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隠れ家の不良美少女 188 レコーディング終了

レコーディングは最終段階を迎えていた。
SONEレコードのスタジオに希美子さんがスタンバイしている。
コーラスをより素晴らしくする為に来てもらった。

兄弟や親子など、似ているが微妙に違う声が重なると独特のコーラス効果が得られる。
ビーチボーイズやビージーズなどもその効果が素晴らしい。
機械では作れないコーラス効果なのだ。

希美子さんはスタジオに入って行く。
本番が始まると殆どファーストテイクでOKが出た。
後から来た長谷川さんはその様子を見て何度も頷く。
希美子さんは無事にレコーディングを終わらせスタジオから出てきた。

「お疲れ様、相沢さん」長谷川さんが声をかける。
「お疲れ様です、いつもキナコがお世話になっています」深々と頭を下げた。
「こちらこそキナコさんに助けられてますよ」微笑んだ。
「またお会いできてとても嬉しいです」希美子さんも微笑んだ。
「私も嬉しいですよ、元気な相沢さんを見る事が出来て」

二人は懐かしそうに当時の話をしている。
俺はコーヒーを飲みながらそれを聞いていた。

ドアが開き和也さんがギターケースを下げて入ってくる。
希美子さんは驚いて瞬きした。長谷川さんは微笑んでいる。

「お疲れ様です」和也さんは少し不思議そうな顔だ。
「こんにちは希美ちゃん、どうしたの?」
「今日はコーラスのレコーディングに来たの」
「そうか、そう言うことか」和也さんは直ぐに意味を理解した。
「希美ちゃんと希和ちゃんのコーラスはいいだろうなあ」微笑んで頷く。

「和也さんは?」
「俺はギターのカッティングのレコーディングに呼ばれてね」少し恥ずかしそうに微笑む。
「やはり曲を作った和也くんのギターが味があって良いと言う事になってね、それで無理を聞いてもらったんですよ」長谷川さんは嬉しそうに話した。

和也さんはスタジオに入ると音を出して何度もリハーサルしている。
希美子さんは嬉しそうに見守った。

そこへ奏太くんと未来ちゃん、キナコが入って来る。
キナコは予告編のシーンを撮るために別の撮影スタジオで撮影していた。

「あれ、お母さん、もうレコーディングは終わったの?」
「ええ、もう終わったわよ」
「はやっ!」
キナコはスタジオの中を覗く。
「あっ!お父さんだ」ニッコリ手を振った。

ギターのレコーディングが終わって和也さんが出てくるとキナコは希和に戻って「お父さん!」そう言って抱きついた。

それを見た長谷川さんは微笑みながら頷いている。

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