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星降る夜のセレナーデ 第59話 昇給

ログハウスへ戻って来ると、志音ちゃんは嬉しそうに「ほら、モヒくんに買ってもらったの」と嬉しそうにワンピースをクルッと回って見せた。

「あら、とっても可愛いわねえ、でも真人くん少し甘やかしすぎじゃない?」美夜子さんがチラッと見る。

俺はフードコートでの事を説明した。

「そうなの、志音よかったわね真人くんが優しい人で」ニッコリした。

「うん」志音ちゃんは深く頷く。

先生がお風呂から出てきた。

「お帰りなさい志音…………あれっ?出かけた時の服じゃないねえ」不思議そうな顔だ。

美夜子さんが状況を話してくれた。

「そうだったのか、真人くん申し訳ないねえ、ドライブに連れて行ってさらに服まで買ってあげるなんて、志音のレッスン料は高いねえ」少し笑った。

「そんな事ないです、教えてもらってる内容からすると、これでも安いですよ」

「志音は良い生徒を持ったねえ」横目で志音ちゃんをチラッと見た。

「だってモヒくんは優しいお兄ちゃんだも〜ん」明後日の方を見ている。

美夜子さんは少しだけ口角を上げると「そうなの?お兄ちゃんなの?」

志音ちゃんは唇を噛んで下を向いた。

「真人くん、もうここで働き始めて一年ほど経ったねえ」

「そうですねえ」俺はとても運が良かったです、先生に出会って。

「私も凄く助かってるよ、だから今月から給料アップするよ」ニッコリした。

「え〜!まだ大した事できないですから、上げていただかなくても大丈夫ですよ」

俺は慌てて手を横に振った。

「何言ってるんだよ、もう真人くんがいなかったら仕事にならないんだから」

「そうよ真人くん、私たちは真人くんにとっても感謝してるのよ、だから遠慮しないで」

美夜子さんもニッコリと頷いた。

「モヒくん、給料いっぱいもらって志音にまた服を買って」舌を出す。

「志音ちゃん、調子に乗ったら真人くんに嫌われるわよ」美夜子さんが嗜めた。

「えへへ………」志音ちゃんは目を泳がせている。

「俺、もっと頑張って役に立てるようになります」頭を下げた。

「真人くんは真面目だねえ」先生は腕を組んで何度も頷いている。

ログハウスの中にはとても優しい空気が溢れた。

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