幼馴染はキュートな吸血鬼 63話 ジーナの涙
「私が幼い頃、突然軍の兵士がやってきたの。お父さんとお母さんが軍の命令に反いたからと言って連れて行かれた。吹雪の夜だったわ。私はパワーが強いからと言ってそのまま軍の訓練所に連れて行かれた。泣くことさえも許されなかったわ、そして両親は処刑されたと聞かされた」
「そうだったの…………」私はジーナの体を抱きしめて背中をさすった。
「私は生きるために必死でパワーを訓練した、そしてやっと訓練所を出ることができたの。それから軍の大学を出て特殊部隊に配属されたわ、そこでの仕事は人に言えるようなことではなかった………」ジーナはまた涙を流した。
「ゴメンね嫌な事を思い出させて」
「でもお父さんは処刑されてなかったんですか?」
「ジーナちゃんのお父さんはパワーの強いヴァンパイアだったから逃げ延びたという話なの、そしてラミアの軍から逃げ出した人はオーストラリアに行く人が多いらしいわ」
「じゃあ、もしかしたらお父さんはオーストラリアで生きてるかもしれないんですね?」
「可能性はあるかもしれない」
「私もラミアから連邦軍から逃げたい」ジーナは眉を寄せ唇を噛んだ。
「さっきラミアの情報員を捕まえたの、情報員は助けてくれるならラミアから逃げてオーストラリアへ行き、ジーナちゃんのお父さんを探すと約束してくれたわ」
「本当ですか?」
「うん、」
「七香先輩………」ジーナは私に強く抱きついた。
「旭が卒業するまで時間が稼げるわ、だからその間に状況が変わると良いわね」
「じゃあもう情報員の目を気にしないでいいんですか?」ジーナは寂しそうな表情になっている。
「じゃあ、もうジーナちゃんと付き合ってるフリをしなくて良いんだね」旭が肩の荷を降ろしたように微笑んだ。
「ふぇ〜ん………………」ジーナはまた泣き出した。
「どうしたの?ジーナちゃん」
「だって私は旭センパイが………旭が大好きになっちゃったから……………」
「「………………………………」」私と旭は互いを見つめて言葉を無くした。