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資産を半減させた戸建て売却の話

タイトルの時点で出オチですが、2006年に3,600万円で買った戸建てを2022年に1,930万円で売却しました。正確には半減まではしていませんが、買うときには本体価格の他に諸費用発生し、売る時にも仲介手数料他発生しているのでまあ半減と言っても問題はないでしょう。
買って数年住んで売ったら値上がりしていて実質タダで住んだどころか数千万の儲けだし3千万円特別控除で税金も持っていかれなかったとかいう都心マンションとは全く別の世界線に存在する、地方の戸建て売却物語。最寄り駅まで仮に徒歩で歩こうものなら30分以上かかるしその駅から大都市までは電車に1時間以上乗ることになるようなど田舎の戸建て売却物語。
これはそんな切ない記録です…

①買って、そして売ったのはどんな戸建てだったのか

はっきり言って、めちゃくちゃカッコイイ物件でした。
当時、その田舎での新築価格は2千万台が主流でした。
ただその土地にある複数の工場の景気が良く、それらの本社がある大都市圏基準の(その地方にしては高い)収入層が増え、そういった人たちをターゲットに財閥系と有名ハウスメーカーがタッグを組んで新たに数百戸規模で醸成した住宅街。周辺の一般的な物件とは一線を画す価格設定だったのですが、私はそこの建売を買いました。その新規醸成エリアは計画的にキレイに造られた街並みだったのですが、その中でも特色のあるヨーロッパ風の建物が立ち並ぶ一角。自分の家が洋風でも周りに金太郎飴みたいな家が並んでいると浮くだけですが、1軒1軒趣の違うオシャレな家が建ち並んでいる一角。その非日常感に惹かれ、入社1年目であるにも関わらず、そのため2%台と優遇のないお高い金利設定でしか借りられない属性だったにも関わらず買ってしまいました(その後数年経ってから借り換えましたが)

1軒1軒デザインの違うヨーロピアン風の街並み。各邸から明かりが漏れる夜の眺めは最高でした
広い公園の隣にある一角全てヨーロッパ風。西欧風もあれば、南欧風のエリアもあった。

どうです?こんなの買っちゃうでしょう!?
最近某VTuberとのコラボで志摩スペイン村が過去最高の人出だったそうですが、わざわざ出かけなくてもそんな街並みに住めちゃうんです!リビングから見える向かえの家たちが恰好いいんです!夜、窓の外を眺めながら飲むお酒が三割増しで美味しくなっちゃうんです!!
先の冒頭部分のスクショをツイートした際「納得して買った戸建てに16年住む=プライスレス、で良くね?」「16年住んで1600万円ちょっとの差額(下落)なら年100万円なので、住んでて幸せだったならとても良い買物だったように聞こえる。少なくとも賃貸より安く自分好みで自由にできる戸建てに住めたという意味で」などのコメント頂きましたが、それは本当にそうだと思います。戸建ては家族の満足感のためのもの
イイモノを買った方が最初の価格は高くても満足度的にも資産価値的にも間違いない!そう考えて買っちゃいました。
この考えはおおよそ間違っていないと今でも思っていますが、ただ地方の駅遠戸建てである時点で、資産価値的には(略)いうことをこの時の私は分かっていなかったのです…。まあ戸建ては満足感のための買い物だからね…

②いざ売る時になって困ったこと。

この家を売るに至った背景は過去記事に書いていますが、端的に言うと転勤で住まなくなってから10年以上経ち、直近で戻る見込みもなかったからです。結局住んでいた期間は2年程度でした。悲しいですね。2年住んで1600万下落なら年800万。悲しいですね。。
※実際には転勤者用の手当があったので差額がまるまる持ち出しになったわけではなかったのですが、都心マンションなら損どころか価格が倍近くになっていたのにと思うと悔しいところです。品川シティタワーなんて抽選で宝くじみたいなもんだから比較すんなよというありがたい引リツもありましたが、そんな阿呆なツイートする時間で東京マンションの平均坪単価の推移調べてみ?他にも大抽選会じゃなかったマンションの当時の価格と今の価格調べてみ?つい先日も昔は安かったおじさんのツイートあったぞ?その価格表貼ってあげようか??ああん????と思ったりもしましたが悲しみの再生産をして新たなあんぱん野郎を生み出すだけなので自重します。

売ろうとして最初に困ったこと。
それは『仲介会社が見つからない』でした。
都心のマンションでの仲介を探すときは一括見積NG!みたいな話もあるようですが、田舎の戸建ての場合はまず前向きに扱ってくれるところが分からないので、一括見積サイトを頼ることに。
地所レジのマンションの商談をした際にこの家について相談したところ、営業さんが三井のリハウスの査定(1900万)をとってくれてこれならローン審査大丈夫です!とやってくれたんですよ。
結局そこではマンション買わなかったんですけど、まあ家を売る時は三井のリハウスにお願いしようかなと思ってたんですよ。
で、いざ売ろうとしてそういった大手の一括見積サイトで条件を入力していた結果…その地域では取り扱いできません的な結果でした\(^o^)/

え!?野村とかはともかく三井もダメ!?以前査定を出してくれたのに!?と三井のリハウスに直接依頼しようと調べてみると、この家がある市内に店舗がなかったんですよ。。隣の市には店舗があったので直接お願いすれば受けてくれたのかもしれませんが、お互いの市は生活圏が少し異なるので、店舗に来た客に勧めてもらってもあまり反響はないでしょう…ということで別で探すことに。
改めて別の『HOME4U』というサイトから一括見積依頼を投げました。
見積もりを出してくれた家の所在県では有名な交通系グループ会社A。地方で有名な交通系グループ会社B。全く名前も聞いたことがない個人でやっているような不動産会社Cの3社でした。
Bは近隣の売却事例や、市内での面積×築年数での価格レンジなど緻密なデータも付けてくれて、おお!と期待して読み進めたら最後に出てきた査定額は1500万。いや、冒頭で出てきたデータから見て1900万↑はいくでしょ!?ナンデェ!?となって見送り。ここの支店もリハウスと同じ市にあるのもネックでした。
Cは査定は1720万。査定額以前にメールの文章が残念すぎて見送り。いや、私あなたと友達になった覚えはありませんけど…となりました。
Aは査定1960万。こちらの支店も隣の市なのですがリハウスやB社とは違う、売却する家と生活圏をほぼ同じとする市で、近隣での売却取り扱い実績もあり、メールもまともなビジネス文章で送られてきたのでここに決めました。悩む余地のあまりない三択でした。。
※各社に売却方法についても質問しましたが、suumoなどのサイトの他、A社とB社は新聞折り込み広告も実施とのこと。ますます商圏の重なるA社一択となりました。
※ちなみに、購入当時絶好調だった工場の内の1つが失速し、今となっては商店街もずいぶんさみしい感じになっていました。そこが今も好調なら私の家ももっと高く売れたろうに…(涙)

③遠隔での売却活動

現在、私は売ろうとしている家から遠く離れた埼玉の地に住んでおり、気軽に行き来できる距離ではありません。そのため、契約書も郵送で取り交わし、鍵を不動産会社に預けて内見等の対応をお任せする形で進めました。
改めて現物を確認しての査定と広告用の写真撮影のために内覧いただき、その後売却価格の相談をすることに。内覧時、A社とお付き合いのある買取再販業者も同行して、そこが出してくれた額は1680万円。A社曰く他にもっと高く買ってくれるだろう業者もおり、今回はある意味では本命ではないアテ馬業者をつれてきたとのこと。A社の査定額としては現物確認後もほぼ変わらず1950万。売り出し価格については先方のアドバイスもあり2200万スタートとしました。
やはりマーケットの大きい土地ではないので力を入れて売っていただくために専任媒介契約(A社だけに販売を任せる契約)にしました。並行してB社やC社にもお願いする一般契約だと、頑張っても実入りがないかもしれなくて適当になりそうで。。
そうして専任でお願いしたものの、なかなかsuumoに情報が上がらなかったり(まずは顧客中心の営業というよくあるやつですね)、suumoに記載の周辺情報が間違っていたり写真がイマイチだったり、専任の場合は義務である2週間に1回の報告が滞ったりと初めての売却である私には「ここ信用して大丈夫…?」と不安なことばかりでした。他の仲介候補がない中で任せるしかないというのも正直なところではあったのですが、最悪の時は自分で買取再販業者を探す覚悟でsuumoの情報・写真について訂正を依頼したり(写真は、私の物件の特徴であるLDKのスキップフロアを目立たせる写真を選定。暫く住むと広く段差のないリビングの方がよかったと思うこともあったのですが、見た目のハッタリがあるし、それを見て興味を持つ層じゃないとそもそも売れないだろうし)、報告について次に遅れたら契約延長はしないと強気に申し入れ。数度価格改定しても成約に至らず、またもう一度報告が遅れたときは本当にどうしようと思ったものですが、契約更新間際で見込み客がついたとのことで契約延長。延長後すぐに「現状引き渡しで一切保証なしという条件で1930万円まで下げてなら買うと言っている」との連絡。人が住んでいない期間が長いので家の状態分からないし、売り渡した後に設備交換代金負担とか面倒を避けられるならこれくらいの値引きは全然オッケー!と即決しました。リハウスの査定より30万だけど高いし!信じてたよA社さん!!と手のひらくるっくる。

④売買契約締結時のあれこれ

売買契約のため、新幹線に乗って久しぶりに昔住んでいた地方へと。A社の店舗で買主さんとご対面。思ったより年配の方で、あの家を気に入ってくださるなんてハイカラな方ですなぁ…と少し驚きつつ重説を聞き終わったところで手付金を渡される。現ナマ100万円。いや、今日受け渡しがあるなんて聞いていないんだが!?これ持って帰るの!?近くにコンビニないし最寄りのATMどこ!?とさらにビックリ。事前に伝えておいてよA社さん…。
とりあえず引渡し期限を設定し、先方のお金の準備ができ次第 具体的に日程相談ということでこの日はお開き。
この引き渡しはお金の移動完了後に押印・サインして終了となるため銀行がやっている日である必要があり、つまりは平日に休んでまたこの地方までやってくる必要があり。お金の準備ができたとの連絡があった後、仕事を休みやすい日を候補日としていくつか提示したのですが、引き渡し日は大安がいいという要望でこちらが提示した日程は全NG。年配の方だとそういうこともあるよね…。ちょうど、豊洲のラビスタの予約を入れていた日が大安。有休をとって楽しみにしていたのだけれど、私も少しでも早く引き渡しを終えてすっきりしたかったので泣く泣くラビスタの予約キャンセルして引渡しに向かうことに。
最近では不動産屋の態度が悪いのが積み重なって銀行のスペースを借りられないことも多いそうですが(C社のメールを思い出して納得)、A社や買主さんの銀行とのお付き合いは良好なようで買主さんのメインバンク支店の個室をお借りして引渡しのために書類の取り交わし。振り込みはそこの銀行窓口で行うのですが、受け取った側(今回の場合はつまり私)が振り込まれたことをすぐ確認できるようにネットで口座確認できるようにしておくと便利です。アプリで入金確認でき、こちらからすぐ行政書士さんに連絡をして抵当権抹消手続きに入ってもらえたのでそこそこの時短になったと思います。
抹消手続き完了の連絡が入り、もう何枚目か分からない書類にサイン・押印をしてお昼前には所有権の移転も完了。家の売却活動を始めてからちょうど半年ほどで無事に売買完了となりました。
ちなみにその売却した家は妻にも持ち分が5%ほどあったのですが、各種契約の際には所有者全員必要とのことで妻も帯同する必要があり、無駄に新幹線代なども発生し、売った後一人で豪遊して帰ることもできず、やはりペアローンは悪い文化…という気づきを得ることが出来ました。

⑤確定申告

そして家を売却した次の年の3月には確定申告が待っています。
マイナンバーカードを作っていたので激混みしているさいたまスーパーアリーナの特設会場に出向く必要はなく、自宅にいながらe-Taxで手続き完了しました。
株の売買やふるさと納税については楽天とデータ連携させたりがあったのですが、家の売買関連については順番に文字入力していくだけで完了し、各種契約書や領収書のデータ添付や別途郵送は必要ありませんでした。要求されたらスマホで撮って添付しようと思って用意していたのですがマジで入力だけで終わり、払い戻し金も先日無事に振り込まれていました。私はサラリーマンで勝手にあれこれ天引きされる身の上なのでマイナンバーカードを忌避する理由はなく、ポイントももらえるしと作っていたのですが、今回の確定申告で本当に作っていてよかったぁ~と実感させられましたあれ反対しているのはお金の流れが明確になると困る側の人たちとそれに流されているバカだけだと思っていて、クレカ作ってネット通販してLINEまで入れてるような人が大真面目にマイナンバーカードの危険性を訴えているのを見ると以下略

また、事前によく調べていなくて確定申告の段で初めて気づいてショックを受けたのは、もう売却した家に住まなくなってから結構な期間たっているので損益通算が使えなかったことです。最初に各種特例の条件が出てきて適用するもののチェックを入れるのですが、よくよく読むと条件に当てはまらず。。
そもそも利益が出ていないどころかe-Taxで算出された譲渡損益がマイナス680万円だったので(減価償却で家の価値が下がって計算されるのでマイナス1700万にはならない)3000万特別控除なんかはもちろん関係ないのですが、この家の売却損で2022年と23年の税金数十万ずつくらい戻ってこないかなーと期待していたのに損益通算できず。しっかり株の売買益からも税金を持っていかれて、返ってきたのはふるさと納税分の数万円程度でした。。

あとがき

田舎で戸建てを売却した話をあまり見かけないので、最初はもしそれで困っている人たちの助けになれば…と実用的な内容を書こうと思っていたはずなのですが、気づくと色々な呪詛交じりの何を言いたいのかよく分からないものになっていました。作者の言いたいことを答えろと言われれば、私が戸建てを買った当時に都心でマンション買った人たち羨まし~とか、クソリプ飛ばす前にその時間を使って少しは調べたり考えたりしろとか、昔の価格表を貼るおっさんは害悪とか、マイナンバーカードはいいぞとか、そんな内容が含まれていれば大体正解の、何のnoteだかよく分からないものになっていました。そんなとりとめもない記事ですが、初めて家を売る人が買主との契約の場に向かう際、仲介から特に説明がなかったとしても手付金を受け取る可能性に思い至って大きめの財布or鞄を用意して臨むことができるならば、それだけでこのnoteを書いた甲斐があったなと思うのです。

おしまい

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