考にすべき要素がとても多くあります。
原神、崩壊スタレ、NIKKE、アズレンなどここ数年PCゲーム、スマホゲームは韓国・中国の方が圧倒的に強いのでその洗練されたノウハウは尚更参考になる。
ただ対戦ゲームとしてのクオリティはエクバシリーズの方が圧倒的に高い。10年以上の研鑽による完成度は1歩も2歩も先を行っている。
だからこそ星之翼の評判についてはバンナムも注目していると思う。期せずして家庭版テストパイロット的なゲームが出て市場の反応見てくれているんだから気にしないわけがない。
仮に星之翼が流行るような事があれば、バンナムも自信を持って家庭版展開に踏み切れるでしょう。だってよりクオリティの高い商品を持ってる立場なんですから。
なので星之翼については色んな意味で応援してます。
ちなみに日本語対応してないのに日本国内のSteam売上で16位(最高9位)を記録してる日本語化&日本サーバ設置したら一気に流行る可能性はありますね。
このようにライクゲームが話題になる事は競争が新しいアイデアや改善を生み、ジャンル全体の人気を高めてくれたりとメリットの方が大きいです。
逆に今までライバル的なゲームがいなかったからエクバシリーズは時代に取り残されてしまったとも思います。
令和の対戦ゲームとは何か
では話を戻して令和の対戦ゲームについて書いていきます。
とりあえずこれまでのようにアーケードからの移植作品をそのまま家庭版として出すだけでは"世界"に受け入れられる事はありません。
これはガンダムバーサス、マキオンと直近の家庭版2作が世界規模であまり奮わなかった事からも明らかです。
結論から言います。エクバシリーズに不足している令和の対戦ゲームに必要なもの
新規プレイヤーが理解できる
新規プレイヤーが成長できる
新規プレイヤーが楽しめる
つまり令和の対戦ゲームとは新規プレイヤーにやさしい対戦ゲームです。
そしてここでいう新規プレイヤーには初めてエクバシリーズに触れるであろう海外プレイヤーも当然含まれます。
他ゲームや星之翼などを参考にしつつ具体的に見ていきましょう。
初心者向け簡易操作(モダン)
シンプルな入力にも関わらず複雑な操作を可能とする近代格闘ゲームの標準システム。様々な格闘ゲームに導入されていてストリートファイター6の「モダン」という完成形を見ました。ゲームによって色々と名称はありますがここではモダンで話を進めます。
VSシリーズは20年以上レバー1本+ボタン4つという対戦ゲーム。
VSシリーズは格闘ゲームに比べてコマンドがないため操作は簡単と言われ続けてきました。
しかし現在7作品、14年もの年月を重ねた結果、各種レバー入れ武装、チャージ武装、武装キャンセルなど操作が複雑化、またハイスピード2on2対戦アクションゲームという名の通り、並行処理する情報量が非常に多く自分の操作に集中できないという特徴もあります。
VSシリーズ20年近くやってる筆者も声を大にして言いたい。
「エクバの操作、難しいよ」
未経験者を何人もエクバシリーズに勧誘してきた経験上、初心者がよく詰まる操作ポイント
ビームライフル3連射
シールドガード
射撃 or 格闘チャージしながらの移動
ステップ(咄嗟に出せない)
経験者の想像する100歩手前で詰まってます。これらを簡略化してあげると操作のハードルは下がりそう。
あと立ち回り関連でいうと覚醒の使い方は経験者でも度々議論になるぐらい難しい。そんな覚醒を初心者がうまく使えるわけもないので、いっそ自動化してもいいと思っている。
初心者だった当時のエウティタでは自動発動で腐る事のない復活覚醒を使っていました。
特にエクバシリーズは類似システムのゲームがなく今まで遊んできた他ゲームの経験を全く活かせないという課題があるため、新規プレイヤーをとっとと土俵に乗せてあげるモダンは必須です。
充実したソロモード
ストリートファイター6の開発ディレクター中山貴之氏も「対戦はエンドコンテンツ」という考えを示しました。
ストリートファイター6「ワールドツアー」
鉄拳8「ストーリーモード」
スマブラSP「アドベンチャーモード」
上記のような非対戦ソロモードは対戦は苦手という人達にゲームを遊んでみてもらうためのモードです。
これに関して言えばVSシリーズはむしろ得意分野だと思っています。
連ジDX:ミッションモード
エウティタ:ミッションモード
ガンダムvs.Ζガンダム:宇宙世紀モード
連ザポータブル:ミッションモード
連ザ2PLUS:P.L.U.Sモード
NEXT PLUS:NEXT PLUSモード
原作再現ステージ、原作ifステージ、機体開発、機体強化などソロモードを充実出来るのはガンダムの強み。連ザ2のP.L.U.Sモードとか今やってもめちゃくちゃおもしろいです。連ザ3作ってくれ頼む。
勿論エクバシリーズにもミッションモードなどのソロモードはある。
だが最近のソロモードは単調でつまらない。直近のマキオン家庭版のマキシブーストミッションはステージ数は200以上と多かったが、ただ敵を倒すだけの作業ゲーになっていた。
これはNEXTまでのミッションモードは原作ストーリーモードを意識していたが、エクバシリーズのソロモードにはそういったコンセプトがない事が原因だと思う。
これはオールスター物になった反動なのか…でもオリジナルストーリーモードもバンナムの得意分野なはずなのでもう少し楽しめる工夫をして欲しい。
必要な情報の見える化
ゲームの情報はゲーム内で完結すべき。
1.ゲーム内で"自然に"情報が表示される
↓
2.ゲームをやれば"自然に"知識が増える
↓
3.ゲームが"自然に"上達する
この"自然に"の道筋を構築すべき。
現在のエクバシリーズはマスクデータが多すぎて令和にゲーセンで100円と時間使って検証をしています。(検証勢の皆様いつも本当にありがとうございます)
オバブでも当然のように対戦システムの根幹に関わる箇所にマスク仕様を追加してきた。
緑ロックだとダメージが低下する
地上ステップは性能が低下する
タイムアップが近付くと覚醒ゲージ増加量がアップする
これはゲームをずっと追い続けているコアなプレイヤーは知っていて当然の知識だが、新規プレイヤーはこういう情報を知らないまま対戦に放り込まれてしまうし、対戦していても一生気付かない仕様もある。
是非皆さんの目で確かめてみて下さい!(100円入れて)
これはもういい加減見直した方がいい。
システムチュートリアル
前述の通りエクバシリーズは情報を隠しているので、ゲームが上手くなりたい人はwiki、Youtuberの動画、上手い人にコーチングを依頼等、ゲーム外に自分で情報を取りに行く必要がある。
これはこれで楽しいんだけどそこまで熱量ある人は稀。
ゲーセンで初心者に掛ける言葉
「家庭版マキオン用意してwiki読みながら基礎練しろ」
この一見乱暴なアドバイスが一番的を射た優しいアドバイスってのがエクバ界隈の狂ってるところだと思う。
マキオン家庭版はメインメニューのどこにもチュートリアルがなく、チュートリアルはマキシブーストミッションの中に組み込まれている。
なんとチュートリアルすら隠されている。
しかもアーケード版の説明資料が10ページ以上いきなりただ表示されるだけ。あまりの不親切設計に震えるしかない。
ロックオン距離の説明を例として星之翼と比較してみる。
◆ロックオン距離の説明(マキオン家庭版)
スライド11枚中の最後の1枚で説明。
こんなに後ろにあったからマキオンから始めた初心者が「敵の攻撃は当たるのにこっちの攻撃は当たらない」ってボヤいてたのかと今更ながらに思った。
◆ロックオン距離と"誘導"の説明(星之翼)
ユーザーが操作しながら対話形式で説明が進む
緑ロック:攻撃が誘導しない
赤ロック:攻撃が誘導する
格闘射程ロック:格闘のチャンス
黄色ロック:強制ダウン中は攻撃が通らない
どっちが分かりやすいかは言わずもがな。
ちなみに最新作オバブでは前述の通りチュートリアルがアプデで追加されている。ちゃんと対話形式かつスロー送りで詳細に説明してくれたりと星之翼以上に親切なチュートリアルに仕上がっています。
ただオバブのチュートリアルモードもやはり隠されている。チュートリアルを隠したいという鉄の意志を感じる。
肝心のチュートリアルの内容は以下6項目。
一応全項目やってみたが、射撃ズンダ、メインサブキャンセルなど割と細かいところまで言及している。何故か格闘をステップではなくブーストダッシュキャンセルさせたりとツッコミどころもある。(NEXTか?)
しかし当然これだけでは足りない。せめて「虹ステ」、「降りテク」、「慣性ジャンプ」、「フワステ」などの基礎テクニックもチュートリアルでフォローしてほしい。
ただ全てのテクニックをチュートリアル化するとおそらく大変な項目数になってしまい、それはそれでクドくなって見ない人が大半になってしまう。
ブーストゲージ残量に応じて着地硬直が大きくなる
全覚醒抜けすると発動時にゲージが3割減ってしまう
大半の武装はキャンセルするとダメージが低下する
などの知識系はロード中のTIPSで補完するなど上手い事やってほしい。
機体別チュートリアル
言わずもながだが公式のコマンド表は情報が不足しすぎている。
本当はこれだけコマンドパターンがあるが、ゲーム内で知ることが出来ない。
全コマンドの出し方、ダメージ、リロード時間などは載せてほしい。またテキストだけでなく実際の動きを確認出来るインラインデモ動画は最近のゲームでは標準搭載。
またエクバシリーズ特有の武装キャンセルルートだが、星之翼では全て網羅されている。
また対戦中はキャンセル可能な武装があると点滅するので視覚的・直感的にとても分かりやすい。
ちなみにキャンセルルートは以下のような相関図でも表現出来るが、これはオススメしない。
これを見た初心者は「うわっ」って思ってしまう。
その原因は情報量が多すぎる事。情報は網羅すればいいわけではなく、情報量が多すぎると逆に伝わらない事が往々にしてある。
カプコンのデザイナーはこの問題をどう解決したのかというと、多すぎる情報をあえて抽象化してオススメコンボとして紹介している。
通常攻撃は△連打
練気ゲージ貯まったらR2連打
攻撃しながら回避出来る便利な斬り下がり
このぐらいなら初心者でも理解出来る。カプコンはこういう情報の適正化が上手い。
星之翼も同様の対応をしている。キャラ別チュートリアルでは2〜3個の代表的なムーブにのみ情報を絞っている。
格闘ヒット中はどこからでもサブ射撃にキャンセル可能
メイン・サブ射撃の相互キャンセルで連続射撃
時限強化中のサブ格闘は格闘迎撃に有効
的な事が書いている。
そしてこのキャラ別チュートリアルはそれぞれ個別に試す事が出来る。
お手本デモ動画が流れる
テキストによる操作方法の補足
プレイヤーが実践
上手く出来たら VICTORY
山本五十六氏の「教育における4段階法」がちゃんと盛り込まれている。
こういう学びたい意思がある初心者への教育導線も必須。
UI/UX改善
◆機体状態の表示
エクバ経験者は「ステップで誘導を切る」、「着地硬直を狙う」、「強制ダウンを取る」とか当たり前のように話すけど、ゲーム内でそれを教えてくれる事はない。
星之翼は「誘導切り」、「着地硬直」、「強制ダウン」を対戦中にテキスト表示してる。
テキスト表示はちょっとダサいが、伝わらないより伝わる方が大事。ちなみに中華版エクバでは機体の状態は全てエフェクトで表現している。
「なんか特別な状態なんだな」というのが見れば分かるようにしてほしい。
特に誘導切りについてはその機体を長年使っているプレイヤーでも知らなかったという事例が多数あるぐらい気付きにくい。
また星之翼の時限強化の残り時間が画面中央に表示されるのは分かりやすいなと思った。
◆コンボ数・コンボダメージ・敵耐久値などの表記
賛否あるだろうが対戦中でも表示すべきだと思う。
当てやすいけど弱い射撃、長いだけで減らないコンボなどをユーザーが自分で学べるようになる。残り150はビーム3連射で落とせるけど残り180はビーム3連射じゃ落ちない、みたいなのも対戦を通じて数字で学べる。
また高火力コンボを決めて
「なんか半分ぐらい減った!!」
「350減った!!」
これは後者の方がプレイヤー体験としても経験としても有用。何より動画映えもする。
モンハンも昔のダメ非表示時代にはもう戻れないよ
◆トレーニングモードでは詳細データ表示
星之翼で表示されるのは以下(エクバ用語に直してます)
コンボ最大ダメージ
敵との距離
現在の累積ダウン値
現在の累積ダメージ補正値
ちなみにエクバユーザーはゲーセンで100円を入れてトレーニングモードを録画、録画データを家に持ち帰りコマ送り再生しながら、Excelに数字を打ち込んで各武装別の値を検証、データの取り忘れがあれば再度ゲーセンに出掛けている。
狂気でしかない。
トレーニングモードを遊べば分かるようにして欲しい。
ボイスのローカライズ
言語の壁ってめちゃくちゃデカいよね。自国語対応していないゲームはそれだけで敬遠してしまう。星之翼がそれでも遊ばれているのは「ボイスは日本語対応」してるからだと思う。
メニュー画面とか落ち着いて見ることが出来る画面はGoogleレンズとか翻訳機能使って翻訳が可能。
しかし対戦中は翻訳ツール使ってる暇なんてない。でも星之翼は対戦中の画面内に中国語がほぼなくボイスも日本語なので何の問題もなく遊べる。
家庭版マキオンがこのローカライズをどう対応したかと言うとボイスには字幕を付けた。
結果、字幕は対戦ゲームとの相性が最悪という事がわかった。
対戦ゲームで対戦中に吹き替え字幕を読む=無理ゲー
対戦ゲームのような操作や画面の動きが激しいゲームではボイスのローカライズは必須。ただエクバシリーズのセリフ数は半端じゃない。
妥協点として全ボイスパターンをローカライズするんじゃなくて
Go down!(落ちろ!)
Sink!(沈め!)
Shoot!(撃つ!)
長く難しいセリフは汎用的なセリフに差し替えてでもローカライズした方がいい。特に英語圏の人は英語が国際共通語であるという強い認識を持っているので歩み寄る必要がある。
全ては新規プレイヤーのために
正直エクバシリーズの新作家庭版をここまで温存したのは結果的に正解でした。その理由は先ほど挙げたストリートファイター6、鉄拳8、星之翼など先人が新規プレイヤーのためのコンテンツの"答え"を示してくれたからです。
以前エクバ開発陣が新規プレイヤーのためのコンテンツを考えた結果、大きく外してしまった事がありました。
いまは成功事例・参考事例がある状態なので大きく外す事はないでしょう。
全世界の新規プレイヤーのためのコンテンツ、ここまで挙げたもの以外にもまだまだあると思いますが、それらを携えて世界展開に挑む日を心待ちにしております。
販売方式
販売方式については正直バンナム任せでいいと思っているんですが、最近のトレンド、過去の失敗、バンナムの戦略などを見てるともう答えは出ています。
基本無料ゲーム
結論から言っておくとエクバシリーズが海外展開する際に一番勝ち筋があるのが基本無料ゲームです。
対戦ゲームで一番重要な要素ってなんだと思います?
ゲーム自体の面白さ
アップデートの頻度
オンライン対戦の快適さ
これらも勿論大事です。でも何よりも重要なのは
プレイ人口です。
ここまでの話の大半はプレイ人口に繋がっていました。
◆エクバシリーズが衰退した理由
ゲーセンだけでは新規が増えない
◆バンナムの企業戦略
IP戦略をベースにグローバル展開し新規を増やす
◆令和の対戦ゲーム
新規にやさしい対戦ゲーム
なので販売方式も新規が最大限に増える基本無料ゲームを採用、という流れになります。
ウメハラも「対戦ゲームは人が多い、その時点で神」と言ってます。
CMなどプロモーションを見て興味が出た人
友人に誘われた人
Youtuber, Vtuberの配信を見た人
こういう人達がノータイムで気軽に始める事が出来る。
対戦ゲームはプレイ人口が多いと様々なメリットがあります。
マッチングの速度と公平性(質)が維持出来る
SNSを中心とした活発なコミュニティが自然と形成
収益の安定に伴う継続的な開発資金(アプデ)の確保
分かりやすい例として現在のオバブを筆頭にアーケード版エクバシリーズのマッチングが一生クソなのはプレイ人口が少ないからです。プレイ人口が多ければトップ層への供物となる格差マッチングや平日朝活マッチングしない問題などはほぼ解決します。
運営型のメリット
基本無料プレイゲームはいわゆる運営型になりますが、運営型にするとユーザー、運営双方にとって大きいメリットがあります。全部書きだすとキリがないので特に大きなメリットだけ紹介します。
◆ユーザーへのメリット
まずユーザーにとっての最大のメリットは「定期的なアップデート」です。
個人的にエクバユーザーが一番ゲームに求めている部分だと思います。
14年間もの間、月一アプデ(コロナ後は6週間隔)という「環境の味変」に慣れ親しんだエクバユーザーはアプデ中毒になっています。
この欲求を満たすには運営型しか選択肢はありません。
マキオン家庭版もリリース当初は盛り上がりましたが、リリース後はプレイヤーは減るばかりでした。やはりアプデがないゲームは離れた人を戻す手段がないため、対戦ゲームの最重要要素であるプレイ人口を維持出来ません。
今の時代、新しい娯楽どんどん出てくるからね。
◆運営へのメリット
IP戦略のメディアシナジーを活かせる最も代表的な「コラボ」をやりやすいのが運営型。
アニメを見た人がゲームへ、ゲームをプレイした人がアニメへ、というメディアミックス戦略ですが、重要なのはガンダムは常に新作が供給されるコンテンツという事です。
運営型は開発体制が維持されるので、話題の作品の機体を比較的早く追加コンテンツとして提供出来るので商機を逃しにくいです。
特に今は家庭用・PC用の運営型ガンダムゲームってバトオペ2ですが、バトオペ2は宇宙世紀の機体しか出せません。
現在、話題になってる水星の魔女・SEED FREEDOMの機体などオールスター作品の販売チャネルが必要です。
またマンガ原作のヴァルプルギス(オーヴェロン)はエクバシリーズ、バトオペ2へのゲームコラボで一気に知名度を上げたりとほぼ無名の作品へのプロモーションとしての効果もあります。
またエクバシリーズ14年間の運営ノウハウがあるってのは地味に大きいポイントですね。
重課金はない
対戦ゲームで基本無料ゲームというとキャラガチャ、キャラ限界突破(凸)など重課金のイメージを持つ人もいると思いますが、そういった重課金要素を入れる事はないと言えます。(逆に入れたらオワリだよ)
例えば星之翼はキャラガチャ、キャラ限界突破(凸)があるゲームです。
星之翼がゲーム内課金要素を強くしている理由、それは星之翼はゲーム内でしか収益を得る事が出来ないからです。星之翼は新規IPなのでグッズ、アニメ、フィギュアなどのメディアシナジーがありません。
しかしガンダムは前述の通りIP戦略を主体としており、ゲーム以外の収益を得る手段が豊富、というかむしろゲーム以外がメインです。
この両者は明確にビジネスモデルが異なります。
勿論ゲームそのもので収益も得たいので機体開放チケットなど課金要素は用意するでしょうが、エクバシリーズは原作版権BGM、機体スキン、ゲージデザイン、キャラ衣装などファン要素が豊富なので対戦に直結しない課金要素が数多く考えられます。
これはガンダムのオンライン対戦ゲームはどれも同じやり方です。
パッケージ販売(買い切り型)はベストではない
エクバシリーズの家庭版は今までパッケージ販売、いわゆる買い切り型ですがこれはベストではありません。先程挙げた運営型のメリットが得られないというのも勿論ですが、明確なデメリットが存在します。
◆キャラ(機体)多すぎ問題
マキオン家庭版がフルプライスでプレイアブル機体185機が参戦。ちなみに最新作オバブではプレイアブル機体は230機に増えている。
エクバシリーズ14年間の蓄積は伊達じゃない、のだが
まず新規プレイヤーは間違いなく機体選択画面で迷う。
打ちのめされるレベルで迷う。
隣に超親切なメンターを置いて好みの戦闘スタイルなど一つづつヒアリングして「君に合った機体はこれだよ」って言って欲しい。
また対戦ゲームなので当然だが、この230機が対戦相手として多かれ少なかれ出てくる。つまり230機のキャラ対策・230機のワカラン殺しを覚える必要がある。
▼参考:初期キャラクター数
ストリートファイター6:18人
鉄拳8: 32人
星之翼: 20人
エクバ無印:42機
エクバシリーズも14年前のスタート時点は42機しかいなかった。現在の230機という機体数はエクバシリーズを14年間共に歩いてきたコアなファンに取っては嬉しいのだが、対戦ゲームとして見ると新規プレイヤーにとっては高いハードルになっている。
サービス開始時の新規プレイヤーが多い時期は基本システムの習熟期間でもありキャラの理解まで辿り着かない人が多いため、サービス開始時のキャラ数は多すぎない方が新規プレイヤーにとっては望ましい。
過ぎたるは及ばざるが如し。
◆DLCへの抵抗感
機体数が多すぎならパッケージ版でも初期機体数を絞り、残りの機体を有料ダウンロードコンテンツ(DLC)として個別に売るパターンもある。
ただパッケージ販売+DLCは課金ゲー、特に対戦ゲームには「Pay-to-Win」というイメージの悪い言葉もあるぐらい叩かれやすい。
基本無料ゲームは"基本"無料と銘打っているので、当然有料コンテンツありきで手に取る人が多い。しかしパッケージ販売の課金要素については身構えてない分、忌避感が強く出てしまう。
フルブ家庭版が初期機体96機・DLC機体35機という比率だったがそれでも課金ゲーと言われていた。実際フルコーン、ノルン、ギス2、サンドロック、リガなど後期DLC機体が在来種を駆逐していったので間違ってはいない。
仮に初期80機・DLC機体150機の合計230機とした場合、1機600円だと全部揃えるのに9万円になる。実際はそんなに買う人はいないし買う必要はないのだがこういうのは悪いイメージが先行しやすい。
万人が納得する道はない
もちろん機体数が減れば既存ユーザーが少なからず離れます。
色んな立場・経験を持った人達がいるのは理解しつつも、エクバシリーズが対戦ゲームとしての発展を望むなら新規プレイヤーを優先すべきという考え方なだけです。
ただ新規プレイヤーだけでなく、ゲーセンに気軽に行けない人やマキオン家庭版を未だに遊んでいるような人達は機体数が減っても付いてきてくれます。他に選択肢ないですから。
キャラゲーとしての路線も非常に好きですけど、個人的にキャラゲーなら非対戦ゲーム、水星の魔女ならADV形式のマルチエンディング方式とかでしっかりと作り込んだ一人用ゲームを遊びたい。
あとはそもそもガンダム作品のモビルスーツは2,000種類を余裕で超えるので、それら全部をカバーするのはアーケード版でも無理です。
失敗例も成功例も過去の話
これ書いてる時に無限に頭をよぎったタイトルがあります。
1年ちょいでサービス終了した基本無料オンライン対戦ゲーム
ただガンダムエボリューションは基本無料だから失敗したのではありません。ゲーム自体の問題点やライバルゲーム(OVERWATCH2)の存在など沢山の失敗の要因がありました。
実際、初動同接55,000人は思惑通りに成功してます。
初動で人を集めるのに成功はしたが、人が居着かなかったのはゲーム体験の問題です。逆にガンエボはパッケージ版で販売していたらもっと失敗していたと思います。
実際パッケージ版でも失敗例は沢山あります。
基本無料・パッケージ版どちらも日々大量のゲームが提供され、成功例・失敗例もそれぞれ星の数ほどあります。その中の一部ゲームの失敗例だけを槍玉に基本無料は〜というクソデカ主語でラッピングするのは意味がないです。
他にもアーケードから家庭版に移行して、
成功した:ストリートファイター・鉄拳
失敗した:DDFF・ボダブレ
など明暗が分かれた事例は数多くあります。
生き残ったタイトルが出来る事は失敗例を教訓として同じ轍を繰り返さないように成功の道を模索するしかありません。
逆にガンエボが失敗したからこそ、ガンダムを海外に売り込むゲームとしてオバブに白羽の矢を立っていても何ら不思議ではありません。
ただ基本無料ゲームはサービス終了というお別れの可能性があるので、その点に不安要素を抱く人がいるのは仕方のない事だと思います。
マルチプラットフォーム展開
当たり前過ぎて細かく書かないけどマルチプラットフォーム前提。
最近のガンダムゲームは幅広くマルチプラットフォーム対応しているのでこれは心配してない。
エクバシリーズっていうかモンハンや麻雀もだけど身内4人集まって遊ぶ以上のゲーム体験はないので、テクスチャ調整・FPS低下・ステージ外描画なしとかなんとか工夫してSwitch対応して欲しい。
補足1:月額課金(運営型)が難しい理由
最近はサブスクリプション契約って言った方が分かりやすい。
月額課金は絶対無理
まず月額課金で成功している対戦ゲームがない。というか成功例以前に採用例が思いつかない。
そもそもこのサブスク時代にゲームで月額課金というシステムを導入出来るのは
プラットフォーム戦略の舵取りを行っている大企業が提供するサービス(EA Play、PlaystationPlus, Xbox Game Passなど)
MMORPG(FF14、WoW、ESOなど)
こういった大型サービスしか月額サービスは提供出来ません。どれも共通しているのは遊びきれないコンテンツを継続的に提供しているという事。
エクバに限らずですが単一タイトルで月額課金というのは非現実的です。
またランニングコストというのは金額以上に心理的ハードルが高いものです。
マキオン家庭版ではPS+課金(月額600円〜850円)
星之翼では快適に遊ぶにはVPN課金(月額990円〜1280円)
実際現状はこれらの月額課金が必須ですが「じゃあやらない」と脱落する人はめちゃくちゃ目にしてきてます。
月額課金は家計見直しで真っ先に棚卸しされがち。
補足2:従量課金制(運営型)が難しい理由
アーケードと同様に1プレイ100円とか都度課金するスタイル
論外
一応コナステのボンバーガールPC版が1プレイ100円(+ガチャチケット)で運営していたらしいが1年経たずに無料化している。
これをやるなら1プレイごとにゲーム開始から終了までを"正確"に追跡し請求するシステムの構築が必要。
大前提として技術的・体制的に課金関連システムって自前で作りたくもないし管理したくもないもの。だからゲームに限らずどの会社も決済サービスはApple、Google、PayPal、Stripeとか手数料払ってでも外部サービスを組み込んで利用してます。(プラットフォーム側が強い理由ですね)
仮にシステムを構築出来たとしても検討段階でグレーゾーンな事例が多すぎる。
回線抜きどう課金・返金対応するか?
バンナム
回線事業主(NTTとか)
回線抜かれた人
回線抜いた人(意図した or 意図せず)
これら「全員の言い分」の落とし所がつけれない。理不尽に100円が奪われるような事があってはならない。
回線抜き以外にも通信ラグ、捨てゲー、利敵行為とかまで考慮しだすとキリがない。
要は従量課金制はゲーセンというネットワークやサービスの品質が担保された環境だからこそ実現出来ているわけです。ボタン押したら駆けつけてクレサしてくれる店員は自宅にはいません。
そもそもゲーセンから脱却しようとしているのに、その脱却しようとしている課金システムを踏襲するのは本末転倒すぎる。
リリース時期の予想
最後にリリース時期の予想をしてみよう。
決算資料から予想
2024年5月に発表された本決算資料の来期予想では、家庭版の発売を読み取れるものがない。ちなみにIP軸戦略とグローバル展開は全セグメントでここ数年ずっと言ってる事なので気にしなくていい。
2024年度のアミューズメント事業部で予想業績が減ってないので2024年度はリリースしないと予想。
オバブ稼働日から予想
オバブ稼働が2023年6月28日。稼働から2年も経てば大半のゲーセンは経費回収済みなのでゲーセンへの義理を果たした状態と言えるのではないか。まあ戦場の絆Ⅱという粗大ゴミを売りつけておいて義理もクソもないのだが……
リリース時期はオバブ稼働日から2年が経過した2025年6月28日以降と予想。
バンナムの組織再編から予想
2022年7月の公式生放送時、司会から「今回のお知らせって家庭用ですか?」と聞かれた大久保Pのこの発言
まぁ会社が違いますね。そもそも
ではバンダイナムコホールディングスの組織体制を見てみましょう。
家庭用:バンダイナムコエンターテインメント
アーケード:バンダイナムコアミューズメント
「会社が違いますね」
バンダイナムコアミューズメントの稼ぎ頭であるエクバシリーズをバンダイナムコエンターテインメントという違う会社に渡すわけがないという理屈。
ただバンナムの組織再編の時期が近付いてきています。
2022年度〜2024年度の中期計画は2025年3月で節目を迎え、2025年4月以降は新しい組織・事業体制になっています。
その時に仮にですがガンダム事業部などのアーケードと家庭用の縦割りがない組織が出来ていれば
「組織が一緒になったので家庭版出します」
と大手を振って言える状況になっているかもしれません。
周年から予想
エクバシリーズは2025年で15周年を迎えます。
ちなみにマキオン家庭版は2020年に10周年記念タイトルとして発売されました。
これが何気に一番可能性高そうですね。
サービス開始時期の予想まとめ
決算資料:2025年4月〜
オバブ稼働日:2025年6月〜
バンナム組織再編:2025年4月〜
エクバシリーズ15周年:2025年1月〜
サービス開始は2025年7月以降と予想します!!
おわりに
ここまで読んでくれてありがとうございました。
この記事はエクバシリーズの可能性を多くの人に知ってもらいたい、その思いで書きました。
読んで頂いたユーザーの皆さん、もしかしたら見てくれているバンナム関係者の皆さんが「エクバシリーズってガンダムIPを世界に広げる可能性を秘めている優秀な対戦ゲームなんじゃない?」と思って頂けたら幸いです。
毎度我ながら主張が強い夢見がちな表現が多いと反省しつつも、筆者はこのエクバシリーズ並びにVSシリーズが死ぬほど好きです。
筆者は高校生までガンダムを見てませんでした。むしろ当時はガンダムをバカにしていた節もあります。しかしゲーセンで連ザに出会い、そこからガンダムというコンテンツに触れ、ガンダムシリーズ全作品見るぐらいにガンダムというIPそのものを好きになりました。
そんな大好きなエクバシリーズが
「このゲームはもう衰退していくだけ」
とか言われてたら、流石に反論の一つもしたくなります。
エクバ=人生というレベルでこのエクバシリーズを遊んできた身としてはこのまま衰退して終わるなんて信じられません。
確かにいまのエクバシリーズは衰退しているかもしれませんが、それはエクバシリーズの問題というよりゲーセンのビデオゲームという環境面の問題が大きいです。
これだけ逆境な環境でも人気のあるエクバシリーズ
世界中の新規プレイヤーに配慮したシステムを組み込み、本格的にユーザーに継続的に楽しんでもらう運営型ゲームとして提供すれば「新ジャンルの対戦ゲーム」として世界中にエクバシリーズ、並びにガンダムが受け入れられるのではないかと信じています。
私はその未来を見たいのです。
◆2024.5.30追記
海外プレイヤーの方が海外でマキオンが根付かなかった補足記事を日本語で書いてくれました!やっぱり移植作品をポンと発売するだけだと海外展開は厳しそう。バンナム様よろしくお願い致します。
◆2024.5.31追記
海外プレイヤーにDMでもらった内容
海外でエクバは対戦ゲームではなくキャラゲーというカテゴライズ
みんなバンナムのキャラゲーの品質には疑いを持っている(呪術廻戦など)
ゲーセンで20年以上やってて日本ではストリートファイターより人気があった時期もあるんですが、、この辺の啓蒙というかブランド付けも課題ですね。
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