隠れ家の不良美少女 140 未来の夢
俺はウイングのオフィスに来ていた。
奏太くんと配信の設備や計画を具体的に進める相談をしている。
半日ほどで、大まかな計画と図面が出来上がった。
未来ちゃんがコーヒーをいれてくれた。
しばらく雑談をしていたが、キナコのアルバムを作る計画の話になる。
奏太くんと一緒にキナコのアルバム候補曲を聞き始めた。
「選ばれた4曲はいいですよね、でも個人的には7曲目も好きです」奏太くんはリズムをとっている。
「そうなんだよね、いい感じなんだけど日本語が上手く馴染まない感じがしたんでね……」俺は考える。
未来ちゃんも聞いていたが、突然立ち上がって前へ来た。
「友希さん、7曲目の歌詞を私に考えさせてもらえませんか?」未来ちゃんが突然言い出す。
「えっ、未来ちゃんが?」俺は不思議に思った。
「友希さん、私これでも軽音部で歌ってるんですよ、それに文学部ですから」少し怒っている。
「そうか、そうだったね」
「もう友希さんは私のことに何にも興味ないのね」頬を膨らせた。
「作詞家もやりたい仕事の一つなんです、夢ですけど」
「そうなんだ」俺は頷く。
「友希さん、俺からもお願いします、未来ちゃんにチャンスをください」奏太くんが頭を下げる。
俺はしばらく考えた。
「社長命令なら受け入れるしかないよね」ニッコリうなずく。
「「有難うございます」」二人は喜んだ。
「採用出来るかは保証できないけど、挑戦してみてよ」
「友希さん、私頑張ります」未来ちゃんは拳を振り上げ嬉しそうだ。
「よかったな、キナコちゃんの作詞なんてビッグチャンスじゃん」奏太くんが未来ちゃんに優しく声をかけた。
「うん」未来ちゃんは奏太くんと喜んでいる。
「これまでキナコの事をしっかり支えてくれたからな」
「えっ?そんなふうに思っていてくれたんですか?」未来ちゃんは首をかしげた。
「勿論さ、よくやってくれていると感謝してたよ」
「奏太さん、私嬉しい」未来ちゃんは目を潤ませる。
「だから言っただろう、友希さんはしっかり見てるって」
「うん…………」
「俺は邪魔そうだからKKステージへ行くね」手を振って事務所を出る。
「「お疲れ様で〜す」」後ろで声がした。