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星降る夜のセレナーデ 第76話 東京へ
「おはようございます」俺はいつものようにログハウスへ出社した。
「おはよう真人くん、このメール見てよ」美夜子さんがニコニコと促す。
メールを見て驚いた、浅見真人ご指名の仕事が来ている。何と初めての仕事だった清水アリサさんのDVDが売れ行き好調で、早速次を作るらしい。
「え〜!!!」目が点になった。
「おはよう真人くん、やったね」ソファーに座っていた先生も親指を立てて嬉しそうに微笑んだ。
「でも、俺で大丈夫でしょうか?」かなり不安になっている。
「大丈夫だよ、白河バンドがついてるさ」先生は口角を上げた。
俺は発注の内容を確認して曲の構成を考える。今度はバイクで走るシーンが増えるようだ、またカッコいい曲を作らなければならない。俺はいくつかのアイデアを考た。当然水着のシーンもある。前回より大人の感じが欲しいそうだ。
またグラビアDVDを借りてくる事にしよう。
「真人くん、忙しい時にすまないけど、出版社まで行ってくれないか?」
「はい、良いですけど」
「私の出来た曲を届けて欲しいんだ、それから大切な書類があるので預かって来て欲しいんだよ」
「了解です、天気がいいのでバイクで行ってきても良いですか?」
「良いよ、それから小池くんから相談があるそうだからそれも聞いて来て」
「了解です」
俺は自宅へ帰ると、愛車をバタバタと低音を響かせ東京へ向かって走り出す。
最近はあまり乗っていなかったので、たまには愛車の鉄馬に乗ってやりたいと思っていた所だ。
出版社へ到着すると、小池さんが待っていてくれた。
「お久しぶり真人くん、良かったねDVDの件」ニッコリしてくれた。
「ありがとうございます」俺は深々と頭を下げ、「これは先生の曲で納品です」とCDを差し出した。。
「データを送ってもらっても良かったんだけど、渡したい書類があったからね」
「はい、聞いてます」俺は封筒に入った書類を受け取りバッグに収めた。
「あと……小池さんから何か相談があると聞いて来たんですが?」
「そう、先生はそう言ったんだね」小池さんは少し微笑んでいる。
俺はまた先生の策略があるのではないかと少し疑った。
「じゃあ早速秋葉原まで行こう」
「えっ、秋葉原ですか?良いですけど…………」不思議に思ったが、小池さんに付いて行くことにする。
「今日は清水アリサちゃんの撮影会ライブがあるんだ、だから挨拶しておこうと思ってね」
「えっ、あのDVDの清水アリサさんですか?」
「そうだよ、どんな風にDVDが販売されてるか見た方が良いと思ってね」小池さんは口角を上げた。
「はい…………」俺はよく意味が解らなかったが、確かに見た方が良いのかもしれないとは思う。
大きなビルの中にあるホールへ到着した。もうイベントは始まっているようだ。清水アリサさんは水着でポーズをとっている。多くのファンが集まりシャッターの音が鳴り響いている。