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隠れ家の不良美少女 163 ドラゴンロード

翌日お昼を食べに希和と天空カフェへ来た。 新くんと綾乃さんがテラス席にいる。

「やあ、ここで会うのは久々だね」新くんが微笑んだ。
「お疲れ様」俺は希和と近くに座った。
「綾乃さん、お腹随分大きくなったんですね」希和は嬉しそうに見ている。
「最近は元気でよく暴れるのよ、男の子かも」お腹を触りながら綾乃さんは微笑んだ。
「良いなあ〜希和も子供が欲しい」希和は俺を見る。
俺は目を逸らす。

「今日は休めるのかい?」新くんが聞いてくる。
「実は、ガレージハウスを買い取って欲しいって言われてね」
「そうなんだ、買っちゃえば良いじゃん」
「簡単に言うんだね」俺は少し笑った。

「この地域は特別なパワーを持ってる気がするんだよ、俺は別荘を買ったことで綾乃と出会い今こうして幸せに暮らしている。友希くんだってガレージハウスを作って何か変わったんじゃないのかい?」
「そうだね、ここに来た頃は色々引きずってたなあ」
「希和ちゃんだってここに来ていろんな事が変わったんじゃない?」
「はい、あの頃は不良から逃げてここに来てました、でも新さんと友希さんに出会って全てが変わったよ」
「プリンちゃんや匠真くんだってここに来てたし、奏太くんもここに来たことで随分変わったんじゃないかなあ」
「そうだね、ここに来なかったらどうなってたんだろうなあ」

「ここは小さな廃校で、千草さんが来た時は壊れそうになってたらしいよ、それがこんなカフェになって、今では多くの人が集まってくる」
「そうだね、ちまきは美味しいけどそれだけじゃないかもね」

「この下に日帰り温泉があるだろう」
「ああ、一度行ってみたいと思ってるけど」
「あそこの近くに龍の池と呼ばれているところがあるんだ、もう池はないらしいけどね」
「ふ〜ん」
「そしてこの道を反対に下っていくと龍勢祭りがある場所だよ」
「確かアニメのクライマックスになってたよね」
「龍にまつわる事が多いんだ、ここの地名だって日野沢だし、龍は火と水を司る神らしいよ」
「そうなんだ」
「近くで修行してる修験道の人から聞いた話だけどね」少し笑った。
「確かにそう言われると、なんかパワーを感じるね」
「だろう」新くんは大きく頷く。

「ここにくるライダーたちは、この道をドラゴンロードって呼んでるらしいよ」
「ドラゴンロードねえ………」

「だからガレージハウスは買っちゃいなよ、そしたらご近所さんじゃん」新くんは口角を上げた。
「確かに今とてつもなくラッキーな気がする」俺は考えた。
「そうだね、希和もそんな気がする」

「じゃあ俺、ガレージハウスの大家さんに会ってくるよ」そう言ってカフェを後にした。

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