隠れ家の不良美少女 57 決心
食事が終わり、コーヒーを飲んだ。希和はデザートを食べている。
「デザートはまだ入るんだ?」
「だって別腹だもん」
「別腹ってどこにあるんだ?」
「うう〜ん……この辺かなあ」希和はヘソの横あたりを指さしている。
希美子さんは肩を振るわせて笑った。
「希和があの曲を歌った事で、いつかは希和のお父さんが見ると思うんです」
「そうね……映像を見たらすぐに私の娘だと分かると思うわ」
「そうなの?」
「多分……」
「なので……希和と一緒に会いに行こうと思ったんですが、まずは希美子さんの気持ちをと思ったので……」
「本当は私が希和と一緒に会いに行くべきだと思うんだけど……」
「もし、嫌じゃなければ俺に行かせてくれませんか?」
「良いのかしら」
「俺の父親はロブスターズのベースの人を知ってます、だから消息が分かると思うんです」
「愛美さんを知ってるの?」
「はい、父の友人で今スナックをやってます」
「そうなの……」
「ベースの人は女性なの?」希和が不思議そうに聞いた。
「そうよ、唯一の女性メンバーだから衣装は特に気をつけて作ったわ」
「そうなんだ」
「勿論会いたくないと言われたら、そのまま帰ってくる事になるかも知れませんが、会いに来たという事実は残ります」
「そうね……」
希美子さんはしばらく考えて俺を改めて見る。
「友希さん、全てお任せします、よろしくお願いします」そう言って頭を下げた。
「了解しました」俺も頭を下げた。
「実を言うと、俺はずっと里帰りして無かったんです、だからこれを機会にと思いまして」頭をかいた。
「そうなの、どうして帰らなかったの?」希美子さんが不思議そうな顔だ。
「家族はみんな早く福岡に帰って来いと言ってるんですが………」
「桜子さんとの事で所沢から離れられないんでしょう?」希和が上目遣いで見る。
「いや、あのう、そう言うわけでは……」
「お母さん、友希さんって分かりやすいでしょう?」
「そうね、はいそうですって顔に書いてあるわ」クスリと笑う。
俺はだた頭をかいた。
「福岡では希和も実家に泊まることになるかも知れませんが、良いですか?」
「はい、よろしくお願いします……希和迷惑かけちゃあだめよ」
「大丈夫だよ」希和は自信たっぷりに答えた。
俺は来週希和と福岡へ行くことに決めた。