隠れ家の不良美少女 150 レッスン
児玉に到着すると希美子さんが出迎えてくれた。
「おかえりなさい」
「お母さん、あのね……………」希和は不安そうにしている。
「和也さんから電話があったわ、で、どんなギターなの?」希美子さんが優しく微笑んだ。
希和の表情はパッと明るくなった。
「これ…………」ギターケースを車から嬉しそうに引っ張り出す。
居間に入ると希和はまた嬉しそうにケースを開けてギターを取り出した。
「あら、綺麗なギターね」希美子さんはじっくりと眺めている。
「小さめだから希和にも弾きやすいと思うの」
「そうね、フォークギターみたいに丸い穴が無いのね?バイオリンみたいな模様があるけど、音はどんな感じ?」
希和は俺にギターを差し出す。
「友希さん、弾いて?」
俺はチューニングをして、コードを鳴らした。
『ジャラーン』繊細で細やかな音が居間に響く。
「いい音じゃない!」希美子さんは納得したように頷いた。
「私にも弾かせて」希美子さんはギターを受取る。
「えっ、お母さん弾けるの?」
「これがCで、これがG、でもFは…………音が出ない」そう言って少し弾いた。
「ギターってコードがあるんだよねえ?」希和は不思議そうに希美子さんの左手を見ている。
「そうね、コードがなかな覚えられないのよ」希美子さんも難しそうな顔だ。
「大丈夫ですよ、簡単に覚える方法がありますから」俺は自分のギターを車から出してきてチューニングした。
「まずオープンコードのEを弾いてみて」俺は希和に指の抑える場所を教える。
『ジャラ〜ン』「これがEなんだ」希和は眉間に皺を寄せて弾いた。
「そう、そしてそれを半音ずらしたらF」
「えっ、音が出ない」希和は更に難しい顔になった。
「音は直ぐに出るようになるから心配しなくていいよ、そして一音ずらしたらG、そしてまた一音ずらしたら今度はA、次はB、そしてBから半音でC、また一音でD、そしてまた一音でE、ほら、これで全部のコードが覚えられた、後は音が出るように練習すればいいだけだ」
「「えっ!」」希和と希美子さんは目を点にしている。
「友希さん凄い!それならすごく分かりやすいわ」希美子さんが驚いた。
「希和でも覚えられそう」希和も驚く。
「右手はアップ・ダウンをピックで練習すれば問題なし!」俺は右手の動かし方を教えた。
希和は少しずつ指をずらして覚えている。
「F……G……A……B………ああ、指がつる……」唇を噛んで眉を細めた。
「徐々に、できるようになるから焦らなくていいぞ」
希美子さんは嬉しそうにハイボールを出してくれた。
二人で悪戦苦闘している希和をつまみに飲んだ。