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隠れ家の不良美少女 222 東堂の魔の手

俺は友里香さんとSONEレコードに駆けつける。
長谷川さんは会議室で待っていた。

「突然すみません」俺は頭を下げる。
「非常事態ですから気にしないで下さい、それよりキナコちゃんは無事ですか?」
「今奏太くん達が家まで送っってくれています」
「そうですか………何処か安全な所はありませんか?向こうが手出し出来ないような……」
俺はしばらく考える。
「そうだ、株式会社マサキの社長宅ならいかがですか?」
「それなら向こうも簡単には手を出せないでしょう」長谷川さんは頷く。

俺は直ぐに新くんに電話した。
「了解が取れました、奏太くんはそのままキナコを社長宅まで送ってくれるそうです」
「そうですか、それで一安心ですね、それではなんとか対処を考えましょう」

しばらく沈黙の時が流れる。

「おそらく東堂のことです、どんな手を使ってもキナコちゃんを手に入れようとするでしょうね」
長谷川さんは深くため息をつくとゆっくりと髪をかき上げた。

「どうやらこの事が私の最後の仕事になりそうですね、でもどんな事をしてもキナコちゃんを守って見せますよ」そう言って大きく頷いた。

「三日ほど時間をください、私がSONEレコードの社長と相談して何とか道を考えてみます、昔私はロブスターズを守る事が出来ませんでした、だから今度は命を掛けてもキナコちゃんを守って見せますよ」
長谷川さんは硬い表情で頷いた。

SONEレコードを出て友里香さんと駅へ向かう。
「私も何か出来ないか動いてみるわ、私少し前の総理大臣だった渡辺大次郎の後援会やイベントの司会をやってたの、それに息子の渡辺実とは仲がいいのよ、今度法務大臣になったばかりだし」
友里香さんは厳しい顔で言った。

「俺も大した事は出来ないかもしれないけど動いてみるよ」そう言って小宮さんの事務所へ向かった。

「やあ友希くん、大変なことになったね」
電話で話を伝えていたので、心配そうな顔で迎えてくれた。

「友希くん、俺たちの東京ドームの仕事は中心になってるのが大東新聞さ、そしてそのボスが松川大作だよ、彼なら多少力になってくれるかもしれないね」

「そうですか、協力してくれますかね?」

「なんとも言えないけど………俺たちに出来ることはそれくらいしか思いつかないなあ」

「ですよね……」

「早速明日にでも連絡を取ってみるよ」
「すみません、お世話をかけます」俺は深々と頭を下げる。

俺は東京駅から高崎へ向かう。

マサキの社長宅へと辿り着いた。

「友希くん、大変な事になったね」新くんが心配そうに玄関で言葉をかけてくれた。
リビングに通されると社長やミホさん、そして綾乃さんがいた。
希和も心配そうにしている。

「俺は新くんに長谷川さんや友里香さん、そして小宮さんとの話を報告した」

「なるほど………」新くんは頷くと社長に言った。

「社長、なんか手立てはありませんかねえ…………」

将輝社長はコーヒーを少し飲むとゆっくりと話し始める。

「私はこれでも経済連合会の役員をしてるんだよ、だから私から大東新聞に話したら協力してくれると思うよ、何しろ随分広告費を払ってるからね」そう言って微笑んだ。

「本当ですか?ありがとうございます」俺は頭を床につくくらい下げた。

「うちの会社はキナコちゃんに随分お世話になってるからね、こんな時くらい力にならなきゃね」優しそうに希和を見ている。

「希和は申し訳なさそうに、眉を寄せペコリと頭を下げた。

「パパ、頑張ってね、頼りにしてるわよ」綾乃さんが赤ちゃんを揺らしながら口添えしてくれた。

「すみません、問題が解決するまで希和をお願いします」俺は頭を下げる。

「大丈夫だよ、しっかり預かっておくから」新くんが微笑んだ。

「今日はここに泊まりなよ、今後の作戦もあるし」新くんが進めてくれた。
「ありがとう、お世話になります」

高崎の夜は重く更けていった。

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