Dear slave 親愛なる奴隷様 Loveですぅ! 第86話 穏やかな日常
無事に東京へ帰って来て日常が戻って来る。僕はバイクのイベントで取材をしたり文化祭の準備を始める。
琴音さんは刺さっていたトゲが抜けたように穏やかな表情で日々を暮らしている。バイクのクラブは辞めたようだ、原因は柊木グループのお嬢様であることがバレてしまった事らしい。バレた事で琴音さんのフォロワーは更に増えた。
最近は可愛いメイクも辞めたので、美人だと更にファンが増えている。
石田美波ちゃん達のクラブは公認になった。僕も嘆願書や計画書などを手伝ったので嬉しい。そいとげの喫茶コーナーは美波ちゃん達の溜まり場にもなっている。佳さんはお姉さんとしてクラブのみんなを教育しているようだ、どんな教育なのか、ちょっと心配だ。
バイクのイベントでは美波ちゃん達が駆けつけてミコトさんを応援している。琴音さんはイベントが終わると美波ちゃんと楽しそうに話している。琴音さんが慕われているような感じに見えて、嬉しい。
身の回りの事は殆ど琴音さんがやってくれている。お陰で勉強や原稿、文化祭の準備など自由に出来ているので感謝だ。
「おねえちゃ〜ん!お腹すいたよ〜」僕は琴音さんへ甘える。
「はいはい、今出来ますよ」優しく対応してくれる。
「こら!星七!靴下脱ぎっぱなしはダメだって言ってるでしょう!」
怒られると僕は「ピヨピヨ」とヒヨコの真似をしてリビングを逃げ回る。琴音さんは呆れながらも笑っている。
琴音さんが拗ねると「琴音!大好きだぞ!」そう言って円滑にする。
「ズッルい!私完全に星七の奴隷じゃん」可愛く頬を膨らす。
僕の唯一の仕事は、琴音さんと一緒に寝ることだ、一緒に寝ないとかなり機嫌が悪くなる。これはこれで大変だ、僕に自由は無いのだ。それでも一緒に寝ると落ち着くのは事実だ。
図書館で作業をしていると、茉白ちゃんは脚立の上に乗って棚の本を整理している。作業が終わって降りてくるとスカートが引っかかって徐々に太ももが見えてくる。
「ま、茉白ちゃん!」僕は声をかけた。
茉白ちゃんはスカートに気がついて慌ててスカートを脚立から外した。
「星七君!見たでしょう?」恥ずかしそうに睨んでいる。
「茉白ちゃ〜ん!………………真っ白ちゃ〜ん!」僕は少しだけ見えたパンツを思い出す。
『バシッ!』茉白ちゃんの白い綺麗な手が僕の頬を直撃した。
「いてて………てて………」僕は頬を抑える。
「星七君のバカ!H!」真っ赤になって俯いた。
「ゴメンよマシュー、殆ど見えてなかったから………」
「でも………白だって言ったもん!」
「うん………ごめん………でもちょっと嬉しいかも………」
茉白ちゃんは頬を膨らしながら僕を睨んでいる。申し訳ないと思いながらも超可愛いと思ってしまう。
「今日は駅カフェに一緒に行ってあげない!」
「え〜………それは寂しいなあ………」僕はガッカリして肩を落とした。
それを見た茉白ちゃんは呆れた表情だ。
「じゃあ、ホットケーキを奢ってよ」優しく微笑んだ。
「勿論いいよ、アイスもつけようか?」
「それは太るからイヤ!」少しだけ睨んだ。
二人で駅カフェに行きホットケーキを食べて甘く楽しい時間を過ごした。
土曜になり、そいとげに呼ばれて喫茶コーナーへ来た。美波ちゃんも来ている。
「ヤホー!どういう事だよ!」少し怒っているようだ、何だろう?
「何?どうしたんだよ?」怪訝な顔になる。
「ヤホー先輩、ハーレー届きましたよ〜」ニコニコしている。
「え………何それ………」
「ミコトさんから頼まれたんです、星七が免許を取るまでにハーレーを整備しておいてねって、あれ?聞いてないいですか?」不思議そうな顔だ。
「ヤホー、どういう事だよ、俺を差し置いてハーレーに乗る気かよ!しかも超かっこいいじゃん!」スマホの画像を見せた。
そこに写っていたのは琴音さんのお爺ちゃんのハーレーだった。
「え〜!もう神戸から持ってきたの?」僕は呆れて椅子に座り込む。
「どういう事だよ!」そいとげが更に詰め寄ってくる。
「あのハーレーは琴音さんのお爺ちゃんのバイクなんだ、乗ってくれた方が助かるって言われたんだけど………」
「さすが、柊木グループのお嬢様はやることがエグいねえ」佳さんが頷いた。
「琴音さんがそいとげくんにも乗せてあげたらって言ってたよ」
「マジ!」そいとげは急に明るくなった。
「ダメだよカズさん!傷つけたらとんでもない事になるよ!」美波ちゃんから嗜められる。
「そうだぞ一真!自分をわきまえな!」佳さんからも諭されている。
「いいなあ………ヤホーは………」そう言いながら小さくなった。
「そういえばヤホー君、君は茉白のパンツを見たそうじゃないか」上目遣いで見てきた。
「え………………………」
「佳ちゃん、何言ってるの!」睨みつけている。
「やっと茉白が可愛いパンツ買おうかなって言ったから、問い詰めたら白状したよ」
「あれは脚立にスカートが………」
「いいんだよ!そんな事は!茉白が可愛い下着に興味を持つようになった事が嬉しいんだよ!」僕のかたをポンポンと叩いている。
茉白ちゃんは顔を真っ赤にして厨房の方へ逃げて行った。
「ヤホー先輩、Xデーは近いんですね」美波ちゃんが口を手で押さえて肩を揺らす。
僕は帰り道で『平和だなあ………』そう言って赤みを帯びた空を見ながら大きく背伸びした。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
文章は音楽と違ってBGMみたいに、ながらは難しいと思います。
貴重なあなたの時間をいただいた事に深く感謝します。
⭐️最後の方に琴音さんの家族など色んな情報を書き込みました。もっと完結にと思われたかも知れません。
実はこの後星七君はある出来事で高校を辞めて、琴音さんのお爺ちゃんがいるニュージーランドへ旅立ちます。
そこでは金髪の綺麗な人が星七君に迫ってきます。(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
希望があれば、第二章も書きたいと思っています、最後までありがとうございましたm(_ _)m