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星降る夜のセレナーデ 第72話 可愛い嫉妬
残された志音ちゃんは少し寂しそうにしている。まだ少し怒ってもいるようだ。
俺は不思議になって、志音ちゃんに聞いてみた。
「志音ちゃんは真美さんが嫌いなの?」
しばらく考えていた志音ちゃんは、瞳に涙をいっぱい溜めて俺を見た。
「あの人は夜のお店の人だもん、だから怖いんだもん、モヒくんを誘惑されたら嫌だもん………」
志音ちゃんは俯いて溜まった涙をポトリと落とした。
「志音ちゃん、俺は誘惑されたりしないよ、俺は志音ちゃんと音楽を作ってる方が楽しいし幸せなんだよ」志音ちゃんの頭を撫でる。
「ほんと?」志音ちゃんは指で涙を拭いて俺を見つめた。
「本当さ」俺は微笑んだ。
「モヒくん!」志音ちゃんは俺にぶつかるように抱きついて来た。
俺は志音ちゃんを受け止めて背中を優しく撫でる。志音ちゃんの体温がじわっと伝わって来た。
しばらくすると、志音ちゃんは少し元気を取り戻した。
「モヒくんはヒーローで志音を守ってくれるんだよね」
「ああ、俺はずっと志音ちゃんの味方さ」
「へへへ…………」
嬉しそうにしている志音ちゃんを見て、とても可愛く思えた。
「そう言えば、仕事の参考にグラビアのDVDを沢山借りてきて見たんだけど、志音ちゃんの方が、どの子より可愛かったよ」何気なく思った事を言葉にした。
「えっ!…………」志音ちゃんは固まっている。
志音ちゃんは恥ずかしそうに俺を見た。
「グラビアの人より志音がいいの?」
「ああ、志音ちゃんの方が可愛いよ」俺は自信たっぷりに頷く。
「モヒくん……………信じていいの?」志音ちゃんは大きく目を見開いた。
「自信持っていいよ」
「志音、ママみたいに綺麗じゃないし、喘息だし、自信なんて無かったもん」
「志音ちゃんはとっても可愛いから自信持って大丈夫さ」
「ありがとうモヒくん、志音はこれから頑張ってもっと綺麗になるよ」嬉しそうに言った。
「頑張らなくても大丈夫だよ、充分綺麗だから」
「そうなの?」
「ああ」
駐車場に車が帰って来た。
「あっ、ママととーたんが帰って来た」志音ちゃんはいつもの志音ちゃんに戻った。