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幼馴染はキュートな吸血鬼 104話 仲間
アレクセイさんは「私がいると足手まといになる」そう言ってラムの人が運転する漁船で島を離れた。
「パパ………」ジーナは唇を噛み締めながら見送っている。
そこへ別の漁船が近づく。
「七香ちゃ〜ん!!ジーナちゃ〜ん」2人の女性が手を振っている。
「えっ!遥ちゃん、穂乃果ちゃん、どうしてこんな所に来たの?」私は絶句した。
二人は船を降りて駆け寄ってきた。漁船は2人が桟橋へ移ると急いで岸を離れる。
「なんで?しかも今一番危険な時なのに」私は眉を寄せて2人を見た。
「ゴメンね七香ちゃん、私のせいで」穂乃果ちゃんが泣きそうな顔だ。
「ラミアのスパイが穂乃果ちゃんに近づいてこの島にいる事がバレたみたいなの」遥ちゃんも泣きそうな顔をした。
「穂乃果ちゃんのせいじゃないわ、遅かれ早かれここはバレてしまったのよ」私は2人に諭す。
「でも…………」穂乃果ちゃんは唇を噛んだ。
「それより何とかこの島を離れてほしいわ」私は困り果てる。
ルナさんに相談したが、もう皆んな避難していて2人を送ってくれる漁船は無い。
結局ベースキャンプにやってきた。
私はルナさんに2人の事情を話す。
「もう今からは逃げられないわ、何とか隠れていてもらいましょう」頷く。
「役者は揃ったわね」ルナさんは意外にニッコリした。
「えっ?今何か言いました?」
「いえ、別に」ルナさんは涼しい顔をしている。
「ゴメンね七香ちゃん…………」2人は更に小さくなった。
ジーナは寂しそうに箱を開けてみている。
「ジーナちゃん、ゴメンね」穂乃果ちゃんが近寄って話しかける。
「私は心強いよ」ジーナはか弱く微笑んだ。
「何をみてるの?」遥ちゃんが聞いた。
「これ、パパからもらったの、何か役に立つならって」長い箱には吹き矢と小さな矢が数本入っている。
「これって吹き矢?しかも矢が金色なのね」遥ちゃんは不思議そうに見ている。
「金の矢が手に刺さるとパワーを使えなくなるみたいなの」ジーナちゃんは矢を一つ取って見せた。
「ふ〜ん、そうなんだ」遥ちゃんは吹き矢の長い棒を持って覗く。
「これで攻撃できるんだ、ジーナちゃんは使えるの?」
「ううん、使った事ないの」
「じゃあ私がやってみていい?」
「うん、いいよ」
遥ちゃんは吹き矢に矢を入れて吹いてみた。シュッと音がして矢は向こうの壁に勢いよく突き刺さる。
「凄い!!これなら私にもできるかも」遥ちゃんは少しだけ元気になった。
「ジーナちゃん、これ私に使わせて」
「いいよ、私使えないから」
ルナさんはそれをみて少し微笑んだ。
私は不思議になって首を傾げた。