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星降る夜のセレナーデ 第115話 ヒット

『missing you』は東京にあるレコード会社のスタジオでレコーディングされ
る。アレンジャーさんや色んな人が参加し完成した。
俺は誘われたがスタジオへは行かなかった。泣いてしまいそうで恥ずかしかったからだ。発売されたCDは直ぐにヒットチャートを駆け上り、長い間1位の座を守った。

「真人くん、やったね!」先生はオリコンランキングを見て拍手している。

「凄いわねえ」美夜子さんも喜んでくれた。

「美夜子さんの歌詞が良かったからですよ」俺は頭を下げた。

「えっ?…………」美夜子さんは少し不思議そうな顔をしている。

「葵 姫名さんに感謝です!」

「そうなの?」美夜子さんはクスクスと笑った。

「うちの会社にも売れっ子が揃ったねえ」先生も笑っている。

そして仕事はさらに忙しくなった。先生への映画音楽依頼はますます増えている。
そしてなんと、俺にも歌手への作曲以来がくるようになった。

先生と交代でスタジオを使い慌ただしく仕事をする。
俺は志音ちゃんに会えない寂しさを仕事で埋めた。

数人の歌手へ曲を作り、さらに由美香ちゃんの新しい曲も作った。
作詞はいつもの様に美夜子さんへお願いする。
少しずつ俺の名前は知名度を上げ、雑誌の取材がくる様になった。
しかし、話が下手なので丁重に断っている。

志音ちゃんが留学して2年が経過した。スタジオで仕事をしている間は気が紛れる。しかし自分の部屋へ帰ってくると、やはり寂しくて切なくなる。
俺は自分の女々しさに呆れて腹が立った。

「なんなんだ俺は!」部屋の壁を叩く。

涙が音もなく流れて床に落ちた。当たり前になったため息が漏れて部屋に充満する。

アリサちゃんからメールが来た。

『明日の午後出版社へ来て欲しいんだけど』

『どうしたんですか?』

『どうしてもお願いしたいことがあるんです』

『何でしょう?』

『由美香ちゃんもいます』

俺は不思議になった、何だろう?…………とりあえず行くことにする。

『了解しました』

『では午後4時にお待ちしてます』

俺は翌日黒い愛車で出版社へ向かう。

出版社へ到着すると、小池さんやアリサちゃん由美香ちゃんがやけにニコニコしている。俺は不思議になった。

「真人くん、今日はうちの出版社で活躍した人を表彰する事になってるんだよ」
小池さんは笑顔で話した。

「えっ?」俺は戸惑っている。

「真人くんが作った『missing you』は大ヒットになった、だから感謝の意味を込めて表彰するんだよ」

「そうなんですか?」まだ俺はよく飲み込めていない。

「表彰と言っても表彰状と盾を渡すだけだから、何も心配ないよ」ニッコリしている。

「そういう事ですか」何となく納得した。

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