幼馴染はキュートな吸血鬼 32話 父母
私は目を覚ました。父親が心配そうに私を見ている。
「七香!気がついたかい?」
「お父さん、どうしてお父さんがいるの?ここはどこ?」
「ここは北海道の病院だよ、ラムの研究所でもあるんだ」
「えっ!じゃあお母さんもいるの?」
「隣のベッドにいるよ」
私はゆっくりと体を横にした。優しい微笑みで私を見ている母はまるでお婆ちゃんのようだ。
「お母さん!ごめんね、こんな事になってしまって」
「大丈夫よ、ここに来れてよかったわ」
優しく答えてくれた。
「せっかくお母さんが自分を犠牲にして私を産んでくれたのに、私もう覚醒出来ない」大粒の涙が溢れ出す。
「大丈夫だよ、お父さんとお母さんがついてるから」そう言ってお父さんは私の手を握り締めた。
「美奈子さんから話は全部聞いてる、だからもう心配しないでいいよ」
「そうなの?でも………私は…………」
「ねえあなた、七香に覚醒補助剤を点滴してあげて」
「ああ…………」お父さんは辛そうな表情だ。
「七香、もう時間がないんだ…… だから覚醒補助剤で強制的に覚醒させる」
「えっ?こんな体なのに覚醒できるの?」
「お母さんに投与している薬を使えば何とか覚醒できると思う」唇を噛んだ。
「そうなの?」私は不安になってお母さんを見る。
「大丈夫よ七香」優しく微笑んだ。
「七香、お母さんに投与している薬は数が少ない、だから七香に使うとお母さんの分はなくなるんだ」
「えっ!じゃあお母さんはどうなるの?」
「お母さんは………」父は口籠ってしまう。