幼馴染はキュートな吸血鬼 57話 妹
俺は日々キツくなってくる可愛い誘惑に耐えながら過ごしていた。
学校でも七香と別れてジーナと付き合っているという噂が立っている。
ラミアの情報員対策の為とは言え、かなり受験には過酷だ。
今日も早めにジーナと自宅へ帰ってきた。
「旭〜、お風呂に入ろうよう」ジーナが甘えてくる。
「だから、俺は受験勉強があるんだって」
「連邦大学なら受験なしで入れるよ」可愛くまつ毛を揺らす。
「嫌だよ、絶対に!、だって俺の血が目的なんだろう、何されるか解らないじゃん」
「大丈夫だよ、きっと大事にされると思うよ」ジーナはニッコリしている。
「もしかしたら、スーパーヴァンパイアが生まれるまで、たくさんの女の人とHさせられるかもしれないし……………」
「えっ!…………………それは嫌だ!」ジーナは口を尖らせる。
「なっ、嫌だろう?」
「うん、旭が他の女の人と仲良くするのは嫌だ……………………」ジーナは拗ねた顔をした。
「私、旭を誰にも渡したくない」真っ直ぐに俺を見ている。
「ジーナ、俺たちはラミアの情報員に疑われないために仮の関係だぞ」
「分かってるよ…………でも……旭が大好きになってしまったもん」俯いた。
「俺もジーナがカワイイと思ってる、大切な妹のように思ってる」
「私は妹なの?彼女にはなれないの?」
「ごめんよジーナ、俺は七香を心から愛してるんだ」
「グスン………グスン………………ふぇ〜ん………」ジーナは子供のように立ち尽くして大粒の涙をポトポトと流した。
俺はたまらなくなってジーナを抱きしめる。
「ヒック………ヒック………ヒック…………」ジーナは震えながら泣いている。
「私の方が旭を大切に思っているし大好きなのに、なんで絵美衣ちゃんだけ旭の子供がいるの?」
「それは……………」
「私………もう旭と離れたくない」そう言って泣き崩れた。
「なんとかジーナがラミアに戻らなくても良い方法がないのかなあ…………」
「私のお母さんやお父さんは軍の命令に反いたから遠くに連れて行かれたの、多分………もう生きてはいないと思う…………」
「そうなのか?」
「軍は厳しい所なの…………」
俺は七香から聞いたジーナの心の奥にある凍りついたものが何となく分かったような気がした。