隠れ家の不良美少女 166 奏太君の悲鳴!
俺はウイングのオフィスで朝から奏太くんに相談を受けている。
「友希さん、会社の取締役になってくださいよ」
「えっ、俺が?」
「ご存じだと思うんですが、会社の売上はキナコちゃんでとんでもない状況になって来てます、俺一人で回して行くのはもう限界です」
「そうか…………ごめんね好き勝手にして」俺は頭をかいた。
「いえ、俺が頼りないだけですから」
「未来ちゃんも社員になってもらう事にしました、それにバンドの子達もサポートしなくてはいけません、流石に俺一人じゃ辛いです」
「そうだよねえ、誰か必要だね……」俺は考え込む。
「今、色んなところからキナコちゃんにCMのオファーが来てるんですけど、俺は経験がないんで契約やギャラの交渉とかできません、有能なマネージャーを誰か知りませんか?」
「業界に詳しい有能なマネージャーか…………俺はイベント出身だからなあ……」
「お願いします友希さん」深々と頭を下げた。
「わかった、誰かいないか心当たりを探してみる」
「至急お願いします」両手を拝むように合わせた。
俺はウイングを後にして希和を迎えに行く。
希和を乗せ高速道路を横浜へと向かった。
「希和、奏太くんからマネージャーを探してくれって頼まれちゃったよ」
「忙しいの?」
「ああ、キナコのお陰で忙しくて大変らしいぞ」
「そうなの、私のせいなの?」
「CMのオファーも来てるようだ」
「大変だね」
希和はよくわかっていないようだ。
横浜の墓地公園へ到着する。
花を持って桜子のところへ来ると先客がいた。墓前で手を合わせている。
「友里香さん」俺は思わず言葉をかける。
「えっ?」友里香さんは振り向いた。
「友希くんも来たんだ、それにキナコちゃんも来てくれたの?」
「はい」希和はお辞儀した。
「今桜と話してたところよ」そう言って立ち上がり二人に場所を開けてくれた。
「すみません」俺と希和は花を備えると、手を合わせた。
「「…………………………… 」」
「キナコちゃん、桜と何を話したの?」
「私、友希さんと幸せになりたいですって祈りました」
「そう、じゃあもう心配無いわね友希くん」微笑んだ。
「桜と友希くんが幸せになる事を見届ける約束をしたけど、これで解放されたわ」微笑んだ。
「友希くんは桜にちゃんと話した?」
「まあ…………」
「桜子さんは許してくれるでしょうか?」希和は心配そうに聞いた。
「大丈夫よ、きっと喜んでるわ」
友里香さんは微笑んで希和を優しく見ている。