REALITYで歌配信とか音楽流してるなら一度は読んでおいて欲しい記事
を、探しに行くのがあまりに面倒だと思うので、まとめます。
REALITYのこと完全にわかって書いてるわけじゃないので、間違いなどありましたらお知らせください。
できるだけ簡潔に、わかりやすく書きます。どうか「歌配信」「カラオケ配信」「BGMに好きな曲をかけてる配信」「これから枠内で色々歌いたい」人は、まず間違いなく目を通しておいてくれると嬉しいです。文字が読めない方は、まず配信することをおすすめしません。
著作権って何?
さて、さっそくですが、この世の創作物は、音楽からイラストから落書きからツイートの一つに至るまで「著作権(ちょさくけん)」というものが存在します。
例えば、自分の描いた絵を誰かが勝手にグッズにしてお金儲けしたり、自分の作った曲を誰かがCDにしてお金儲けしたり、もしくは自分の書いた小説を拡散した挙句「これ俺が書いたんだぜ!」とか言い出したりする奴らに対して、「お前ぶっ飛ばすぞ」って言ってくれる権利です。言ってくれるだけじゃなく、実際にぶっ飛ばしてくれます。すごく心強い。
でも同時に、自分が誰かの創作物を勝手に使っちゃった側になれば、当然著作権は一転してぶっ飛ばしてくる可能性があります。ぶっ飛ばしてこないかもしれません。でもぶっ飛ばしてくるだろう、と仮定して生きていた方が安全です。
で、先に言った通り、音楽にも著作権はあります。なので、勝手に音楽を使ったりするのは、実はいけないことなのです。ぶっ飛ばされる可能性があります。
REALITYで歌うには?
でもREALITYって、配信してる人が歌ってたりしますよね? あれはいいの?
(ある一定の約束を守れば)いいんです。
ここちょっと難しい話。音楽は「著作権」と「著作隣接権」というものが同時に存在しています。著作権は曲を作った人に発生します。「作詞・作曲・編曲」とかって書いてありませんか? あの人たちが、その曲の著作権を持っています。作詞は曲の歌詞を考えた人、作曲は曲の楽譜を考えた人、編曲は演奏されたバラバラの楽譜を一つの曲としてまとめあげた人。だいたいこんな感じ。で、歌ってる人にも、もちろん著作権はあります。ここが「アーティスト」と呼ばれる人たちですね。曲は基本的にこのアーティストのために作られてるので、作詞・作曲・編曲の人たちは、アーティストに曲をあげています。著作権が譲られているのです。いや、ごめんここは私の想像。でもこうイメージしてもらえると次の話がわかりやすくなるので許してください。
著作隣接権は、その曲を歌った人に発生する権利。カラオケなんかで自分の歌を録音したとき、その録音データの中に入ってる曲自体にはアーティストが著作権を持ってるけど、歌ったことによってあなたにも「著作隣接権」というものが発生しているのです。なので、歌うことは悪いことじゃない。なんだったら歌も表現で、表現である以上著作権がある。でも完全にオリジナルじゃないから「著作隣接権」なのです。
著作隣接権があるならいくらREALITYで歌おうがいいじゃない? ところがどっこい、そうはいかないのです。
アーティストさんたちもしっかりご飯を食べなきゃいけない。せっかく作った曲、CDとかでたくさん売りたいのに、誰かが勝手に歌って「じゃあもう聞けたからCD買わなくていいや」なんて人が出てきたら、それだけ損をすることになります。
そこで登場するのがJASRACやNexToneと呼ばれる、音楽著作権管理事業団体です。彼らは「アーティストにかわって音楽が勝手に使われてたらお前それ申請したんかい金払わんかい」と言ってくれる頼もしい奴らです。ちょっとトラブルを発生させたりもしますが、彼らの仕事はそんな感じです。
ともかく、勝手に歌うと音楽著作権管理事業団体が怒るのです。アーティストの代わりに。
なんで怒るかって言うと、「公共電波に乗せて不特定多数に楽曲を無断で配信しているから」。難しく言いましたが、要は誰でも聞けるような状況で歌うのはよくないよ、ということです。誰でも聞ける状況で歌うYouTubeやカラオケはどうなってるんだっていうと、実は事前にJASRACとかにお金を払っているんです。音楽利用のサブスクリプションみたいなもんですね。ちなみにピアノ教室や学校での教育目的での使用や、学祭での非営利の演奏なんかは大丈夫みたいですよ。お金儲けをするのがいけないのであって、演奏するのがいけないわけではない。
そこでREALITYが用意してくれたのが「楽曲申請」というシステム。事前に「この曲歌いたいな」と思ったら、申請をしておくことで、JASRACさんに「ちょっとこの曲使いますんでどうか一つよろしくお願いします」と挨拶しておく、みたいな感じです。私は詳しくないし内部の人間でもないので知らないけれど、REALITYさんはこの挨拶と同時か、ともかくどこかのタイミングでJASRACさんにお金を払ってます。そうするとJASRACさんも「なるほど、わかった。じゃあその曲はオッケーやで」と言ってくれるわけです。
ちなみに、配信後に申請するのも別に良いっちゃ良い(?)のですが、これは「スミマセン、この曲使っちゃいました」と言いにいく感じなので、原則事前申請です。これ歌う、ってわかってる曲は事前申請、歌うかも、って曲も事前申請、予定になかったけど歌っちゃった曲は事後申請、って感じですね。
まとめると、事前の楽曲申請をしておくことでJASRACさんやNexToneさんに怒られる可能性を減らす、ということです。
REALITYで楽曲申請をするのに必要な情報
そこで必要になるのが「楽曲コード」「作品タイトル」「アーティスト名」「使用回数」の4つ。
楽曲コードは、JASRACやNexToneでその曲を管理するために割り振っている番号。JASRACならここから、NexToneならここから、それぞれ調べることができます。
作品タイトルとアーティスト名はその通り、曲とアーティストの名前です。誰の何を歌ったか、の部分ですね。楽曲コード入れるならこれいらないじゃん、と思うかもしれません。でも、ここ調べるのはJASRACさんやNexToneさんではなく、REALITYの運営さん。楽曲コードが間違ってたり、逆に曲タイトルが間違ってたりしても、正しい曲をきちんと探し出せるようにしてるのです。めんどくさがらずに入力してください。っていうか入力しないと申請できない。
最後に使用回数。配信中何回その曲を歌ったか、というやつですね。これは事前申請だろうと事後申請だろうと、自分でしっかり数えておくしかありません。頑張って。
ここまで読んで「クソメンドクセーな。どうせバレねーだろ」と思ってる人がいたら、言っておきます。はい。多分バレません。でもバレたときアカウントが停止されたり、誰もルールが守れないからREALITYでは歌うの禁止、とか言われたら、めちゃめちゃ悲しいですよね。そうならないためにも、面倒くさくても楽曲申請はしっかりやりましょう、ということなのです。
カラオケボックスでの歌唱やBGMとしての使用に関して
最後にBGMとカラオケボックスでの配信についても触れておきます。自分の買ったアニメのサントラを流しながら配信、楽曲申請が必要です。それはあなたの「個人利用」のためのもので、配信に使うためのものじゃないからです。CDの帯か歌詞カードか……とにかくどこかに「権利者の許諾泣く、このCDを賃貸業に使用すること、このCDに収録されている音を個人的に楽しむ場合以外での目的で複製することおよびネットワーク等を通じて送信できる状態にすることは、著作権法で禁じられています。」と書いてあるはずです。配信に使うのは「ネットワークを通じて送信する」ことなので、当然禁止ですね。
カラオケボックスは、もちろんJASRACやNexToneに楽曲の利用許可を得ています。ですが、「カラオケ用の編曲」は許可されていません。カラオケ用に歌いやすいようガイドメロディがついてたり、誰も興味ないのにまじまじと見ちゃうCMなんかは、そのカラオケ配信元、DAMとかUGAとかが持っています。DAMとかに許可取れたなら使ってもいいでしょうけど、配信のためにそこまでするのも大変だし、基本的に許可は下りないだろうので、「カラオケボックス音源を利用しての配信」はNGなのです。ただしカラオケボックスを配信目的で利用することはNGではないので、そういう時はカラオケの機械の音を消して配信を行えば、セーフです。ニコカラとかの音源をカラオケボックスで流して歌うのも、楽曲申請をしていればセーフなのです。
おまけ1:YouTube視聴機能と楽曲申請
ここからは興味関心のある人のためのさらに込み入った話なので、おおまかに楽曲申請に関してわかればいいやー、という人は読まないで大丈夫です。でも、興味が持続してる人はこう思うかもしれません。
「ならYouTube見る機能使って曲流すのはどうなん?」
はい、実はあれ、セーフなんです。
先に言った通り、YouTubeはJASRACに事前の申請をめちゃめちゃしてくれてます。音楽利用のサブスクリプションです。なので、どこでYouTubeに掲載された音楽を使おうが、それがYouTubeからのものである限りはOKなのです。アウトになるのは、その動画や音楽を勝手にダウンロードして別なサイトやSNSにアップしたとき。共有機能を使ってSNSにシェアするのはセーフ。動画をアップした本人が切り抜いてどこか別な場所に載せるのも、著作権がその人にあるのでセーフ。(なので実はVTuberの切り抜き動画だけを編集もなしにポンと載せるの、ギリアウトなんじゃないかなって思ったりしてます)
REALITYでのYouTube視聴機能は、この延長にあります。REALITYとYouTubeがお互い同意の上での機能になっていて、かつYouTubeが先に音楽の申請をしてくれてるので、YouTubeの音楽を配信で見る・聴くのは「セーフ」なのです。
問題は「YouTubeのカラオケ音源を流しながらそれに合わせて歌う」とき。これは申請が必要です。
これは完全に私見で何も確認を取っていないのですが(もしかしたら太古の昔に確認してその存在を忘れているだけかもしれないけど安全のためにこう書いておきます)、YouTubeのカラオケ音源、演奏してみたなどは「作曲・編曲」の部分で許諾を得ているけど、歌詞の部分では許可を取っていない、らしいんですよ。なので、そんな動画を流しながら歌うと「何勝手に歌ってんじゃ」と怒られる可能性が高いです。歌うなら申請する、歌ったら申請する、を徹底した方がよさそうですね。
追記。四條蘭さん(@HEs3JfESJudb53x) によりますと、楽曲申請で申請して取れる許可は「アカペラ」の範囲らしいです。
メロディと歌詞の使用申請をしていて、音楽の部分はしてないみたいですね。じゃあ何でニコカラやピアプロの音源を利用するのはOKなのか。それはどうやらニコカラやピアプロが、やっぱりあの音楽利用サブスクリプション的なやつを使用していて、かつ「演奏者に著作隣接権があるから」みたいです。つまりどういうことか。動画をアップした人が「配信とかで使っていいよ」って言ってたらOK、ということみたいです。使用に関して記載がなければ個別に確認するか使わないかの二択が、トラブル回避のためにもベターです。あと、転載された音源や動画ではないか、ということも重要ですね。
おまけ2:申請が不要な場合
一方で、申請が必要ない場合もあります。それは「自分が作った曲」の場合。自分で作詞作曲した、もしくは作ってもらった曲でアーティストが自分である場合、申請の必要はないみたいです。ほかにも著作権フリーの音源が使用可能になっています。
REALITYの利用規約第11条1項には、簡潔に言うと「JASRACまたはNexToneが管理する楽曲、ないしはREALITYがOKだよって言った曲でなければ、配信に使ってはいけません」と書いてあります。ただ、フリー音源は「誰でも自由に使っていいよ」と言っているので、この規約に縛られていない、って感じですね。これは利用規約という「REALITYを使う上でのルール」よりも、著作権という「下手すりゃ裁判まで持っていけるマジな権利」が優先されるからです。ちなみにですが、著作権フリーは著作権放棄ではなく、使用申請なく使っていいよ、という意味です。
以上、センシティブな内容に対してざっくりとしすぎた解説でした。最後にもう一回言っておきます。
REALITYという自由な場所を守るためにも、歌う奴・音楽かける奴は楽曲申請しろ!
おまけ3:朗読に関して
こちらは四條蘭さんにリプライいただいて初めて私も意識した内容なのですが、本の朗読に関しても注意が必要です。書物も著作物。当然、勝手に使って良いわけがありません。
ただ、こちらに関してはCDの時みたいに、朗読に関する注意書きを見つけることはできませんでした。奥付に「デジタル化禁止」とはあったので、おそらくこれに抵触するのかな、とは思います。とにかく、著作権がある以上、勝手に読み上げてはいけません。引用は別なのですけど、これはこれで別にややこしい問題なので、今は割愛します。
では朗読枠を開くにはどうするべきか。
「青空文庫」を使ってください。
青空文庫は著作権の切れた作品を集めたデータベースで、ここに掲載されている物は基本的に著作権が切れている作品となっています。切れている、すなわち青空文庫に掲載された作品は、著作権が存在しないのです。誰でも自由に使って良い、ということです。多分……。ただ、翻訳物に関しては翻訳者に何らかの権利が発生している(ややこしくて詳しくは調べてないけど絶対に発生してる)ので、ちょっとグレーかな……と思いつつ、作品としての著作権は切れてるし、利用はOKなので個人的には「大丈夫」と判断したいです。詳しくは青空文庫の作業マニュアルをご覧ください。著作権に関しても私より丁寧に書かれています。
参考出典
【宇宙一わかりやすい!!】歌ってみたと著作権についてまとめてみた
REALITYアプリにおけるYouTube視聴機能の適法性について、及び同機能について音楽クリエイターとしての見解
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